rewrite続・今昔物語、第二話
もし、お侍さま。これからどちらに向かわれるのですか?
女は遠助に尋ねました。遠助は女をじっと見る。何処かの貴族に仕える女房(家政婦)か?気味の悪さを感じるが、同時に気品のある佇まいもある。
遠助は馬から降りて女に答えました。私はこれから美濃国へ向かうところだ。何か私に御用かな?
女はよく通る声で、ひとつお願いを聞いていただきとうございまして、お侍さま。よろしいでしょうか?と言ってきました。
さてどうしたものか、と遠助は考えていました。返答を渋っている遠助に、女は続けて話しました。お預かり頂きたい品物がございまして、どうかお聞き入れてもらえませんでしょうか?
品物を預かる程度の願いか‥遠助はそのくらいならば良いだろうと思い、その願いお引き受けしましょう。と、遠助は答えました。
女は少し微笑んで、大変嬉しゅうございます。と、絹で包まれた箱を遠助に見せました。
こちらの箱を、方縣の郡(現在の岐阜県岐阜市辺り)の唐の郷にある「段の橋」に運んで頂きたいのです。
遠助は女の話を聞きながら、何かめんどうごとに巻き込まれるのではないか‥と思い始めた。
第三話に続く。