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【 ナチス・バスターズ 】 感想vol.065 @イオンシネマ シアタス心斎橋② 21/12/6

20/露/シネスコ/監督:アンドレイ・ボガティレフ/脚本:アンドレイ・ボガティレフ、パベル・アブラメンコフ、ヴャチェスラフ・シカリーフ、コンスタンチン・シーモノフ、セルゲイ・クライネフ、パヴェル・ポルーチク、アルメン・ヴァティヤン/撮影:ニキータ・ロジェストべンスキー

何だかポスタービジュアルに惹かれて観賞に至る。ロシアのアクションものの映画を観るなんて、『オーガストウォーズ』以来なんじゃないかとさえ思えてくる。だとしたらすごい前だな。何だか外しそうな予感がしないでもないが、劇場へと向かう。

ストーリーについて。1941年、冬。ソ連に侵攻していたドイツ軍の間で、とある噂が広がっていた。それは正体不明の<赤い亡霊>と呼ばれるソ連の狙撃兵が、次から次へとドイツ兵を射殺しているらしい、というものであった。噂の真相は不明であったが、ドイツ人が捕らえた役者夫婦の尋問をしていると、銃声が鳴り響き、ナチス兵は雪の上にその鮮血を飛び散らせて絶命するのであった。噂は本当であったのだ。その頃一方、部隊からはぐれた5人のソ連兵は道中で凍死しかけた青年を伴いながら、部隊との合流を果たすべく。雪原を移動する。無人と化した集落に辿り着き、束の間の休息をとっていると、そこにドイツ軍部隊がやってくる。数の上では圧倒的に不利な状況であったが、死力を尽くして戦っていると、どこからともなく撃ち出される銃弾によって次々とドイツ兵が倒されて行く。そう、赤い亡霊が戦場に現れたのだ。

うん、総じて面白かった。<赤い亡霊>というのは、ロシアの各地で民間伝承的に伝わる名もなき愛国戦士をキャラクター化したものらしいのだが、一言もしゃべらずに黙々と殺戮に徹する姿は、全くもって丁寧な仕事人の風格さえ漂うのである。そして例え死んでしまったとしてもその決意は、次から次へと乗り移り、祖国を守るために戦いの場へと現れるのだ。ヒーローとして存在する赤い亡霊。彼が現れるまでの舞台を用意するのが5人のソ連兵とドイツ軍人な訳だが、それぞれのキャラクターもまた粒立ちしていて面白い。会話の中身こそお国柄がでるのか笑いきれない部分もあったが、なかなかに面白かった。戦時中という時代設定であるが、フォーマットは西部劇そのもの。集落が最終決戦場となるのも頷ける。銃撃戦も緊張感があり、目を見張るものがある。

期待が薄かった割には大きな収穫を得られて満足である。

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