日本の人材研修会社さん向けのノート
先月、中国は上海にある、コンサルティング会社さんからのお誘いを受け、上海のセミナーに登壇させてもらいました。
上海のそうそうたる日系企業の皆さまが参加される会でしたが、そんな盛大な会とはつゆ知らず、この一年で一番緊張かつ、学びの多い会でした。ご縁を頂いたC社さんには感謝感謝です。
その中で一番驚いたことが「ベトナムの情報って中国の日系企業の方はあまり知らないよね」という当たり前であり、私にとっては当たり前ではないことでした。
加えて、日本や中国に進出している「人材研修会社」さんがベトナムに進出したいけど、可能性が見えにくいので、二の足を踏んでいるという話も多くきかれました。ということで、私の知っている範囲での情報をここで書いてみます。
〇ベトナム進出日系企業数について
折角なので中国と比べてみます。
中国:32,349社 ⇔ベトナム:1753社 (2017年12月末時点・出所:JetroHP)
ここからお分かりになるかと思いますが、日系企業相手の企業内研修を提案するとしたら、確実に中国で行った方がいいということです。(もちろん競合も多いです)。日本でやっていることをそのままベトナムでやろうとしても、パイが小さいため、日本の事業を超えるだけの規模にはなりにくい。つまりベトナムにきてまで「縮小再生産」をする事業規模になりがちです。
〇ベトナム進出した日系企業の事業フェーズについて
私は昨年2018年末に、中国・タイ・ベトナムの3か国での「日系企業向けの現地人材実態調査」というものを実施したことがあります。そこで他国比較をする中で分かったことあります。それはベトナムへ進出した日系企業の大半が「事業づくり」の最中であるということです。つまり、事業に直結するもの、ことに企業内の予算の大半が割かれているということです。これは、研修会社側から見ると、非常に難しい段階です。事業づくりの段階では、現地法人はなかなか人に対する予算は割きたがらないためです。そんな状況で、研修会社が日系企業にアプローチをすると以下の4重苦に遭遇します。
①人事部にアプローチしても、人材研修のニーズはあるけど、予算はない。
(あったらいいけど、なくてもいい。他にやるべきことがある)
②必死で頑張って、1回研修行ったとしても単発で終わる。
③予算も日本価格の4分の1(重要なので繰り返します。2分の1ではなく4分の1です)
④人事部が現地の担当者だと、時々ワ〇ロ要求される。
〇年間の売上規模について
これが一番気になるところだと思います。あくまで私の体験ベースでのお話だと思ってください。上記の4重苦はあるとしても、研修のご依頼はあります。ただ、予算感は日本の4分の1です。アプローチ~受注~納品にかかる手間暇はむしろ日本以上です。その中で、「人事部へ研修を提案する」という方法では、せいぜい1000万円~1500万円くらいの規模にしかなりません。
この規模で社内のリソースを割いて、ベトナム進出するかと言われると、確かに二の足を踏みます。
〇日本の研修会社さんが置かれた状況(想定)
今、日本の研修市場は非常に活況です。2020年までは、日本国内の仕事だけで手いっぱいな会社さんは多いと思います。一方、人口減少待ったなし!の日本において、経営者であえば、このままではまずい。中長期での手を打たなくては!となるかと思います。その中のオプションの一つとしてベトナムは候補の一つとしてあがると思います。
もし日本でのやり方を、そのままベトナム人にベトナム語で研修を実施して頂くやり方であれば、上記の規模感で終わることになります。そうであれば、日本市場に集中した方が、直近でのキャッシュは潤沢になるでしょう。
一方で、中長期でベトナムで何かを!と考えている方には、やり方を少し変えれば、ベトナムでの可能性はあると考えます。実際に私自身、前職では上記の3倍くらいの売上・利益にはなったことがあります。これについては追って書いてみたいと思います。
つらつらと書いてきましたが、今日はこの辺で。