ゼンディガーの夜明けがもたらす未来予想図
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ゼンディガーの夜明けは、近代MtGに革命をもたらそうとしています。それは言うまでもなく、スペルと土地を使い分けることができる両面カードの存在です。今回の記事では、この両面カードというシステムにのみ焦点を与え、ゼンディガー発売後の構築環境がどう変化していこうかを考えようと思います。
■1 プレイはより難しくなるだろう
MtGは奇跡的なトップデッキは存在しても、技術的に魅せるスーパープレイは存在しません。プロプレイヤーが強いのは、スーパープレイを連発するからではなく、ミスを限りなく減らす努力をしているためです。では、ミスは何故起きるのでしょうか。練習不足、といえばそうかもしれませんが、より具体的な話をするのであれば、それは「選択肢の多さ」から発生します。そのカードは本当にそのカードにあわせて使うべきだったのか、使うのを待つべきではなかったのか。ゼンディガーではここに「それは土地として置くべきではなかったのか」という概念が加わります。さらにはキッカーや各種モード選択呪文に加え、上陸という概念も、すべて行動の選択肢の多さ=ミスをしてしまう可能性を広げています。ミスをする可能性が広がれば、それだけミスをしないプロとの間に差が生まれます。MtGは、より強い者が勝つべくして勝つゲームになるでしょう。
■2 不運の要素は取り除かれるだろう
MtGはどうしても運の要素が絡みます。特に、事故と呼ばれる運の偏り(土地を引かない・土地しか引かない)は敗北に直結しました。今まではそれをいかにマリガン判断で回避するかでしたが、両面カードの存在は、この土地事故の可能性を大きく減少させます。つまるところ、強いプレイヤーが、不運によって負ける、ということが減るのです。これは■1とあわさって、MtGをより実力勝負にしていきます。
■3 マナランプ戦略とX呪文はより強力なものとなるだろう
両面カードは、基本的には、両方のモードは弱めになっています。土地はタップインですし、スペルはそこまで強力ではなかったり、マナコストが重かったりするものがほとんどです。つまり、この種のカードが最も強さを示すタイミングは、タップインでも許される状況に、意味のあるセットランドを行った時であると言えます。序盤のタップインはテンポ的に事実上の1ターン遅れであり致命的なものになりますが、7枚目8枚目のタップインはそこまで大きな影響が出ません。基本的には、7枚目8枚目のセットランドをするくらいなら、多少弱いものの手札として抱えた方が強いはずですが、マナランプ戦略をとち、X呪文が採用されているなら話が別です。特に、Xドローは強力です。また、マナランプのエースとして採用されるタイタン、ウーロの強さもこれを後押しします。3ターン目に3マナを支払ってプレイした場合、ここでのタップインはほぼノーリスクです。弱いはずの序盤のタップインすら容認させてくれるウーロは、両面カードと最も相性の良い1枚であり、ウーロを使用したマナランプは、ほぼ確実に環境を支配することでしょう。
■4 アグロを使うプレイヤーが増えるだろう
マナランプは確実にTire1のアーキタイプとなりますが、これはほとんどのプレイヤーにとって最良の選択肢になりません。何故なら、1・2で語った概念とあわさり、同系があたった場合より上手い方が勝つためです。自分はうまくない、と素直に認められるなら、マナランプは最強であっても握ってはならないのです。そこで、アグロをにぎることになります。実際、ゼンディガーの2マナ域には、アグロで優秀なカードが多く揃っています。これらをうまく使い攻め立てるアグロは、まったりとしたランプに一矢報いることができるでしょう。加えて、アグロには両面カードは入りません。序盤のタップインは致命的であり、後半になれば負けているためです。アグロに求められるのは爆発力であり、安定性は二の次なのです。これはすなわち、運の上振れを期待したジャイアントキリングを成すためのアグロ戦略が肯定されることを意味します。この先、多くのプレイヤーはアグロを握るしか選択肢がなくなり、そして、結果的にアグロはその数を増やすでしょう。中速以下のデッキは、常にアグロを意識し、アグロは中速以下のデッキに出鼻をくじかれた時の最後のひと押しを構築に含めるべきです。
■5 打ち消しはより評価されるだろう
マナランプが最も嫌うカードは打ち消しです。ウギンや膨大なXのガドウィックが打ち消された時のショックは言うまでもありません。しかし、打ち消しがアグロにそれほど効果的なでないことは事実であり、また、打ち消しというプレイング自体が難しいカードの存在は、やはりMtGをより難しいものとするでしょう。
■おまけ この先に評価を上げるだろうカード達
最後に、ここまでに名前を出さなかったカードの中で、これから評価を上げるだろうカードを紹介していきます。
エルズペス死に打ち勝つは、マナランプやミッドレンジに採用されるだろう強力なカードを処理しつつ、逆に墓地から強力な1枚を読み戻し、かなり不利な交換を強いらせることができます。
ケンリスは残ったマナを注ぎ込むことができる点で実質X呪文であり、同時に、激しく相手を攻め立てることもできます。
ヴァンドレスのガーゴイルはランプの壁として採用され、アグロにとって少なくとも2枚のカードを使用しなければ突破できない壁であり、自身のウーロのための墓地を増やし、さらに後半にはアタッカーともなります。
厚かましい借り手は、アグロには時間を稼ぎ、ランプにはテンポを稼ぐと同時にアタッカーとなるカードであり、青であればまず4枚入れるカードとなるでしょう。
中和はカウンターでありながら、サイクリングの選択肢があるためアグロ相手に重ね引きが負けに繋がりません。
サメ台風は言うまでもなくX呪文です。
崇高な天啓は、アグロの同系を決定づけることになるであろうカウンターです。4モード以上で使用すれば勝利は確実でしょう。
ケアヴェクはアグロに対して4ターン目のスイーパーとなる同時に、生き残ればそのまま盤面を制圧します。実はゼンディガーのアグロで強力なニューカマーのほとんどのタフネスが1なのです。
絶滅の契機は、アグロが中盤以降も戦うための死亡時効果や、そもそもの破壊不能や呪禁などの除去耐性を貫通します。
義賊は、赤を含めたコントロールやランプの同系におけるサイドボード後のキラーカードとなります。もちろん単純に、アグロでも強力です。
アイレンクラッグの妙技は、赤いコントロールにおいて、ウギンの早出しなどを可能にします。
漁る軟泥は、ウーロの餌を食い、アグロにはライフを稼ぎ、また、1つのテーマとなっている相手の墓地8枚を妨害します。
ガーガロスは、アグロが最初に直面する絶望であり、コントロール/ランプの同系の場合、生き残れば勝利を約束します。
ウーロばかり名前が出ますが、もちろんクロクサも優秀です。特に、エルズペス死に打ち勝つで対処できない点が厄介です。
僻境への脱出は5ドロー&マナ加速とランプが求める1枚でしたが、両面カードによる土地の増加は、よりハズレの可能性を減らします。
ウィノータはおそらく最強のアグロとなります。パーティとの相性も良好です。
荒くれものたちの笑い声は、常にパーティを供給します。
議事会の導師は、ゼンディガーのテーマとなっている+1カウンター戦略の核です。
真面目な身代わりはランプ戦略の核であり、崇高な天啓に繋がった時には概ね勝利となります。
■終わり&いつもの
読了ありがとうございました。ゼンディガーのリリース後には、またいろいろデッキを作ってみますのでお楽しみに。以下いつもの募金コーナーです。ちょっと研究してしまったブロールのリストを置いておきます。
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