虎咲タイガのスタンダード調整記
はじめに
皆さん、お久しぶりです。虎咲タイガです。
この度は有利マッチを連続で踏むという幸運も手伝って、チャンピオンズカップ サイクル2 ファイナルでベスト8に入賞することができました。
配信中に《報復招来》で《華やいだエルズペス》を脱出させる、という形でトップ8を確定させることができたのは、一生の思い出になりました。
(実は、指摘されるまでフレーバーは意識していなかったのですが。)
個人的にも時間が取れるタイミングだったこともあり、この大会にはかなり本気で取り組んでいました。
そこで、最良では無いにしろ上々の結果を出すことができ、本当に夢のようです。
今回は、周囲の人間は皆モダンオープンや、サイクル3の店舗予選のパイオニアに注力しており、この大会に向けてスタンダードを調整している人が周りにいませんでした。
また、前回のファイナルで脅威の1-6を喫してしまった以上、他人を巻き込むのも忍びなく、文明の利器であるアリーナを相棒に《孤独》な調整をすることを決意します。
今大会に向けては、初めから終わりまで、ほぼ一人で調整しているが故に、この調整期間の思考について、かなり詳細に言語化することができます。
本記事では、白単に辿り着くまでの思考過程、白単の強み、デッキ解説をしておりますので、、よろしければ、興味のある部分だけでも読んでいただければ嬉しいです。
虎咲タイガのノートブック
[ファイレクシア:完全なる統一]
というわけで、孤独な調整を始めることとなりましたタイガさん。
もし、プロが十全な時間を持ってチーム調整をできる環境だったなら、ここまでの結果は出せなかったと思います。
事実、白単対赤単の相性差は、型次第では結構な差があったようで、狙った相手とマッチできないというアリーナラダーの弱点が強く出てしまいました。
相手が《熊野と渇苛斬の対峙》から入れば全て赤単、その赤単に勝ち越しているから有利、というのは、相手の型や練度を無視した危険な思考でした。
最近の大会では入賞が少なかったとはいえ、それでもまだまだ白単ミッドレンジはメタられる側である、という認識が不足していたのだと思います。
自分にとって朗報だったのは、トッププロたちが、プロツアーフォーマットであるドラフトとパイオニアにかかり切りだったこと、それに伴って環境の解明も非常に遅かったことです。
何度かPWCSには《放浪皇》を求めて参加したのですが、デッキをシェアした友人からも、デッキが2、3週ほど先を行っているとの評価を受け、環境理解度が人一倍高かったのが、今回の自分の勝因だと思っています。
スタンダード環境については、新パックが発売されるということで、流石にそのリストを見てからで良いだろうと思いました。
また、先述の通りこの期間、プロツアー参加者はドラフトとパイオニアに注力しており、Twitterなどで得られる知見もそれらのフォーマットのものが多かったように思います。
スタンダードは文字通り、誰も何も分からない暗黒時代に突入します。
2月3日に[ファイレクシア:完全なる統一]がプレリリースされましたが、今回からは紙のプレイ体験向上のため、アリーナやMOでの実装は一週間遅らせられることになりました。
アリーナでの調整を考えていた自分は、出鼻を挫かれる形となりましたが、
紙が発売されるときに、新カードの評価(と値段)が固まってしまっているというのは、Foilじゃないので事前販売に手が出しにくい自分にとってもあまり好ましいものではなかったので、この変更は納得でした。
事実、《偉大なる統一者、アトラクサ》や《離反ダニ、スクレルヴ》は買い逃したな、と思いましたし、《裏切りの棘、ヴラスカ》は見た目通り弱く、買わなくてよかったな、と思いました。
しかし、こういう体験も含めて新弾の楽しみですからね。
2月1週予想:王者はグリクシス
さて、配信を見ていただいた方の中には、もしかしたら意外に思われた方もいたかもしれません。え、ジャンドちゃうの?と。
そうです。
前回の記事で解説させていただいたように、自分は(ほぼ唯一)ジャンドミッドレンジでエリア予選を勝ち抜いて権利を取りました。
[ファイレクシア:完全なる統一]で、緑は少なくない収穫を得ており、初めは追風のように感じられました。
初めは、環境の先駆けとして、新環境ジャンドミッドレンジの記事を出そうと思っていたほどです。
そして、その目論見はジャンドというデッキが成立しなかったことで無へと帰することになりました。
[ファイレクシア:完全なる統一]が発売され、あまりのストーリーに、大きな衝撃を受けました……が、カードパワーの方の衝撃は、正直控えめだったと言って差支えないでしょう。
[白緑毒性]に負けた身分でこんなことを言うのはなんですが、少なくとも当時の自分は、[アトラクサ]以外は新規アーキタイプたり得ないと思っていました。
緑白、青緑の毒性デッキ、赤緑油増殖などは一見デッキになりそうに見えました。しかし、どこまで行ってもシナジーが強いだけのアグロデッキ。
《喉首狙い》《兄弟仲の終焉》を乗り越えるのは難しく、シナジー重視のため、赤単や青白兵士に比べても事故率が上がっているように感じました。
アーキタイプが一見増えたとしても、対処手段が普通のアグロデッキと同じならば対して意味を成しません。
また、《機械の母、エリシュ・ノーン》や各種ドミヌスに至るまで、神話レアのカードをはじめとして、出ただけでは仕事が出来ない重量級のクリーチャーが多く、《かき消し》《喉首狙い》《魂転移》の蔓延るスタンダードに対してはあまりに純朴でした。
特に完成化PWは酷く、最速での着地を考えると、必ずライフを支払う必要があり、カウンターを撃たれるだけでテンポのみならずライフまで失ってしまいます。
また、マナが伸びてからも、そのマナコストの性質上、2点を払って《かき消し》をケアする、というのは不可能に近いと思いました。
これらから受けた第一印象として、軽量カードでの戦いに特化している、現状のグリクシスの牙城を崩すのは難しそうと言う印象でした。
ただ、今までは強力無比なパワーカードであった《絶望招来》については、若干弱体化すると感じました。
《スクレルヴの巣》や《ファイレクシアの闘技場》は、どちらも軽く、アドバンテージを得られるエンチャントで、《絶望招来》で生け贄にされたとしても、既に最低限の仕事をこなした後ですし、ドローとライフルーズは抑えられます。
グリクシスは《絶望招来》以外でエンチャントに触るのは現実的には難しいので、やむなくこれで対処することになりますが、今までグリクシスの優位を不動のものとしていた《絶望招来》が、ただの除去呪文に成り下がってしまえば、十分に隙が生まれると考えました。
すなわち、前環境でジャンドミッドレンジで意識したグリクシスの弱点、《絶望招来》《死体鑑定士》が機能しないとリソース勝ち出来ない、という点を突けるデッキが良いように思いました。
2月1週予想:アグロデッキの台頭
しかし、ここでカードリストを何度も見直しました。
[ファイレクシア:完全なる統一]と言うパックは、フレーバー要素なのか、ありとあらゆる行動にライフを支払わせてくるんですね。
そのくせ、ライフを得るカードは極めて貧弱でした。
また、前環境の対グリクシスにおいても、毎回リソース負けをしているという印象はありません。
《税血の収穫者》《死体鑑定士》という優秀なクリーチャーから、《絶望招来》でアドバンテージを取られながらライフを詰められて負ける、という横綱展開も多いと感じている人も多いのではないでしょうか。
新環境は、特にライフを回復する手段をしっかり確保することが大事だと感じました。
《スクレルヴの巣》《ファイレクシアの闘技場》などの新戦力は確かに強力ではありますが、(※アリーナはそこまで活躍できませんでした……)
これらの強力なカードを使いこなすには、今まで以上に
《黙示録、シェオルドレッド》《敵対するもの、オブ・ニクシリス》
《怒りの大天使》《華やいだエルズペス》などの、強力なライフゲインカードに注目する必要があると感じました。
さて、安易に構築をすると一瞬でライフが無くなるような環境なら、赤単が台頭すると考えるのは自然です。
しかし、赤単については《レジスタンスの火、コス》こそ強力ではありましたが、メインプランを補強する劇的な新カードは得られていませんでした。実際に使用してみても、《轟く雷獣》を採用していなかったこともあり、勝率が芳しくなく、さらにはラダー特有のメインから飛び交う抹消者、立証者コンビがあまりにも辛く、本戦で使用するにはなかなかいいイメージが湧きませんでした。
そして、他のアグロデッキを使おうと考えたときに立ちはだかったのが《兄弟仲の終焉》です。メインから複数枚積んでも、グリクシスの主要クリーチャーを流せる上に、《勢団の銀行破り》を流せるために腐りにくい、このレガシー級のパイロを乗り越えるのは至難の業で、《英雄的介入》といったカードの無いスタンダードでは対策するのも極めて難しいです。
自分の予想では、次環境は恐らく、複数枚の《兄弟仲の終焉》と強固なライフゲイン手段から構築が始まるだろうと考えていました。これが、[赤単][白緑毒性][赤緑増殖]を選択肢から外した理由です。
2月2週:当然のグリクシスメタ
当然ながら生まれた[白緑毒性]は、今と比べるとリストこそ洗練されていませんが、動きとしてはあまり変わっていないので割愛します。
[赤緑増殖]は、ラダーでこそ良く当たりますが、大会等での入賞は少なく、典型的な勝てないデッキだったという印象です。
[ジャンド]は現在に至るまで未だ型が固まっていませんが、大量の新規カードを得て1シーズンぶりに環境に帰ってきました。
《硬化した屑鉄喰らい》は器用なマナクリーチャーで、序盤はマナ加速をしつつ、終盤は墓地対策兼クロックになれると、2月2週の環境に合致していました。
[赤白リアニメイト]は初めてスタンダードでアトラクサを使用したアーキタイプで、現在の赤黒、グリクシスに比べて脆いデッキではありましたが、当時は《ファイレクシアへの門》まで採用されていたこのデッキは極めてパワフルです。
これらの(恐らく)グリクシスを意識した新しいアーキタイプが登場したことによって、(皆グリクシスばかりのスタンダードに飽きていたのか)環境初期はグリクシスは僅かに鳴りを潜めることとなりました。
2月3週:白単とグリクシス
そして、アグロデッキが蔓延るという自分の予想に反して、環境初期は[白単]が台頭しました。
確かに、《骨化》は待望のPW除去ですし、新カードの《永遠の放浪者》も自然に内定すると思いましたが、3マナの《兄弟仲の終焉》とは異なり、4マナでデメリット付きの《集団失踪》では間に合わない展開が多く、新環境に大量に発生しそうなアグロには不利ではないかと思っていました。
この予想を覆したのは、環境初期のエリア予選を突破した宇都宮氏の白単に採用された《大群退治》と、効果を勘違いしていた《永遠の放浪者》です。
上記事に詳しくまとめられていたこともあり、使用者が増えた印象です。
自分は前環境でも少し白単を回していたこともあって、ある程度の下地を有していました。そこで得られた知見とは相反する記述もあったものの、それでも多くの部分を参考にさせていただきました。ありがとうございます。
また、ファストランドを得て[グリクシス]も再び舞い戻ってきました。(そもそも競技イベントが無くて、使用者がいなかっただけでは……?)追加カードとしては、《青の太陽の黄昏》が採用されていましたが、オシャレ枠かな、という印象です。
この頃になると、リアニメイトは赤黒系に収束してきます。
このデッキはラクドスミッドレンジに間借りしているため、リアニメイト出来ないときでもある程度の動きが保証されているのが特徴ですが、《ギックスの残虐》をフル採用している都合上、《絶望招来》が不採用となっており、それに伴ってエンチャントに触ることができなくなっています。
ただ、白単に心が揺れ動きつつも、この時点ではまだ自分はジャンドを諦めていません。
《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》はこの頃になるとほぼ定着し、《キキジキの鏡像》《税血の収穫者》との組み合わせはコンボ級の爆発力です。
[ジャンドミッドレンジ]は環境で最も簡単にアーティファクトとエンチャントを対処できる色です。白単は大量にアーティファクト、エンチャントを使用するため、ジャンドに分があると考えていたためです。
事実、前環境では非常に有利だったと思います。
2月3週:ジャンドの断念
前環境、ジャンドが白単に有利だったというのは儚い夢だったのでしょうか。
もちろん、自分はジャンド側としての知見があるため、《鋼の熾天使》のようなジャンドに弱いクリーチャーを採用していないというのもあるかとは思います。
しかし、これまでのジャンドの対白単の戦略としては、《告別》で流されない《敵対するもの、オブ・ニクシリス》や《ヴェールのリリアナ》などのPWを並べて、《豪火を放て》《絶望招来》で相手の盤面のカードを根こそぎ奪い取り、優位を築くというものでした。
しかし、《セラの模範》の定着によって、《ヴェールのリリアナ》は[+1][-1]共に強く使えず、自分の手札を捨てるデメリットが目立つようになり、《骨化》の登場により、コピーを生み出すPWである《敵対するもの、オブ・ニクシリス》も無理なく対処されるようになり、大きく弱体化しました。
期待の新PWも《裏切りの棘、ヴラスカ》は、[-2]が《永遠の放浪者》に対して無力で、[0]もライフを払う割に対して強くないです。[-9]は一見派手ですが、忠誠度を残すか、2枚目のヴラスカを引かない限りは何にも影響しないので、実質ジャンドでは無いのと同義です。
《免れ得ぬ破滅、ルーカ》は、《兄弟仲の終焉》に非常に弱いのが気になりますが、ひとまず白単相手と考えるなら主に[-1]でトークンを生み出すのが仕事になるでしょう。残念ながらー能力でトークン生成をするPWは、《永遠の放浪者》に対して仕事が出来ません。+能力が使い辛いこともあり、中々厳しく感じました。
《向上した精霊信者、ニッサ》の能力はすべて白単に強いのですが、早期着地はライフと初期忠誠度がキツく、[+1]能力も弱体化してしまいます。
7マナを払おうにも、土地7枚で緑緑緑緑を捻出するのは大変キツく、環境にアグロデッキも台頭することを考えると非常にリスキーな選択肢でした。
何より、自分で組んだ白単に明確に不利だと感じたのが問題です。
グリクシスはどこまで行っても赤黒系のミラー以上の勝率は担保できず、カウンターがない事からアトラクサ系にも対策カードを割く必要があり、白単ミッドレンジにももはや有利ではなく、アグロに劇的に強いわけでもない……
また、12戦という長丁場を戦うにあたって、事故率の低い単色のミッドレンジデッキは非常に魅力的な一方、ジャンドは色拘束の強い3色デッキで、すべてのカードをマナカーブ通りにプレイする必要があります。
最終戦の配信を見ていただいた方は感じてもらえたかもしれませんが、もはや《絶望招来》を打つことで有利になるというよりは、打てないと勝負の土俵にすら上がれないといった様相を呈していました。
前回のファイナルにおいて、権利を取得したデッキだから、と[アブザンパルヘリオン]という運だけデッキを持ち込んで大敗した身としては、今回はデッキ選択の時点では後悔したくないと感じました。
事故率、というものを当初から念頭に置いてデッキ選択をしたため、練習時点でもそれなりの確率で事故る[ジャンドミッドレンジ]は諦めることにしました。
せっかくなのでデッキリストを供養しておきます。
ジャンドというカラーリングにのみ許された、《税血の収穫者》《鏡割りの寓話》《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》のシナジーは非常に強力です。
《キキジキの鏡像》が相手の想定より1ターン早く機能し、除去を掻い潜ってタイヴァーの[+1]で爆発する動きは、揃いさえすれば、アグロデッキ相手だろうと、一方的に盤面を空に出来るほどには非常に強力です。
ただ、あくまでそれはクリーチャー戦に限った話。
エンチャントに触れる《第三の道のロラン》1枚で瓦解してしまいますし、白単を始めとしたミッドレンジに抗うためには《絶望招来》《豪火を放て》《向上した精霊信者、ニッサ》などの高バリューのカードを早期に何枚も叩きつける必要がありました。
そこで、ラダーで当たったデッキからパクったのが《気まぐれな厄介者》です。マナ加速からの4ターン目《絶望招来》+5ターン目《気まぐれな厄介者》+《絶望招来》は、さまざまなデッキを踏み潰せる地力があり、《巨竜戦争》や《家の焼き払い》といったモードのある全体火力や、完成化で使い潰したPWの再利用など使い道が多く、タイヴァーの常在の効果を受けた《キキジキの鏡像》でコピーすることも可能と、デッキ全体と強固なシナジーがありました。
メリットも多かったのですが、デメリットも大きく、特に先述の通り、どうしても色拘束が強く事故が多いのは誤魔化せない部分でした。
マナクリを採用してなんとか誤魔化してはいますが、どんな除去にも当たってしまう0/3は、マナベースとしては頼りなく、序盤の攻勢も凌げません。
逆転するためには《絶望招来》が頼みの綱ですが、この環境では大変意識されていて、1発では盤面を取り返せないことも多く、有効レンジの短いデッキでした。
2月4週:白単調整記
閑話休題。
[ジャンドミッドレンジ]を完全に諦めて、[白単ミッドレンジ]へと注力することにしました。
この頃になると、環境は[グリクシス][赤黒アトラクサ系]を中心として、[赤単][青単][青白兵士]などが続くといった環境となり、白単はメタの表舞台からは退場していました。
ジャンドでも白単でも無い、第三のデッキに乗り換えるという選択肢ももちろんありましたが、ラダーとはいえ、白単を使って上記のデッキに不利だと感じなかったのもあり、表舞台にいないのは、ガードが下がったタイミングだと好意的に捉えることにしました。
実際、本戦12戦の中で白単を意識していないミッドレンジデッキにも何度か当たり、立ち位置の良いデッキで戦うことができたと感じています。
とはいえ、白単が上位から現状消えているということは、環境デッキに何らかの不利要素があるのは間違いありません。
そのため、既存の白単で採用されているカードへの知見が十分深まったこのタイミングで、一旦ゼロベースからの構築を行うこととしました。
例えば、自分は《鋼の熾天使》が大嫌いなのですが、自分の気づいていないだけで、弱いカードが他にも隠れているのではないか、と思ったためです。
単体除去は《軍備放棄》《骨化》という軽量、広範囲の追放除去を、
全体除去は《一時的封鎖》《大群退治》は少し不器用ですが、無慈悲な《告別》を有しています。
アドバンテージ源は《永岩城の修繕》《婚礼の発表》という二大エンチャントと、それを使い回す《セラの模範》。
それとは別に《放浪皇》《華やいだエルズペス》《永遠の放浪者》という環境最強レベルのプレインズウォーカー。
……冷静になってカード一覧を見ると、白単色なのに、ジャンド3色のカードプールより明らかに強いです。
税血寓話タイヴァー招来以外の枠を必死に埋めている状態のジャンドに対して、各マナ域に攻撃的、防御的なエースがそれぞれ揃っています。
例えば3マナ域で攻撃的に行きたいのであれば、《輝かしい聖戦士、エーデリン》や《鋼の熾天使》があり、防御的に行きたいならば《永岩城の修繕》や《第三の道のロラン》があります。
この頃には、おおよそ持ち込みたいリストが固まり、メタゲームに合わせて細部の調整をするという段階になりましたので、これ以降は、実際のデッキリストに沿って、各カードの解説をさせていただきます。
使用デッキ解説
上記デッキリストを使用して、初日4-2-1(ID)、二日目5-0の成績を収めることができました。
内訳としては、
R1 赤単 後手 ××
R2 青単 後手 ○○
R3 青白テンポ 後手 ○×○
R4 グリクシス 後手 ○○
R5 赤単 後手 ××
R6 赤黒アトラクサ 先手 ○○
R7 赤単 ID (先手 ○×○)
R8 グリクシス 先手 ○○
R9 白単 先手 ○○
R10 マルドゥ 先手 ○○
R11 グリクシス 後手 ×○○
R12 ジャンド 先手 ○○
ベスト8 白緑毒性 後手 ×○×
結果的にはアグロの後手にしか負けませんでした。初日のIDのおかげで、引き分けたプレイヤーとしか当たらなくなるというファインプレー。
特に白単ミラーでは、採用カードによる相性差をかなり感じました。
相手の方は赤単への対策カードがかなり多く、かなり白単を意識している自分の構築とは対照的でした。
その分、後手の赤単、白緑毒性を全て取りこぼしており、個人調整の結果、正確に相性差、メタゲームを把握できていなかったのだと実感しました。
このデッキは、ラダーでよく当たる赤単には有利がつくように調整したつもりでした。
そのため、《骨化》は4枚採用されていないですし、サイドの全体除去は控えめで、《痛烈な一撃》は採用していませんでした。
しかし、ラダーでは当たる相手の力量によって、負け試合を拾えてしまうことがありますし、同じマッチを数十戦行っての統計を取ることもできませんでした。
赤単を持ち込むプレイヤーは、当然白単を克服したレシピに仕上げてくるでしょうし、安易に有利として思考停止してしまったのは問題でした。
今回の最大の反省点です。
メインボード
クリーチャー
《徴兵士官》 2
このカードは、一番最後に採用したカードです。
赤単に有利に仕上がった、と勘違いした理由のカードです。
まず、白単の除去二種は、どちらも非常に強力ですが、ソーサリータイミングという弱点があります。
現在の赤単のクリーチャーはすべて速攻がついており、先手を取ったとしても、後手に回らされることが多いと感じました。
白単最強のカードである《野心的な農場労働者》も、環境常連の《勢団の銀行破り》も、高速でライフを詰めてくる赤単にはその能力を活かす間もなく本体を焼かれてしまいます。
しかし、2、3マナのアクションをアグロ対策に割いて試したところ、本来有利であるはずのグリクシスなどのマッチを取りこぼすことが多くなり、グリクシスが多いと予想している今大会の環境では、本末転倒に感じました。
そうなると、白単に残されているアクションは1ターン目しかありません。
幸い、タップイン土地は採用されておらず、18枚は白マナなので、初手に引きさえすればほぼ出すことができ、相手のあらゆる行動に対して、マナ、カード的にほぼ損しません。
とはいえ、1/1のクリーチャーでは《野心的な農場労働者》の二の舞なので、1マナ2/1のクリーチャーを探したところ、スタンダードにはこの《徴兵士官》と《有能な整備士》しかいませんでした。
アーティファクトカウントになり、単独で《勢団の銀行破り》に搭乗できる《有能な整備士》にも強みはありましたが、《第三の道のロラン》で破壊される点は、赤単以外のマッチにおいてアド損をしないという前提を満たしていない点が気になりました。
《徴兵士官》の起動型能力もインクの染みと言うには強すぎるため、今回はこちらを採用しました。
ただ、《轟く雷獣》には少し弱く感じました。
雷獣が隣のクリーチャーを強化することで、2/1ではブロッカーとしての性能が落ちてしまいます。
まぁ、それでも1マナなので、そこまでは損していないのですが。
《野心的な農場労働者》 4
白単を使用する最大の動機となったカードです。
もちろん《軍備放棄》というカードもありますが、あれだけなら他に1色をタッチするくらいの余裕はあります。白単の面子が強固すぎるので、色を足す必要がないだけという側面もありますが……
このカードは、2マナで出せる基本土地サーチでありながら、マナの余る終盤や、ライフの足りなくなる中盤には、追加3マナで3/3絆魂に変身することができます。
集会要員については、少し意識して集める必要があり、
パワー1 自身、《婚礼の発表》《勢団の銀行破り》
パワー2 《徴兵士官》《第三の道のロラン》《放浪皇》
パワー3 《セラの模範》《放浪皇》
パワー4 《勢団の銀行破り》
といった感じです。
特に、タップ状態の銀行破りに搭乗することで集会を満たせる盤面は非常に多いので、バトル前やエンド前には注意を払います。
ここまでだけでも十分強力なのに、土地が引けていないときには、《永岩城の修繕》の2章で捨てることで、タダで出して《平地》をサーチできたり、逆に、墓地にあるときには手札の《平地》をコストにすることで実質タダで戦場に出たり、墓地に落ちたら6マナで《セラの模範》で使いまわされたり、と1枚引くだけでも2、3枚の平地をもたらします。
《神憑く相棒》と散らしている型もありますが、個人的にはこちらの4枚採用は揺るがないと思っています。
ただの1枚ドローなら、他にいくらでも替えが効くからです。
何よりも素晴らしいのが、上記の使い回しの過程で、デッキに17枚入っている《平地》がどんどん減っていく点です。
モダン以下の環境で、土地を無駄引きしないためにフェッチランドを起動した経験がある人は多いと思いますが、その比ではない速さでデッキがどんどん圧縮されていきます。
長期戦では無視できないほどドローの質が向上し、血・トークンで土地をルーターしている相手を尻目に強力なカードを叩きつけることが可能です。
《眼識の収集》でめちゃくちゃ強いカードを抜かれるのもこれが原因です。
フィニッシャーを抜かれてのライブラリーアウトがかなりきついです。
《剛胆な敵対者》 2
2マナ3/1絆魂でアグロデッキ、特に赤単に強く出られます。毒性相手には、残念ながら十分な壁になれませんでした。
《火遊び》で焼かれてしまうとテンポ損してしまいますが、それ以外なら絆魂のお陰でおおよそ文句の無い交換が取れると思います。
しかし、このカードの真価はやはり後半のロード効果で、序盤に適当に2/3/1として使い捨てたのちに、《セラの模範》や《永岩城の修繕》から使い回すという動きが非常に強力です。
軽量パーマネントしか使い回せないという、弱点というほどでも無い模範の弱点を補うことができます。4/4/2の+1/+1ロード、6/5/3の+2/+2ロードと、融通が効く割には非常に高効率です。
例えば、相手の盤面に3/2がいて殴れず、《婚礼の発表》が3体トークンを生み、隣に《野心的な農場労働者》といった盤面はよくあります。
ここで《永岩城の修繕》で踏み倒して6マナを注ぐことで、《婚礼の祭典》と併せて修正値は+4/+4。合計パワーが20になり、急に人が死にます。
ただ、《喉首狙い》などの確定除去には、マナを支払った後に対処されるため明確に弱く、サイド後はこだわり過ぎないことが大切です。
《第三の道のロラン》 2
ほぼ《再利用の賢者》ですが、警戒は《放浪皇》の存在からかなり有り難く、ドロー効果もそれなりに使います。
このカードが存在することで、《華やいだエルズペス》の-3効果が《解呪》になる可能性があると言うのは大きいです。
先述の通り、デッキから基本土地はどんどん減っていきますので、ゲーム中盤で引けていない状態なら、7枚も見ればそれなりの確率で見つかります。
そして、とりあえず1枚さえ引ければ、《セラの模範》や《永遠の放浪者》で使いまわして……
このカードが蔓延る環境では《鋼の熾天使》を使いたくないと感じました。
ロランの起動型能力のタイミングですが、今大会では以下のような基準で起動しました。
・自分の手札にアクションが無い
もしくはアクションに必要な土地が無いときに、
・自分がアドバンテージソース(銀行破りなど)を持っていない。
・相手がディスカードをする必要がある。(タダ得!)
特に後者はアトラクサの返しなどに頻繁に発生し、簡単にアドバンテージ差を埋められるので逃さず狙っていきましょう。
《セラの模範》 3
生き残るだけで無尽蔵にアドバンテージを稼ぐお化け天使です。
特に、ブリンクでデメリットを帳消しにできる《永岩城の修繕》や、能動的にライフゲインができるようになる《道路脇の聖遺》と相性がいいですが、正直唱えられさえすれば、なんでも勝つくらいのインパクトがあります。
ライフを攻めるアグロデッキ相手に、5マナで唱えてすぐ《徴兵士官》を拾う動きが強く、インクの染みのように書かれた2点ゲインが沁みます。
自分がこのデッキに1マナクリーチャーを採用するべきと確信した出来事でした。
また除去られやすく、残ると無双できるクリーチャーであることから、
《報復招来》で釣る対象としても非常に優秀です。2枚目を引いていたり、既に《報復招来》を引いている場合は、利確できない4マナ時点でもガンガン出していいと思います。
マス除去なので相手の動きを縛れますし、《削剥》が当たらないので、そもそも除去られないことも多いです。
スペル
《軍備放棄》 4
もしかしてインスタント!?と思いましたが、流石にソーサリーでした。
それでも恐らく環境最強の除去です。
《平地》さえ7枚確保してしまえば、《偉大なる統率者、アトラクサ》さえ墓地に落とさず追放し、大きなアドバンテージ差をテンポ差で取り返すことができます。
見ての通りのカードな上に強すぎるので特に言うことも無いのですが、あえて言うならば、このカードが存在する以上、序盤に置く土地は、ハンデスで確認されているものから、といった普段の定石に従うよりは、《平地》から優先して置いたほうがいいでしょう。
今回はリスト公開制の大会だったので、特に顕著でしたが、相手のデッキ内で《軍備放棄》を当てるに値するクリーチャーであるかは考慮しましょう。
軽い除去なので、手なりで《税血の収穫者》や《死体鑑定士》なんかに打ちたくなってしまう場合がありますが、最低限、次ターンの《黙示録、シェオルドレッド》に困らないかくらいは考えてから打ちましょう。
あと、このカード特有の動きとしては、赤単相手に一定の盤面を築いたら、積極的に自分の人間・トークンなどに打ちましょう。3点はおよそカード1枚分ですし、どうせソーサリーなので最後の一撃を止める役には立ちません。
《骨化》 2
ついに白単が手に入れたプレインズウォーカー除去です。
《岩への繋ぎ止め》《薄氷の上》の系譜ですが、それらと違い2マナになったことでプレインズウォーカーが触れるようになりました。歴代でもかなり強力な部類に入ります。
《軍備放棄》と比べ、わずかに重いですが、代わりにパーマネントなので、《永岩城の修繕》《セラの模範》で使い回すことができます。追放除去でも無ければ、割られてもいいやくらいの気持ちで使っていきましょう。
注意点としては、まぁ見た通りなのですが、流石に《死体鑑定士》や《キキジキの鏡像》のようなクリーチャーを隠すのは分が悪いので、ゴブリン・シャーマンや《黙示録、シェオルドレッド》のような、トークンやCIPを持たないクリーチャーに優先して使うことと、《裏切りの棘、ヴラスカ》や《向上した精霊信者、ニッサ》など一部の完成化PWは、即割りで忠誠度が大きく回復してしまうので、場合によっては放置したほうがいい場合もあります。
なんなら、他のクリーチャーなどを隠して、ニッサの[-1]で割られても問題ないくらいです。
一般的な白単と比べて、枚数を抑えていますが、3枚目、4枚目が欲しいマッチは相当存在します。ただ、主に赤単を相手する場合に、2マナのソーサリー除去で後手に回る展開を嫌がって、低マナクリーチャーに枠を割いているためです。
[緑白毒性]が流行すると踏むのであれば、好みに合わせてクリーチャーを減らして増やしてもらえればいいと思います。
《勢団の銀行破り》 2
100円レアからあらゆるスタンダードデッキに採用されるところまで昇り詰めた、シンデレラビークルです。
ただ、序盤が弱くてアドバンテージに長けるという評価を受ける白単で、メインから4枚フル投入するのはどうかなと思います。
序盤に引けなかったとしても、どうせ3マナエンチャントが渋滞してしばらく引けませんし、割られても《セラの模範》《永岩城の修繕》で拾える2マナ以下のパーマネントなので、《羅利骨灰》以外なら大した問題にはなりません。
アドバンテージ源としてはもちろん、《野心的な農場労働者》の集会要員として優秀ですし、《道路脇の聖遺》のアーティファクトカウントを稼いでくれます。
また、デッキに数少ない無色クリーチャーであるため、《離反ダニ、スクレルヴ》のブロック制限をかいくぐることができます。
《報復招来》がちょうどいいことに機体にカウンターが乗せられるため、搭乗要員を釣り上げながらいきなり殴りかかることもでき、《華やいだエルズペス》のキーワードカウンターを乗せる対象としても優秀です。
総じて、非常に強力ではありますが、起動し終わらないうちに次々と引きたくはない、2枚以上3枚以下の採用が望ましいと感じましたので、今回はメインに2枚、サイドボードに追加の1枚を採用しました。
《婚礼の発表》 4
特段デッキに合っているわけではないのですが、スタンダードの中でトップ3に入るくらい強力なカードですので4枚。
このカードを置くターンの不利を誤魔化すために《徴兵士官》などの低マナ域のクリーチャーを採用していると言ってもいいでしょう。
《婚礼の発表》に関しては、皆さん長い付き合いかと思います。
白単特有の注意点として、特にミラーマッチにて、片方に婚礼が並んだ際にサイズ差で押し切られることがあります。
この展開を阻害するためにはどうしても《告別》が必要です。
自分が一方的に婚礼を出しすぎたのでエンチャントを追放され、その後出された婚礼に対応できない、相手が一方的に婚礼を出していたので、《告別》でエンチャントを残されて、盤面を作り直す際にP/T差が覆らないなどの展開が代表的です。
《第三の道のロラン》による破壊では、《セラの模範》で使い回されてしまうため、安易な婚礼展開は無理盤面を生み出してしまう可能性があります。
変身が時間差であることも鑑みると、相手より2枚も3枚も多く出すのは望ましくありません。
先手3ターン目4ターン目で連打するくらいなら問題ないですが、中盤にまとめ引いた《婚礼の発表》は大事に使いましょう。
この負け展開を意識して、今回のデッキでは《告別》の2枚採用を前提条件としていました。
《永岩城の修繕》 2
ただ強枠の《婚礼の発表》とは逆に、こちらは凄くデッキに合っているシナジー寄りのカードです。
単体では、特に1章が盤面に影響しておらず、同サイクルのイカれポンチ《鏡割りの寓話》と比較してもあまり強力とは言えないため、世の白単が採用を辞めたのも理解できます。
今回は低マナ域のクリーチャーを採用することで、3マナエンチャントの隙を埋めるというのをデッキコンセプトとしていますので、2枚ほど採用しました。
2章になれば、タップインですが2マナ以下のパーマネントの踏み倒し、土地を出すことでの疑似ランパンでテンポを補い、3章では《オレスコスの王、ブリマーズ》を彷彿とさせるサイズと能力で、3マナとしては十分な戦力が手に入るので、序盤さえ凌げるなら、総合的にはマナ効率も悪くはないカードです。
《セラの模範》との相性が良く、3章まで破壊されなければ、一時的追放によってあちらの誘発付与が消え、何度も使いまわせる状態になります。まぁ模範何ターン生き残ってんだよって話ですが。
他に《永岩城の修繕》の利点としては、模範で直接《道路脇の聖遺》を置いてしまうと、1回起動すると追放されてしまいます。《永岩城の修繕》の2章を経由することで、タップインのため非常に時間はかかりますが、1枚の《道路脇の聖遺》で粘り強くアドバンテージを稼ぐことができます。(また、疑似ランパン効果のおかげで、土地が縮みません。)
特にミラーマッチにおいては勝敗を分ける場合があるので覚えておいて損はないです。
《放浪皇》 4
インスタントタイミングで出せる、史上例を見ないPWです。
白単では、4マナを構えてターンを返すという動きが極めて不自然なので、ケアされてはしまいますが、それでも警戒を持たないクリーチャーの攻撃を1ターン躊躇させ、2/2の侍を2体出しながら忠誠度1のPWが残るのは法外と言ってもいいと思います。
アグロ対策からカウンター対策、招来避けまで、なんでもこなす値段以外はいい女。
まぁ……このカードのことは皆さん嫌というほどよくご存知かと思いますので、このデッキ特有の動きをいくつか解説させていただきます。
・[+1][-1]を上手く使うことで、《野心的な農場労働者》の集会を達成できるよう立ち回る
《放浪皇》は相手ターンのキャストから自ターンまでの動きで、パワー2、3のどちらかが用意でき、もう1ターン生存すれば、2と3をどちらも用意することができます。
・《勢団の銀行破り》に搭乗することで[-2]を自分のクリーチャーに打てる
白単はライフを詰められて負ける展開が多いデッキです。
相手の勝利を確信した飛び道具を躱すことができる場合があるので覚えておきたいです。
また、盤面はある程度取れていて、ライフが危なく、かつ銀行破りがない状態では、タップ状態のクリーチャーを用意するために、あえて警戒を持たないクリーチャーでアタックをしておく仕込みも重要です。
《華やいだエルズペス》 2
初めて見たときは[-7]が弱く、マナコストの割に弱いと思いました。
初めて使われたときは[+1]で順番にカウンターを乗せられて負け、《天使の運命》のごとき性能に驚愕しました。
初めて使ったときは[-3]が《婚礼の発表》をめくり、《絶望招来》と1:1交換をし、マナコスト相応に強いと思いました。
メインでの主な用途は[+1]で絆魂を付与することです。
凹みがちなライフを一瞬で原点近くまで戻し、しかも除去られない限りそのカウンターは永続します。
白の持つ戦闘用キーワード能力4つから選べますし、さらに+1/+1カウンターでサイズも上げる。
例えば非力な1/1の人間に、4回[+1]能力を起動したら、5/5飛行絆魂警戒先制という稀代の大英雄が生まれてしまいます。
《鋼の熾天使》と違い、ブロック時に絆魂を維持でき、1ターン生存できれば警戒も付与できるため出すターンの重さ以外には隙がありません。
[-3]はクリーチャーをめくることが出来れば、1回限りの無敵のブロッカーとしても運用できるため、[-3]から入っても見た目以上には硬いです。
《兄弟仲の終焉》を盾・カウンターで避けられるのもGOOD。
奥義こと[-7]は、見た目通りあまり強くないのですが、[+1]を主に使うカードである都合で、全体除去などの返しで使える機会はそこそこあります。
間違っても使い捨てたりはしないようにしましょう。
《マイトストーンとウィークストーン》 2
断言します。白単ミッドレンジにおいて最も重要なカードはこの《マイトストーンとウィークストーン》です。
白が得意では無いドローと除去を、2.5マナ相当ではありますが、選べるというだけでも強力ですが、このカードはパーマネントとして場に残り、条件付きの2マナをも生み出します。
テンポの悪い白単というデッキにおいて、マナ加速というのは非常に理にかなっており、CIPも相まって非常に強力です。
うーんでも用途が限られているから……とお思いの方のために、以下にこのデッキでのパワーストーンマナの用途を列記します。
・《勢団の銀行破り》のキャスト、起動マナ
・《徴兵士官》の起動マナ
・《野心的な農場労働者》の起動マナ
・《剛胆な敵対者》の誘発マナ
・《道路脇の聖遺》の起動マナ
・《皇国の地、永岩城》の起動マナ
・《石の脳》のキャスト、起動マナ
・《街並みの地ならし屋》のキャスト、蘇生マナ
特に《道路脇の聖遺》の起動マナに当てられるのが強力です。
2ドローできるこの土地は非常に強力ですが、土地を失いながらの2マナ+タップ起動を要求するため、非常にテンポが悪いです。
この起動を、基本的には《マイトストーンとウィークストーン》の設置後と考えることで、アーティファクトを用意しながら起動マナも確保でき、余裕を持って《セラの模範》で使いまわすことが容易になります。
《永遠の放浪者》とも非常に相性が良いのですが、詳しくはそちらで解説いたします。
《報復招来》 1
このカードは、環境初期に流行していた赤白リアニメイトに使用されていたことで、日の目を浴びました。
実は、環境初期に少し赤白リアニメイトも触ったのですが、このカードは別に《偉大なる統一者、アトラクサ》を釣ることに拘らずとも十分強いと感じました。
結局、リアニメイトはより汎用性の高い《ギックスの残虐》が主流となり、恐らく会場で唯一このカードを使うデッキになってしまいました。
どうしても小粒なクリーチャーが多い白単において、相手にサイズ面で追いつきながら、PWなどの蘇生が可能というのは素晴らしく、ちょうど配信していただいた最終第12戦において、《華やいだエルズペス》蘇生からの10/10侍が絆魂で殴る、というのもよく起きる展開です。
このように1体を急に大きくすることで、絆魂によるライフゲインや、PWの対処札として使うこともできますし、クリーチャー全体のパワーを3まで引き上げ、《死体鑑定士》相手に殴っていく、という展開もありますし、《永遠の放浪者》の二段攻撃侍に+1/+1カウンターを4つ乗せながら、《華やいだエルズペス》で飛行を付与すると、一気に14点のライフをもぎとる一撃必殺としても機能します。
また、デッキ全体の潤滑油としても優れていて、最終的な盤面にそれぞれ1枚は欲しい、《セラの模範》《マイトストーンとウィークストーン》《華やいだエルズペス》《永遠の放浪者》のかさ増しをすることができ、大振りなリアニメイトカードという見た目以上に器用なカードだと感じました。
とはいえ、当然《敬虔な新米、デニック》をはじめとした墓地対策には無力で、手札にこれだけあっても何もできません。
非常に強力なカードではありますが、1枚採用で十分だと思います。
《永遠の放浪者》 2
かつて、白単はメインに全体除去を数枚採用していました。
自分の型なら《集団失踪》と《告別》を2枚ずつ。
グリクシスだって多くはメインから《兄弟仲の終焉》を採用していますし、ミッドレンジとして何一つおかしいことはありません。
その枠は、今やすっかり《永遠の放浪者》(と、それをリアニメイトできる《報復招来》)に差し変わる形になりました。
6マナのPWが登場後即起動できる能力で、忠誠度を残しながら、並の全体除去より強い動きをします。何かがおかしい。
有利盤面ではどうしても手札で腐りがちな全体除去が、単体でも超強力なPWに内蔵されているんです。こんなの弱いはずがありません。
このカードは個人的に[ファイレクシア:完全なる統一]で最強のカードだと思っています。
[0]は見た目通りの強さで、特別なことはないですが、二段攻撃持ちの2/2は、あらゆる強化手段と相性が良く、クロックとしてもブロッカーとしても一流です。
特筆すべきは[+1]で、見た目以上に器用に使えます。
相手のトークンクリーチャーを除去したり、カウンターをリセットするのは普通の動きとして強いですが、戻ってくるタイミングがオーナーごとに異なることに注目すると、自分のクリーチャーには疑似警戒、相手のクリーチャーには疑似《仮初めの時間》効果と、この時点で不穏な気配が漂います。
CIP持ちのカードと組み合わせると、そのCIP効果が疑似的に《永遠の放浪者》の[+1]能力となります。
《マイトストーンとウィークストーン》は特に相性が良く、-5/-5修正と2ドローを選べるため、数ターンもすれば趨勢が傾きます。
また、この過程に《勢団の銀行破り》《道路脇の聖遺》などが添えられていれば、なんとブリンク前の2マナ分も得をします。
この動きはタイヴァー寓話コンボに匹敵するインパクトがあり、揃った状態では《偉大なる統一者、アトラクサ》にも捲られることはありません。
このカードは正に令和の《王冠泥棒、オーコ》と言っていいほどの汎用性と効果を有しています。
土地
《平地》 17
《平地》です。最強の土地です。最強の土地は《島》であるとの指摘を受けました。お詫びして訂正いたします。
ゲームの内容とは直接関係無いのですが、《野心的な農場労働者》などで頻繁にサーチする都合上、探しやすいフルアート土地が望ましく、サーチしていない土地を見せて情報アドを失うという展開を避けたい(または、それを気にする思考リソースを節約したい)ので絵柄は統一したほうがいいと思います。
ただ、《軍備放棄》で解説したように、基本的にはあらゆる他のランドより優先して置きます。
赤単など、相手のクリーチャーがXマナまでと想像がつくのであれば、その枚数まで、環境的には7枚まで置ければ充分で、後の平地は手札コストとして投げ捨てても構わないと思いますネ!
《道路脇の聖遺》 4
条件を満たせば最大で2ドローできる土地です。
キャノピーランドのような1ドローの土地は、あくまでフラッドした土地を他のカードに代えているだけですが、2ドローはアドバンテージを取れているので強力です。
今や《予言》を3マナ相当というのは憚られますが、使用マナ的にも大きく損はしていません。
スタンダードでも最強クラスのこのバリューランドですが、無色土地ということで、他のデッキでは採用されていません。
これを無理なく使えるのが白単の強みでもあります。
普通に使い捨てたとしてもそれなりに強力ですが、なんと《永岩城の修繕》と《セラの模範》で使いまわせます。
注意点としては、他のキャノピーランドと比べて、ドローするためには条件があるため、それらが起動されやすいタイミングである、やることの無くなった、全てを失った盤面では、何もしないことには気をつける必要があります。
押されている展開だからこそ起動しなければいけない、というある種矛盾した状況も、それなりに起こり得ます。
エンチャントはともかく、現状のレシピではアーティファクトの確保が少し難しいです。
《有能な整備士》《頂点の記録者》などの低マナクリーチャー枠を割り当てる、《ミレックス》など、アーティファクトトークンを出せる土地を採用するなどが候補として挙げられると思います。
また《スクレルヴの巣》は、1枚で両方の条件を満たしてくれるため、《道路脇の聖遺》が重要なマッチでは、カードテキスト以上に強力です。
アーティファクトについては、相手から貰えることもあります。
《運命的不在》《街並みの地ならし屋》《裏切りの棘、ヴラスカ》などはアーティファクトを供給してくれるので意識しておきたいです。
《皇国の地、永岩城》 1
デッキに入っている伝説のクリーチャーも《第三の道のロラン》だけで、エスパーレジェンズのように軽く打てるというわけでは無いのですが、リスト公開制なのも手伝って、1枚は用意しようと思いました。
調整期間は、《平地》《廃墟の地》《ミレックス》などと比較しましたが、最低限白マナが出るのは大きいということで、今回はこちらを採用しました。
サイドボード
《スレイベンの守護者、サリア》 2
主にリアニメイトや青単のためにサイドボードに用意しました。
白単はかなりスペルが多いデッキのため、あまりデッキには合っていないのですが、構造上土地を伸ばしやすいデッキであること、赤単などの不利マッチ全般に使えるため、なんとか我慢できます。
土地が止まったら泣きましょう。俺は泣いた。
《粗暴な聖戦士》 2
主に青単やエスパーレジェンズのためにサイドボードに用意しました。
クリーチャー呪文で除去ができるのは上記デッキ相手に非常に好ましいです。
《放浪皇》を構えることで自然に夜面にすることが可能で、再度昼面にすることで追加で除去効果を使うことができ、《別館の歩哨》と比べても使いやすいです。
その他のデッキ相手では、すぐ除去られてしまうのは玉に瑕ですが。
僅かでも減速が狙える赤単などには一応サイドインします。
《第三の道のロラン》 1
白単やグリクシスなどのミッドレンジデッキ用に3枚目を用意しています。
メインボードで詳細に解説をしています。
特筆することは、枚数を増やすことで、《華やいだエルズペス》からヒットする確率が少し上がっているくらいです。
《スクレルヴの巣》 1
主にグリクシスなどの《絶望招来》の的として用意しましたが、少し過剰だったかもしれません。
《セラの模範》などで使いまわせますが、その役割は《骨化》でも十分でした。
生み出すトークンはアップキープでブロックが出来ないため、招来避け以上の役割が持てるマッチがなかったのも過剰部分に感じました。
白単などの《道路脇の聖遺》が重要なマッチでは、このカードを置くことで、アーティファクトとエンチャントを確保することができます。
《勢団の銀行破り》 1
白単やグリクシスなどのミッドレンジ、後はいるかわからないコントロールのために追加を用意しました。
こんなに必要ないかな……と思うことは多々ありますが、早めに1枚は引きたいカードである上、多くのミッドレンジデッキはメインから4枚採用している分、ここを削るとリソース負けする展開が増える可能性があります。
《石の脳》 2
リアニメイト対策として、世の白単でも一般的に使われているカードです。
除去対策に4マナ用意してからキャストするよりも、2ターン目に適当に出して《削剥》《かき消し》を吊り出して墓地に落ちても普通に強いです。
どうせ起動時には追放されるため、《セラの模範》などで使い回して、その分のアドバンテージを貰いましょう。
リアニメイト相手の場合は、基本的には《偉大なる統率者、アトラクサ》を宣言しておいたほうが無難ですが、赤黒に絞っている場合など、通常キャストが難しそうなら、まあまあ強力な《ギックスの残虐》を抜いてもいいでしょう。
また、青単、兵士相手にも投入します。
青単は《傲慢なジン》>《知識の流れ》>《トレイリアの恐怖》の順で抜きます。
ただ、デッキが公開制でないときに、特に青単というデッキの中身は詳しく推測するのは難しいので、確実に投入されている《傲慢なジン》を抜きましょう。
決勝に残られていた青単は、《秘密を掘り下げる者》型で、《知識の流れ》も多かったので、ジンが着地するまではジン、着地してしまったら《知識の流れ》を抜く方針です。
また、兵士相手は一撃死を生み出す《先兵の飛行士、ハービン》>アドバンテージ源の《天空射の士官》の順で抜きます。
《天空射の士官》を抜くことはほとんどないです。
《一時的封鎖》 1
青緑毒性がどうしようもないのでお守りとして入れました。アグロデッキ対策の全除去ですが、アグロも普通に3マナくらいまでは入ってるわ、自分のトークンや《骨化》を隠すわで正直使いづらいったらないです。
とはいえ、他に便利な軽量全体除去があるわけでもないので使わざるを得ません。
《スクレルヴの巣》など、置物も含めて対処できるのは高評価で、割られるというリスクはもちろんありますが、《セラの模範》で取り返せます。
カードが比較的安い分、今後紙で緑白毒性は流行りそうなので、過剰サイドを削ってこの辺りを増やした方が戦いやすいと思います。
《大群退治》 1
エスパーレジェンド相手ではどうしてもハメ展開があるので、お守りとして1枚採用しました。
《集団失踪》では、ほぼ確実にドローされてしまうため感触が良くないです。こちらも少し不器用ではありますが、まだ幾分かマシでしょう。
速攻クリーチャーが多い赤単相手では、ダメージを抑えるためにピン除去を打たされがちで、思ったより赤単相手には軽く打てません。
調整した結果、本戦では自分はサイドインしていませんでした……しかし、《鏡割りの寓話》《轟く雷獣》が並ぶ展開は非常にキツいので、《一時的封鎖》より優先するべきかもしれません。
余談ですが、本戦後、あまりに毒性に負けたのが悔しくてアリーナで《一時的封鎖》3の型を回していたのですが、ラクドスアグロ相手に普通に手札で3枚腐って負けたのでこっちと散らしたほうがいいと思います!!!!
《告別》 2
プレインズウォーカー以外に永遠の別れを告げる追放全除去です。
白単のミラーマッチをとんでもなく煩雑にしているカードでもあります。
グリクシスなどのミッドレンジ、毒性やラクドスサクリファイスなどの置物を使うアグロなどには1枚、
白単やリアニメイトには2枚サイドインしました。
《告別》というのは端的に言うとちゃぶ台返しなので、相手より多く持ってさえいれば、うっかり殴り切られてしまう展開を防ぐことができます。
《告別》の存在をチラつかせることで、プレインズウォーカーを落とすため、守るためにいかなる犠牲も許容される、まるで旧世代のような、普段とは全く異なるプレイングが求められるゲームが楽しめます。
《永遠の放浪者》 1
最強のプレインズウォーカーなので白単やグリクシスに追加します。
特に白単ミラーは、《告別》をお互いに投入する都合、《永遠の放浪者》をめぐる勝負になりやすいです。[+1]能力は自分の強力なクリーチャー、おおむね《セラの模範》を《告別》から守ることができますし、《告別》後に[0]から素早くマウントを取ることも可能なためです。
《告別》のあるマッチに限っては、相手のクリーチャーを《仮初めの時間》的に追放するのはあまりオススメできません。
大型クリーチャーを2体残されて《告別》を通されると、《永遠の放浪者》でも立ち向かえなくなってしまいます。
終盤においては、およそ両側にこのとんでもないPWが鎮座する展開になりがちですが、もし片側のみに定着してしまうと、趨勢が一気に傾いてしまいます。
とんでもない常在能力のせいで、小粒のクリーチャーが並びがちな現スタンのミッドレンジデッキでは、殴って落とすことは極めて難しいです。
《街並みの地ならし屋》 1
というわけで、ミラーを重く見るならば、こういったカードがどうしても必要になります。
最低1回、おおよそ2回は厄介なパーマネント(主に《永遠の放浪者》)を食べることができます。
そもそもサイドインするマッチ相手は、普通に8マナを並べられるマッチですし、《マイトストーンとウィークストーン》が絡めば最速6ターン目にキャストできます。
この場合は特に《軍備放棄》に引っかからないので、《骨化》《第三の道のロラン》が無ければ攻撃まで行けて、《放浪皇》が無ければ除去られません。
前環境では、試作できない《瞬足光線の大隊》なんかもフィニッシャーとして優秀でしたが、そちらは《永遠の放浪者》を相手にした際に力不足でした。
そのため、カウンターにも強いこちらを選択しました。
マッチ相性 サイドボーディングガイド
赤単
メイン:微不利? サイド後:微不利?
有利だと思い込んでいたマッチアップです。
《轟く雷獣》型とのテストがあまりできておらず、ラダーで対面した際には運良く《放浪皇》などを引けていたため問題になりませんでした。
先手を取られて速攻クリーチャーで雪崩込まれたらきついのは当たり前です。そして、メインで先手を取れないとサイド後の後手を取る必要があるので当然きついです。
OUT:
《勢団の銀行破り》2
《永岩城の修繕》2
《マイトストーンとウィークストーン》1
《永遠の放浪者》2
IN:
《スレイベンの守護者、サリア》2
《粗暴な聖戦士》2
《第三の道のロラン》1
《一時的封鎖》1
《大群退治》1
全般的に使う暇のないカードを抜きます。
《華やいだエルズペス》を絡めて一気にライフを捲りたいので、《報復招来》を残します。
《離反ダニ、スクレルヴ》がいないため、邪魔になったらブロックする権利くらいは貰えそうなので、サリアもサイドインします。タフ2を少しでも止められれば儲け物です。
《粗暴な聖戦士》も速攻クリーチャーを隠して何が美味しいんだという話ですが、熊野の+1カウンターをリセットできるくらいの気持ちで出しましょう。
1ターン生存して、《放浪皇》を構えられれば、護法持ちの3/3先制と、ブロッカーとして頼りになるスペックに変身できます。
なんとか3ターン目までのアクションを相手の動きに噛み合わせて、《放浪皇》《セラの模範》《華やいだエルズペス》を機能させるゲームになります。
青単
メイン:微不利 サイド後:五分以上
メインは《第三の道のロラン》《永遠の放浪者》など明確な無駄牌があり、こちらが殴り切るには《傲慢なジン》の着地が遅れたり、除去が通るなどのある程度の幸運が必要になります。
とはいえ、こちらも軽量クリーチャーをメインから積んでいますし、除去が限られている以上、特に《剛胆な敵対者》ならライフレースを誤魔化せなくもないです。
サイド後は、デッキ構造上の辛さはどうしても残りますが、カード単位で無駄が無くなるので十分戦えます。
OUT:
《第三の道のロラン》2
《セラの模範》1
《華やいだエルズペス》1
《報復招来》1
《永遠の放浪者》2
IN:
《スレイベンの守護者、サリア》2
《粗暴な聖戦士》2
《石の脳》2
《スクレルヴの巣》1
抜くカードは、除去対象の居ない《第三の道のロラン》や、単純除去を打たれない《セラの模範》、あとは重いスペルです。
入れるカードはこのデッキを意識して用意した、明確なヘイトカードである《スレイベンの守護者、サリア》に加え、クリーチャー枠で何度も除去ができる《粗暴な聖戦士》、もはやリアニメイトよりこちらが主用途という疑いのある《石の脳》と、劇的なカードを複数投入できます。
《マイトストーンとウィークストーン》も重いカードではありますが、《トレイリアの恐怖》を除去する際に護法マナを支払えたり、置ければ不確定カウンターをケアできるなど、使い道が多いので、重いカードの中では優先して残します。
《石の脳》は《傲慢なジン》→《知識の流れ》で抜きます。《秘密を掘り下げる者》《帳簿裂き》が両方無い型ならば、ジンの後に《トレイリアの恐怖》を抜いてもいいかもしれません。
兵士
メイン:微不利 サイド後:有利
メインは《永遠の放浪者》しか全体除去が無く、さらにインスタント除去も無いため《先兵の飛行士、ハービン》を引かれたら負ける、という盤面になることが非常に多いです。
地上も硬直しており、こちらが勝つには飛んでいる《セラの模範》か《華やいだエルズペス》に縋る必要があります。
とはいえ、盤面を硬直させるだけなら難しくはないので、兵士5体を盤面に定着させないように、少々不利な交換でも、攻め気を出して頑張ります。
サイド後は、相手にはカウンターが、こちらには全体除去が追加されます。
《先兵の飛行士、ハービン》はもちろん相変わらず脅威ですが、戦いの鍵を握るのは《天空射の士官》だと思います。追加のカードを引かれさえしなければ、盤面を止めて長期戦に持ち込めます。
OUT:
《勢団の銀行破り》2
《セラの模範》1
《華やいだエルズペス》1
《報復招来》1
《マイトストーンとウィークストーン》1
IN:
《粗暴な聖戦士》2
《石の脳》1
《一時的封鎖》1
《大群退治》1
《告別》1
まぁ例によって《勢団の銀行破り》を使う暇はないと思います。
飛行が無い以上、ブロッカーとしての信頼度は高くないです。
相手の除去も少なく、カードが墓地に落ちにくいので、《セラの模範》を減らし、カウンターに弱い重いスペルを削っています。
入れるカードは非常に素直です。《告別》は他に軽量の全体除去を取っていれば、特に優先しなくても良さそうです。蘇生持ちの《ヨーティアの前線兵》が、攻撃可能な兵士のカウントをずらしてきて面倒なので、3枚目の《永遠の放浪者》よりは《告別》の方がいいでしょう。
《石の脳》は結構珍しいサイドインだと思います。
結局《先兵の飛行士、ハービン》が無ければ、突然死はしないわけで、多少並んだとしても我慢できる盤面の幅が広がりますし、《天空射の士官》が無ければ、そもそも相手のクリーチャーが並ぶことを抑えられます。
盤面が出来ていないうちに起動できる手札なら《天空射の士官》を抜きますが、4マナ起動は重いためおおよそ盤面が出来てから起動することが多いと思います。その場合はハービンを抜いて、全体除去を引くまで(通すまで)生きながらえましょう。
グリクシス、ジャンド、ラクドスなど
メイン:有利 サイド後:有利
おそらく有利マッチです。
ジャンドとかラクドスとかもほとんど同じサイドボード、戦略でいけるため、まとめて解説させてください。
基本的には、ロングゲームをすることで勝手に有利になります。
何故かというと、一度白単を使って貰えれば分かると思うのですが、相手が土地しか引かないタイミングが必ず来るためです。
デッキ全体の土地枚数がそもそも白単の方が少ない上、《平地》をサーチして圧縮している分、ドローするカードの質が明確に違います。
これらのマッチでは、長期戦は白単が望むゲームレンジです。
ただ、それでも長期戦で注意するべきカードはいくつかあります。(注意したところで出来ることがあまり無いのが白単って感じですが。)
《鏡割りの寓話》《絶望招来》には着実にアドバンテージを取られますし、《黙示録、シェオルドレッド》が除去れずハマってしまうことも多々あります。
《骨化》は《死体鑑定士》以外なら安易に使っていいですが、《軍備放棄》については《税血の収穫者》なんかに雑に打つのは控え、黒のアイドル、シェオルちゃん専用分を確保しておきましょう。
また、サイド後については、こちらが対策される側なので、相手がどれだけサイドボードに白単に割いているかに依存しています。
特に《絶望招来》から《刃とぐろの蛇》を早期に黒4でキャストされたりする展開は代表的なハメパターンです。そもそも採用されていないことを祈りましょう。
OUT:
《徴兵士官》2
《剛胆な敵対者》2
《軍備放棄》1
IN:
《スクレルヴの素》1
《勢団の銀行破り》1
《第三の道のロラン》1
《永遠の放浪者》1
《告別》1
単体除去に弱く、強化手段としては頼りない《豪胆な敵対者》を抜き、《税血の収穫者》としか相打ちを取れない《徴兵士官》も抜きます。
さっき《軍備放棄》は大事に使え!って言ったのと同じ口で、サイドボード後は減らせ!と言っているのですが、グリクシス相手に序盤除去だけ引いて展開、リソース確保が疎かになって負ける、という展開は皆さんも経験があると思います。
《軍備放棄》を優先して抜いているのは、《骨化》の方が招来避けになるので、とりあえずでトークンなどに打ちやすく、《絶望招来》でサクって《セラの模範》で再利用すれば無駄がないからです。
入れるカードも、このマッチの意識した、招来避けの《スクレルヴの巣》、定番の《勢団の銀行破り》などで変わり映えはしません。
ただ、今大会では相手のデッキリストを見ることができましたので、サイドにPWの採用が多ければ《街並みの地ならし屋》を追加で投入しました。
このカードは、土地を伸ばせなくなる《刃とぐろの蛇》に弱く、各種PWに強いので、もし普通のマッチをする際は、相手のサイドプランの見える3戦目に調整すると良いと思います。
プレイング面で特筆することとしては、《華やいだエルズペス》は普段はほぼ[+1]から入るのですが、このマッチでは(《兄弟仲の終焉》が劇的な盤面の場合を除いて)[-3]起動から入りましょう。
《絶望招来》で生贄にさせられる際には、忠誠度が高くても関係無いですし、クリーチャーや《勢団の銀行破り》に盾カウンターが乗れば上々です。
《放浪皇》も、とりあえず迷ったら[-1]2回から入るといいと思いますネ!
赤黒系アトラクサ
メイン:微有利 サイド後:有利
こちらも有利マッチです。
いや、《偉大なる統一者、アトラクサ》は白単に強いのでは?と思われるかもしれませんが、《軍備放棄》《骨化》でテンポ良く追放出来る分、相手が増えたカードを使う前にこちらもアドバンテージを稼ぐことができます。
グリクシスの場合は、カウンターを拾われる分少し戦いにくいですが、相手もその分デッキ内の何かを削っているので、特筆するほどの差は無いように感じます。
ただ、メインボードでは、グリクシスなどを相手にした場合とは異なり、ロングゲームをする展開は許されません。
白単なら1、2回のアトラクサの着地は許容できますが、あんな化け物を何回も出されているとゲームになりませんので、速やかにプレイヤーにトドメを刺したいところです。
リアニメイトに枠を割いている都合、《絶望招来》が無いのでエンチャントを触る術に乏しく、《婚礼の発表》で並べて《剛胆な敵対者》《報復招来》などで差し切りを狙います。
《放浪皇》《華やいだエルズペス》《永遠の放浪者》といったPW陣が、クロック生成のみに尽力すると、パイオニアの青白コンよろしく、ミッドレンジとは思えない火力が出ます。
さて、1回目のアトラクサに《軍備放棄》は間に合いにくいので《骨化》、2回目以降はきっちりと《軍備放棄》で対応したいところです。
ここで重要になってくるのが《永岩城の修繕》の2章の擬似ランパンで、盤面に平地を増やすことで、5、6ターン目のアトラクサに《軍備放棄》を間に合わせつつ、3章でそれなりのクロックを用意することができます。
サイド後は、《石の脳》を引けば根絶することができるので、ロングゲームにも対応できるようになります。
《かき消し》《削剥》で対処されても、《永岩城の修繕》《セラの模範》でしぶとく通しに行けるのは先述の通りです。
サイド後のアグロプランは《兄弟仲の終焉》1枚で簡単に破綻するので、サイド後も全く同じ戦略でというのは難しいです。とはいえ、《婚礼の発表》1枚で6点クロック、2枚揃えばなんと18点クロックです。無理に狙わなくても引き次第では殴り切れます。
OUT:
《徴兵士官》2
《剛胆な敵対者》2
《放浪皇》1
《華やいだエルズペス》1
IN:
《石の脳》2
《告別》2
《スレイベンの守護者、サリア》2
相手のデッキは非常にスペルに寄っているので、《スレイベンの守護者、サリア》をサイドインします。お互いに動きは鈍くなりますが、その間にサリアが数点を稼いでくれるだけでも十分です。
《石の脳》については言わずもがな、《告別》は墓地対策を兼ねた保険です。
このマッチにおいて、折角ライフを詰めている状態で、《偉大なる統一者、アトラクサ》が除去れず殴れない、という展開はままあります。
そんなときの応急処置を2つご紹介します。
・《マイトストーンとウィークストーン》で-5/-5する。
-5/-5修正を当てて仕舞えば、除去れないものの2/2までサイズダウンし、絆魂のゲインも減らすことができます。
信じ難いことに接死があるので、そこまでしてもチャンプブロックにはさせられないのですが、これ+《皇国の地、永岩城》で勝ち切れた試合もあるので覚えておいて損は無いです。
・《永遠の放浪者》[+1]起動で飛ばす。
こっちは《マイトストーンとウィークストーン》よりはリスクが大きいですが、その分効果的です。
先述の通り、《永遠の放浪者》[+1]は《仮初めの時間》のように使うことができます。
確かに、《偉大なる統一者、アトラクサ》が再度戦場に出ることで、相手の手札はとんでもないことになりますが、それは終了フェイズのこと。いくら伝説のファイレクシアン・天使・ホラーでも、7枚を超えた手札を維持することはできません。
追加でブロッカーを出そうにも、最も信頼できるブロッカーであるアトラクサは、伝説のため1体しか戦場に維持出来ず、そして残ったアトラクサは再度[+1]で追放できます。
他のクリーチャーは、《黙示録、シェオルドレッド》を除いてはそこまでブロッカーとしての性能は高くありませんし、いよいよどうしようもなくなれば、自軍諸共[-4]でアトラクサを墓地送りにすることができます。
相手の手札の質が潤沢になることを除けば、《永遠の放浪者》はかなり効果的にアトラクサを対処することができます。
応急処置としては良い方だと思います。
エスパーレジェンズ
メイン:不利 サイド後:微不利
いやー本戦で当たらなくて良かったッスネ!
上位に多かったとのことなので、本当に紙一重でした。
《軍備放棄》や《骨化》で抗えなくはないですが、どうしても噛み合いが生じます。このデッキは無視できるクリーチャーというのが本当に少なく、メインは除去が足りない展開になりがちです。
こちらのクリーチャー、1/2/1や2/3/1では止められないクリーチャーが多いため、まともに付き合う必要があります。
また、《英雄の公有地》を構えられてしまうと、こちらのアクションはソーサリータイミングなので突破が難しく、《夜明けの空、猗旺》+アクティブの《英雄の公有地》なんかは代表的なハメ殺し例です。
まぁ先手のエスパーレジェンズに理想の動きされたら誰も勝てないのは皆さんご存知の通りで、先手を取れたり、相手の動きが緩かったりすれば、十分戦えます。
《策謀の予見者、ラフィーン》あとは《大変成家、アンクタス》以外でサイズアップをすることはないと思いますので、これらを弾ければ《華やいだエルズペス》なら殴り合いも出来るかもしれません。
OUT:
《徴兵士官》2
《勢団の銀行破り》2
《セラの模範》1
《報復招来》1
IN:
《一時的封鎖》1
《大群退治》1
《粗暴な聖戦士》2
《告別》2
相手の除去が少ないので《セラの模範》や《報復招来》を抜きます。
《徴兵士官》はほとんど何もできませんが、《剛胆な敵対者》は、最低限絆魂がある上、中盤以降にサイズ差を補ってくれるため有用です。
《マイトストーンとウィークストーン》の-5/-5修整での除去は、護法の支払いにパワーストーンのマナを当てることができるので、《策謀の予見者、ラフィーン》に当てやすいことは意識しましょう。
マルドゥ
メイン:微有利 サイド後:有利
赤黒系でマルドゥだけ分けているのは、マルドゥがどちらかといえば白単に近いアーキタイプだからです。
《絶望招来》や打ち消しがなく、《永遠の放浪者》や《告別》を有しているためです。
マルドゥ地方の特産品である《怒りの大天使》はこちらの小粒クリーチャーや忠誠度の減ったPWを最大2体落としていくので、大変強力ではありますが、キッカーをしてもサイズが上がらず、クリーチャーとしてはそこまで厄介ではないので、あくまで強力な除去、単体で押し込まれる展開は少ないです。
他のクリーチャーも、《セラの模範》や《聖域の番人》など、白系のクリーチャーが多く、比較的与し易いです。
白単と採用カードが大差ないにも関わらず、マナベースに重篤な問題を抱えているデッキですので、長期戦に持ち込めれば基本的には白単有利です。
メインは《黙示録、シェオルドレッド》と《怒りの大天使》の本体火力モードで詰められる展開もありますが、サイド後にはお互い無駄牌が減り、土地とデッキの密度の差が大きく出ます。有利と言って差し支えないでしょう。
OUT:
《徴兵士官》2
《剛胆な敵対者》2
《報復招来》1
《セラの模範》 1
IN:
《永遠の放浪者》1
《第三の道のロラン》1
《勢団の銀行破り》1
《告別》2
《街並みの地ならし屋》1
基本的に、《告別》を入れる、入れられるマッチでは《セラの模範》は減らしています。能動的に墓地を肥やす手段があるわけではないので、一回追放するだけでも相当に弱体化してしまいます。
《街並みの地ならし屋》は満を持して登場した《永遠の放浪者》対策カードです。もし入っていなかったとしても、マルドゥは重めのクリーチャーを多く採用していることが多いので、当てどころには困らないでしょう。
また、《無形の処刑者、ケイヤ》が採用される現状ほぼ唯一のデッキです。
《街並みの地ならし屋》の蘇生は、彼女を最も効率的に落とせるアクションです。《告別》があるので狙ってやるのは難しいですが……
白単
メイン:ー サイド後:ー
一般的な白単相手なら、自分の白単は有利と言っていいほどの相性差があります。
もちろん、それはメタゲームを正確に把握していなかった自分が、最強デッキであると信じた白単、そのミラーマッチを重く見たからなのですが。
まず同系より始めよ、という名言もあるように、同系に勝てる形にしておくことは、大型トーナメントにおいては特に重要だと考えています。
折角なので、ここでは白単ミラーで相性差を生み出しているカードについて言及します。
・《永遠の放浪者》
白単ミラーは《永遠の放浪者》をめぐるゲームになるというのは何度も申し上げました通りです。
それは何故かというと、他のフィニッシャーとの比較、対面の相性が極めて優れているためです。
《聖域の番人》はトークンを生み出すため[-4]が劇的に刺さり、《夜明けの空、猗旺》《セラの模範》には[+1]が擬似的に《仮初めの時間》として働き、安易なクリーチャーでのフィニッシュを許しません。
常在型能力も強力で、なんとか[-4]を打たせたとしても、地上を守れるクリーチャーは山ほどいる白単ミラーでは、たった1の忠誠度を削ることさえ難しく、仕方なく《骨化》で対処、時限爆弾を抱えて凌ぐのがやっとです。
また、有利盤面が整うとこのカードは更に無茶苦茶しはじめます。
[-4]の後でも連打できる[0]で生み出されるトークンは2/2二段攻撃で、この能力だけでも、4点8点12点とクロックが上がり、白単相手でもフィニッシャーとして充分です。
[+1]は先述の《仮初めの時間》モードの他に、自分のパーマネント、特に《第三の道のロラン》《マイトストーンとウィークストーン》《勢団の銀行破り》などを使いまわすことで、手札を増やし、クリーチャー、エンチャント、アーティファクトの人権を根こそぎ奪い、反逆の芽を摘むことができます。白単はインスタント除去が乏しく、この動きを咎めることができません。
このカードが着地したときに[-4]を打たせられなければ負け、とまで言わしめたカードです。優先して枠を取りましょう。
・《マイトストーンとウィークストーン》
このカードは、一般的なデッキの《勢団の銀行破り》の枠を割いています。
ドローできるアーティファクトということでね。
白単ミラーはもちろんカードアドバンテージも重要なのですが、《勢団の銀行破り》《道路脇の聖遺》など、そのアドバンテージ限にはマナを使うものが多く、使えば使う程に盤面が不利になります。
《マイトストーンとウィークストーン》は設置時にドローか除去を選ぶことができるため、不利な盤面でも唱えることができ、設置後は主に《勢団の銀行破り》《道路脇の聖遺》の起動マナに当てることができます。
これは、もう1枚のアド柱である《セラの模範》とも相性が良く、《道路脇の聖遺》の起動マナを《マイトストーンとウィークストーン》が提供することで、他のアクションを阻害せず、墓地からセットランドができます。
そして、《永遠の放浪者》との相性の良さはお伝えした通りです。
これを2枚積んだ白単が、積んでいない白単に負けることはまず無いです。
《報復招来》はこの《マイトストーンとウィークストーン》の水増しとしても優秀だったため、メインに枠を取ったという経緯があるほどです。
・《骨化》
PWを隠してすぐに割られたりする頼りない除去ですが、それでもPW除去は貴重です。枚数が多い方が有利だと言えるでしょう。
対グリクシスのように、どうせ割られるからと小さいクリーチャーを隠してはいけません。《セラの模範》で再利用できる以上、相手もどうでも良いクリーチャーを取り返すのに貴重なディッチャは使いません。
自分で割る羽目になりますよ。
・《華やいだエルズペス》と《鋼の熾天使》
結構《鋼の熾天使》に好意的な白単使いは多い気がします。
自分は、《第三の道のロラン》や《豪火を放て》に弱すぎる上、ほぼ攻撃時しか効果の無い能力付与が好きになれなかったので、ほぼ同じ用途に使える《華やいだエルズペス》を自分は採用しました。
白単ミラーにおいては、軽量飛行クリーチャーの頭数は重要なので、《鋼の熾天使》にも一定の強さはあります。しかし、カード1枚として比べると、[-3]ですぐにアドバンテージが取れて、毎ターン飛行クリーチャーを増やせる《華やいだエルズペス》のほうが強いと思います。
ちなみに同マナ域で《夜明けの空、猗旺》と比べるべきなのかもしれませんが……白単ミラーでは猗旺は《軍備放棄》1枚で完全対処されてしまう5マナクリーチャーなので、勝負の土台に登ることすら難しいです。
・《久遠への消失》
白単で最も後腐れ無くPWを除去できるカードです。
クリーチャーにはほぼ当てられませんが、帰化としてもインスタント追放3マナなので高水準です。
PW多めのグリクシスなどにも気楽にサイドインしたいため、最後の最後までサイドボードに枠を取ろうとしましたが、直前の週のStandard Challengeのメタゲームに白単がいなかったため泣く泣く諦めました。
・《街並みの地ならし屋》
白単ミラーのフィニッシャーとしてかなり優秀です。
《マイトストーンとウィークストーン》から早期着地ができれば、あるいは相手の《平地》が滑らかに伸びていなければ、《軍備放棄》では対処しづらく、攻撃できれば2体のPWをパワーストーンに変えることができます。
《華やいだエルズペス》で警戒を付与できれば《放浪皇》にも引っかかりませんし、《告別》を打たれても相手のPWを壊しているので不利盤面に持ち込まれにくいです。
何より、白単が採用できるカードで《永遠の放浪者》に対面有利なのはマジでこいつくらいです。それだけでも枠を割く価値があるかと思います。
この辺りのカードを意識して採用すれば、白単ミラーには充分有利に振る舞えると思います。
既存の白単は、《喉首狙い》の当たらない《鋼の熾天使》、《絶望招来》に強い《夜明けの空、猗旺》《聖域の番人》と全体的にグリクシスを意識したカード選択になっていますが、今回代わりにオススメしているカードも、別にグリクシスに弱いカードではないので、そもそも有利なマッチをそこまで意識する必要は無いと自分は思いました。
OUT:
《徴兵士官》2
《剛胆な敵対者》2
《報復招来》1
《セラの模範》 1
IN:
《永遠の放浪者》1
《第三の道のロラン》1
《勢団の銀行破り》1
《告別》2
《街並みの地ならし屋》1
ミラーなので、どうしても立ち回りには噛み合いが必要になります。
相手が《夜明けの空、猗旺》《聖域の番人》を残していないなら、《軍備放棄》はこんなにいらないですが、減らしたところに着地すると無双の可能性もあるので難しいところです。
また、3本目で残り時間が少ない場合には、何より意表がつけるアグロプランも充分選択肢に入ります。
白単ミラーでは《告別》以外の全体除去は入れにくいですし、ソーサリー除去しかないのはご存知の通りで、《剛胆な敵対者》を残した場合はそれなりに仕事ができます。
PWをお供に《告別》でしか流せない盤面を作れれば、アグロプランで長期戦にもつれ込んでも何とか戦えます。
緑白毒性
メイン:ー サイド後:ー
唯一事前にサイドプランを用意できていなかったマッチアップです。何もわからない……
ラダーで当たったときは、《軍備放棄》《骨化》で《離反ダニ、スクレルヴ》や《殺戮の歌い手》を退かし、サイズ差を維持できれば《放浪皇》のトークンで盤面を固める、という展開で勝てることが多かったです。
先手2ターンにキャストされた《スクレルヴの巣》の圧は自分が想定していた以上に強く、《敬慕される腐敗僧》からの《殺戮の歌い手》なら《スレイべンの守護者、サリア》を超えられるなど、こちらが想定していない動きが多く、このマッチについては明確に練習不足でした。
OUT:
《マイトストーンとウィークストーン》1
《華やいだエルズペス》2
《永遠の放浪者》2
《徴兵士官》2
IN:
《スレイベンの守護者、サリア》2
《粗暴な聖戦士》2
《第三の道のロラン》1
《一時的封鎖》1
《大群退治》1
いくら相打ち上等のクリーチャーとはいえ、ダニ・トークンや《這い回る合唱者》とは相打ちしたくありません。サイズを上げられる《剛胆な敵対者》よりは、《徴兵士官》を減らします。
1マナのクリーチャーが相手に多いため、《軍備放棄》を1マナアクションに換算出来るのも大きいです。
本戦では、アグロデッキと見て、起動する暇が無いと脳死で《勢団の銀行破り》をサイドアウトしていましたが、4/4というサイズで、無色のアーティファクトクリーチャーのため、《離反ダニ、スクレルヴ》にバックアップされたクリーチャーに対してもブロッカーとして優秀です。
むしろ使う暇が無いのは《華やいだエルズペス》や《永遠の放浪者》の方でした。
増やすことを考えている《一時的封鎖》ですが、どうせ割られるものと考えて、トークンを飛ばして時間稼ぎをする程度と考えます。
《セラの模範》を定着させれば、もう一度使い回せるので、それまでの辛抱です。
青緑毒性の経験から《敬慕された腐敗僧》にはかなりの恐怖心を抱いていましたが、能動的に使用されないこのマッチでは、呪文でない除去も多いためそこまではゲームに影響しません。
むしろ《離反ダニ、スクレルヴ》《スクレルヴの巣》《殺戮の歌い手》の方が優先度が高いです。なんとか根絶やしにしましょう。
おわりに
思いがけず長文となってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
この環境のスタンダードをやる機会は、もうPWCSくらいしかないかも知れませんが、もしカードをお持ちの方、新たにご用意いただける方は、是非、自分の自信作、使っていただければ嬉しいです。
本文につきましては、これで完結しておりますが、折角の長文Note、もしご支援いただければ、今後の執筆活動の励みになります。
有料部分には、おまけ(白単採用候補カード評価)を用意しています。
デッキ解説と重複する部分も多いので、有料部分としては物足りないかも知れませんが、心ばかりのお礼としてお受け取りくださいませ。
追記:3月14日
記事を書いて終わりではあまりに使用者に対して無責任だと感じましたので、現状の白単ミッドレンジのレシピを共有するため、おまけのおまけを用意いたしました。
4月21日、[機械軍団の行進]の発売まで、不定期ではありますが、自分の白単ミッドレンジへの知見を共有させていただきます。
よろしければ、有料部分にはなりますが、ご覧くださいませ。
虎咲タイガ
カワサキ ヒロタカ
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?