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知っているから味方として、知らないから敵として

 人は知っているものに同情し、知らないものに薄情だ。しかもそればかりでなく人は知らないもの、知っているものの「敵だと思い込む」ことが往々にしてある。
 関係がない、という発想がない。これは致命的な人間の欠陥である。自分の知識や記憶を結びつけ、1つのものにしてしまうシンプルな思考。それがあるから人は、知っているものを味方と思い、知らないものを敵だと思う。そしてそれらが、戦っているのだと勝手に思う。あるいは敵が味方を虐げているのだと。攻撃しているのだと。貶めているのだと。

 この世の物事は、確かに繋がっている。一見関係がないようでも、互いに影響し合っているということは珍しくない。なぜなら影響は連鎖するからだ。様々なものが関係し合って、遠く遠く離れた何かにも触れてしまう。影響を与えてしまう。
 でも、それは単なる自然の摂理であって、私たちが決めた既知や未知、味方や敵などという尺度においてはなんの意味もない。物事はそのように単純化されないから、この「世界」が成り立っているのだ。そこにたった1個の人間の考えが及ぶべくもない。

 それでも人は、知っているものに同情し、知らないものに薄情だ。味方と敵を勝手に認定して、その関係性を想像する。
 正しいとか真実とかは関係がない。
 私たちは自らの考えに基づいて、その見える世界を語るのみなのである。

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