ベトナム嫁日記〜給与交渉〜
「ベトナム嫁日記」とは?
僕の嫁はベトナム人。数カ国での留学・就学経験のあるエリートで、日本人にはない独特な発想と切れ味するどいツッコミにいつもタジタジ。今日こそは!と思いつつも言い負かされてしまう。そんな日常をお届けします。
給与を2倍にしても不満!?
みなさんは「給与交渉」をした、されたことがありますか?私が2年前にベトナム現地法人の代表をしていた会社を退職するときの話です。後任として当時の部下(ベトナム人)に打診、彼は快諾してくれひと安心、さて給与交渉です。「責任は増えるけど、(これまでの給与の)2倍なら不満はないだろう」と提示した金額にきっと喜ぶと思ったら反応は不満げ。。。
「おいおい、あなたの今の能力的には十分高給だろ!」と、憤りすら覚えましたが、ほかに選択肢もなかったので、さらに高い給与を渋々承諾。しかしモヤモヤとした気持ちが残る。帰宅後、ベトナム人の嫁に相談しました。
給与は、MAXもらえるよう交渉するべし!
妻:私は彼が正しいと思うよ
僕:ええ!?さようですか…
妻:だって、給与は上げられるなら目一杯上げたほうが良いに決まってるじゃん。
僕:まあ、そりゃそうだけど。その分、相手からの期待が高くなっちゃうよ。
妻:それの何がいけないの?頑張るモチベーションになるよね。
僕:うぐっ
妻:期待は高くする分、給料も高くする。
僕:理屈は分かるんだけどさ、まずは実績を上げてから交渉した方がお互いにとっていいんじゃない?
妻:ふぅ~、あなたは『典型的日本人』だね!一度決めた基準を上げるのは大変でしょ?だから、最初からマックスで期待を上げておいた方が良いよ。それが自分へのプレッシャーとなって、頑張らなきゃ!ってなるじゃん。
僕:なるほど…。でもさ、そのあと期待に応えられないと肩身がせまくなるでしょ?どうするの?
妻:その時はやめればいいだけ。マッチしていなかったと、お互いが次を見るだけさ。私はそんなこと、これまでになかったけど。
僕:恐れ入りました!
【総括】〜ベトナム人の交渉術は学術的にも立証済み!?〜
給与交渉は、日本もベトナムも、どこでもセンシティブかつ重要なトピックです。それだけに日越の価値観の違いがよく表れた出来事だったなと思います。今は彼らの言うことに完全同意です。今は会社を経営する立場なので、この考え方を踏まえた上で、給与交渉に臨んでいます。
ちなみにこの「最初から高い期待(基準)で交渉する」というやり方には、「アンカリング効果」という名前があり、行動経済学的にも理に適っている交渉術なんだそうです。ベトナム人の価値観が学術的にも裏付けされたということで、みなさんも給与交渉に限らず、あらゆる場面でこのアンカリング効果を使っていきましょう!
*なお、本記事の編集には、ネルソン水嶋さん、イラストには、ベトナムのイラストといえばこの方、ムラケンさんにご協力いただきました。いつもありがとうざいます!
それではまた次回お会いしましょう。