【MAKでの展示について】Ars Electronicaの雑多所感記 最終日
9/5(木)から9/9(月)までオーストリアのリンツにて開催されている、Ars Electronicaに出展のため来ておりました(過去形)。現地の雰囲気がリアルタイムに伝わればいいなと現地レポートをずっと書いていましたが、この記事は帰国後1週間ほどたち、改めてArs Electronicaというものについて振り返りつつ、自分の頭に浮かんだ色々な考えについて整理していくためのものにしたいと思って書いています。
※出展内容、具体的な試みについてはこちらをご覧ください。河津は主にInspiratorに関わっています。
と、統括っぽいものを書くまえに、最終日の様子について少しだけ書いて行きたいと思います。もうArsも終わり、あとはほぼ帰るだけっていう状態だったのですが、少しばかりの寄り道として、ウィーンにある「オーストリア応用美術博物館(MAK)」の展示を見てきました。
外装・内装はこんな感じ。
MAKでは「Design Lab」という、様々な時代・国のアーティストや建築家・プログラマ・デザイナーなどが、その時々の社会課題について課題を浮き彫りにした作品・またそれを解決しようとした作品などを中心に展示しているコーナーがあり、主にそこ中心に見て回りました。
作品についてまだ深く洞察できていないので、本当にざっくり紹介させていただきます・・・
一見白い光しかないディスプレイに偏光フィルターを通してみると、違う世界が見えるという、アナログな技術でARのような見せ方を実現した作品。スマホをかざす必要もなく、何なら偏光フィルターをメガネ型にすることで白いディスプレイに囲まれた空間を探索する、偏光フィルターを通す前後で見える景色が変わる、などとイベント系の仕事にも普通に応用できそうなアイデアで面白いです。
こちらは、約4800万もの顔画像をSNSやネットゲームから取得し顔認識システムを構築、60FPSの速度で目の部分を認識し位置合わせ・表示まで行なったぜ!っていう作品です。AIの仕組みを作る上で必ずハードルになるのがデータ集めと前処理という段階なのですが、この人単独で4800万枚もの顔画像を集め、前処理(多分顔だと認識されなさそうな画像を取り除くくらい?)を行なったのかと考えるととてつもないですね。
さらにおそるべくなのは、この写真の本人たちにはこう言った作品に自分の顔を利用するよと伝えられていないということです。まあそもそも4800万人に対してそんな確認できるわけないのですが、それを承知でえいやって作っちゃった作者の行動力と、この作品を「作品」と認めて展示している人たちの勇気に対して個人的に賞賛したい気持ちが強いです!通常はその辺り気にしちゃって実行に踏み出せないと思うので・・・個人情報保護の観点などと折り合いつけるのが難しい分野ですが、データに対してもっとオープンな世の中になればいいな、と思います。個人的に。
あとはDesign Labとは別のコーナーですが、AIに焦点を当てたコーナーもあったので覗いてきました。入って早々人の顔を模したオブジェが・・・これら撮影しようとした時に気づいたのですが、iPhoneのカメラで人の顔と認識されてますね。人が作った顔認識の仕組みなぞ欺けるぜと言わんばかり。
まさかELIZAが置いてあるとは思いませんでした・・・!ELIZAは人工無脳の仕組みの元祖ですね。飛行機の時間が迫っていたためあんまりさわれませんでしたが、もっと会話したかった・・・
みたいな作品たちを飛行機の時間直前までインプットしながら帰国しました。この記事でArs全体の個人的な統括まで行きたかったですが、ちょっと長くなりそうなので別記事にてじっくりまとめて行きたいと思います!