革新的なクリエイティブを整理する② 偶然性を借りてくる、とは。
クリエイティブというのは、そもそもが革新的なものであるが、一方で私たち人間は保守的である。
だから、クリエイティブのために革新性を維持しようと思うのなら、創作者は何らかの工夫や、意識を持つことが大事である。
そのために、革新性とはいったいどういうものなのか、整理することが欠かせない。
・物事の分類を怠らない
・偶然性を借りてくる
・革新性を保守しない
少なくとも、この3点を念頭においておけば、そこに革新的な創造を行う余地が生まれる。
偶然性を借りてくるとは、たとえ革新的な要素そのものを思いつかなかったり扱えなかったとしても、クリエイティブな要素の組み合わせや出てくる順番、見せ方、強弱などに、人間の意志を介入させないということである。
例えば、キャラクターが掛け合いをする、というときのなんらかのシチュエーションを考える。
決めなければいけないのは、場所と時間と登場キャラ、どういう状況かなどであるが、このそれぞれの要素は、どれも普通のものが用意されている。
・場所:海、森、山、街、部室
・時間:朝、昼、夜
・キャラ
(性別):男、女、その他
(年齢):10代、20代、30代、40代、50代、60代以上
(職業):学生、サラリーマン、自営業、主婦(夫)、無職、その他
・状況(きっかけ):会う、入手、事故、指令、気づく、騙す、秘密
キャラクターに関してはあらかじめ決めておくべきものであるが、例えば上記のようなものが設定されているとする。
どれもかなり基本的なものであり、人間の意志によって組み合わせを決めると平凡なシチュエーションになりがちだ。
そこで、偶然性を借りてくると、
時間帯と場所:夜の海
登場人物(3人):20代男(学生)、40代女(学生)、40代男(自営業)
きっかけ:20代男が何かを入手する
このようになった。
これを参考にシチュエーションを考えてみると、
都内の大学のダイビングサークルに所属する男の子Aは、合宿で海を訪れていた。同サークルの気になる女子Bとの距離を詰めようと気合を入れるAだが、海の家のおやじCから、Bについての気になる情報を入手。何かの決意を込めたAは、夜の海にBを呼び出す――
といった結果が現れる。
ここで行ったのは、あくまで偶然性を借りてくる、ということであり、最後の「アイデアを出す」のは創作者自身であることを忘れてはいけない。
偶然性はあくまでもツールであり、それが即、革新性を生み出してくれるわけではない。
ただ、偶然性は、創作者のクリエイティブを刺激してくれることは確かである。
ともかくも、これが偶然性を借りてくるということである。
上記の例ではシチュエーションを考えただが、もちろん、それ以外の創作的な作業にもこれは使える。
大切なのは、何らかの材料・要素、やり方など「並べられるもの」を並べてから、それらの内どれをピックアップするのかをランダムで決定することである。
そのようにして作り上げられたクリエイティブは、その革新性をしっかりと保つことができる。少なくとも、保守的なものにはならない。
革新性が欲しい時、この偶然性を借りてくることを、ひとつ、考えてみてもいいだろう。
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