【 人と仕事 】 感想vol.054 @MOVIX八尾⑤ 21/10/11
21/日/16:9/監督:森ガキ侑大/編集:鈴尾啓太/撮影:森ガキ侑大、Junpei Suzuki、西山勲、佐野円香、森英人、小松原茂幸、山崎裕
劇場で流れていた予告篇を観て、お、これはひょっとして?と思い観賞に至る。
でも、酷い。これは酷い。朝一のオープン直後の劇場に自転車を走らせて向かったのにも関わらず、とんだ仕打ちを受けたものだと落胆する。ドキュメンタリーを気楽に考えすぎだよ。そもそも企画の経緯として、コロナの感染拡大によって準備していた映画の撮影が中止せざるを得なくなり、代わりのものとして進行したものであるようだが、やるならちゃんと能力のある人にやらせるべきでしょうよ。はっきり書くが、森ガキ監督にドキュメンタリーの才覚はゼロだ。知らなすぎるよ。単にインタビューの積み重ねがドキュメンタリーじゃないもの。てか、インタビュー中に頷くのはいいけれど、「うん、うん」という声が入っちゃってるのが萎える。下手くそか。それと、安易に風俗嬢にインタビューするな。彼女たちを社会的弱者の象徴にするな。発想が短絡的過ぎるだろう。大人が寄り集まって意見を出し合っているのなら、もう少し配慮を望む。元々保育士の映画を撮ろうとしていたという経緯もあってか、そういった福祉関係の人が中心となって登場していたが、『人と仕事』というタイトルを打つならばもう少し幅広く間口を広げていても良かったのになぁとも思う。
この映画のハイライトとなるはずの、数々のインタビューと職業体験を経た有村架純と志尊淳とのディスカッションシーンだが、二人とも同じ方向を向いてるじゃん。なんでイマジナリーが逆なのよ。映画撮る人なんでしょ?スタッフも映画知ってる人なんでしょ?酷いを通り越して呆れちゃって二人の話す会話の内容が、何にも入って来なかった。志尊淳君の実態は知らねども、実直な性格に好感が持てたし、あまり深く関心はない様にも映るが、真面目に取り組んでいた有村架純女史の頑張りと努力が、こんな単純なミスによって水の泡となってしまうではないか。このシーンを撮り直すことなんていくらでも出来たはず。後からだって追撮することは可能なはずだよ。だってこれはドキュメンタリーじゃないもの。人気若手俳優が取り組むドキュメンタリーという企画先行のスタンスに胡坐をかいているようにしか感じられない。
コロナ禍の中にあっても映画を作る人がいる。これもまた人と仕事なり、か。