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【 ヘルムート・ニュートンと12人の女たち 】 感想vol.015 @テアトル梅田② 20/12/23

20/独/16:9/監督:ゲロ・フォン・ベーム/撮影:PIERRE NATIVEL、SVEN JAKOB-ENGELMANN、MARCUS WINTERBAUER、ALEXANDER HEIN、PAULINE PENICHOUT、ULI FISCHER

己の中の審美眼。貫き通して道開かん。

写真家、ヘルムート・ニュートンのドキュメンタリー。正直、「フェティッシュな写真を撮る人」位にしか、彼の事を知らなかったので、どんな人物なんだろうと興味があったので、鑑賞に至る。(余談だが、テレビの「有吉クイズ」で、有吉がレスリー・キーにヘルムート・ニュートン風の写真を撮って貰っている回は傑作であった!)でも、思ってたより優しくなかった。知らない人はとことん置いて行くタイプの作品であった。考えが甘かったぜ。

ストーリーとしては、ヘルムート・ニュートンに写真を撮られた事のある12人の女性が、彼の人となりや撮影に対する姿勢等に答えて行く、証言数珠繋ぎスタイル。彼女達の言葉と文字スーパーのみで進行して行き、ナレーションはなし。何とも強気。だが、登場する人達の言葉に過不足がなければ、本来ドキュメンタリーとはこうあるべきなのだと思う。共感します。

ただ、演出が一本鎗なので、どうしても単調になりがち。12人の女性の証言も、一人一人がヘルムート・ニュートンに対する感じ方や考え方が違えばまだ面白く観れたのだが、皆一様に彼を賛辞するコメントばかり。「どんなに世間から批判されても、彼の芸術性は本物よ!」みたいな。この作品が伝えたかった事が、それであれば良いのだが、映画にする以上、何かもっと刺激的な要素が欲しかった。ニュートン礼賛!ばかりでは、彼を批評するのに材料が足りないではないか。そんなこんなで、途中から集中力を欠いてしまった。彼をもっと扱き下ろす様な証言をする人が1人位いても良いはず。

全体として作りがテレビっぽいのは、監督がテレビ畑の人だからか。ドイツで100本以上のドキュメンタリー番組を制作しているご様子。ドイツテレビ界の寵児やね。画角がハイビジョンサイズなのも頷ける。テレビ放送ではなく、劇場公開としたのは、やはり世界の人々に観て貰いたいと云う思いの表れか。

今年はドキュメンタリー作品を全然観てこなかったので、良い体験になりました。彼は照明を焚かずに、自然光を利用する事が多かったとの事。ヘルムート・ニュートンの写真集でも買って、一から勉強し直さねば。知っている人が観れば、きっともっと楽しめたのでしょう。私としては、そこそこ。

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