戦乱でも白単 -虎ノ巻-
はじめに
お久しぶりです。虎咲タイガことカワサキです。
先日行われた常滑でのプレイヤーズコンベンション。
生憎本戦の権利は取れていなかったのですが、併催のスタンオープンにて、お馴染みの白単を使ってTOP4に入賞することができました。
https://mtg-jp.com/coverage/pcaichi23/decklist/0037428/
今大会では、
・ラストチャンストライアルのパイオニア
・プレミアム予選のモダン
・スタンオープンのスタン
と、発売後1週間にも関わらず3フォーマット(!?)に取り組む必要があり、あまり時間を割けなかったのですが、強力なオリカ新カードと、過去のやり込みに支えられ、望外の結果を出すことができました。
そして、皆様におかれましては、異形のデッキリストに言葉を失っていることでしょう。自分でも、これホンマか?と思いながら提出しました。
本記事では、その異形が生まれてしまった理由について、スポットライトを当てていきたいと思います。
なんでメイン72枚もあるの?
簡単に言うと、これはナチュラルLOで負けないためです。
この白単は、アドバンテージや盤面の取り合いには優れていますが、
ハンデスやカウンターを持たない以上、ライフを詰め切るのは苦手です。
特に、メインから全除去を有するランプ、コントロールデッキには厳しく、お互いに《太陽降下》を撃ち合ったのち、ライブラリーの枚数を数え始めることになります。
ここで問題なのが、白単は序盤から土地サーチを多用する関係で、同じく土地サーチを行うランプよりも山札が減りやすいのです。
また、カード1枚のインパクトも負けがちなので、多くのカードを引いて対処する形になりやすいのも地味に大きいです。
そのため、構築に影響が出なければ、ある程度デッキ枚数を増やした方が、これらのデッキには勝ちやすいのです。
ジャパンオープンでTOP4に入賞した時の64枚は、マナカーブを整えるついでのお守り程度でしたが、この72枚は明確に意識しての枚数となります。
何故なら、ジャパンオープンでは、デッキ公開制のため、相手に合わせて《侵略樹、次元壊し》を探せたこと、環境が低速寄りで、メインの単除去を減らせていたこと、対処すべき相手のカードの枚数がわかっていたこと、そもそも時間を使い切らせれば勝てることからそこまでの枚数は必要としなかったのです。
さらに、対ランプでは最大4回の《群れの渡り》へと対処するため、メインデッキに入っている(いつか引ける)全除去の枚数を担保する必要もあり、デッキ枚数を増やすのが最適解に思えました。
しかし、追加の2マナ域のカードは従来《神憑く相棒》。
原根さんが配信で語られていたように、非常に力不足のカードです。
そこに現れたのが、白単ミッドレンジ使い(若干1名)がウィザーズを脅迫して作らせたカード、《窯焼きの煉瓦》です。
《窯焼きの煉瓦》というオリカ
《窯焼きの煉瓦》と言うカード、第一印象は、
「やった!《野心的な農場労働者》の2種類目が来たぞ!」
といった感じでした。
しかし、4枚投入してゲームを進めていくにつれ、その認識は全くの誤りだったと気付かされることになります。
明らかに、農場労働者より《窯焼きの煉瓦》を待っている自分がいました。
さて、煉瓦の方が強い点をいくつか箇条書きで挙げてみます。
1.サーチ時にゲインする
確かに、アタックやブロックには参加できない置物ですが、その対価が2ゲインならば十分です。
《野心的な農場労働者》も《セラの模範》での再利用以外ではあまりチャンプブロックしたくなく、ごくたまに《徴兵士官》と相打ちが取れる程度で、盤面影響度は大きくありませんでした。
2.アーティファクトカウント
仕事が終わったらただの置物というのは、必ずしも悪いことばかりではありません。《道路脇の聖遺》のアーティファクトカウントには最適です。
エルドレインの森での新戦力《キャンディーの道標》も十二分に強力ではありましたが、こちらは占術2ではまだ仕事が終わっておらず、いつかは生け贄にする必要がありました。
こちらは盤面に残り続け、とりあえずアーティファクトカウントとして中盤の仕事をしてくれます。
3.《ギラプールの守護者》との相性
従来は、《野心的な農場労働者》《マイトストーンとウィークストーン》との相性を買って、1枚ほどメインに採用していましたが、《窯出しの煉瓦》はライフゲインも相待って、このカードとの相性が最高に良いです。
飛行を多用する最近のアグロデッキの台頭も含めて、4枚採用することができたのも、《窯焼きの煉瓦》のおかげです。
なんと、今の白単ミッドレンジは、2マナ、3マナとカード2枚を使って、4ゲインしながら基本平地2枚サーチして3/3飛行が立つデッキなんです。
60枚に纏めればこの動きはそれなりに再現できます。
4.なぜか作製を持っている。
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[作製 / Craft]はイクサラン 失われた洞窟で登場した新キーワード能力で、コストに記されたタイプのカードを戦場、もしくは墓地から追放することで、そのカードを変身させることができます。
終盤における《窯焼きの煉瓦》は、アーティファクト1つか、墓地のアーティファクト・カード1枚と7マナを支払うことで、1/1のノーム2体を出しながらアンセム(全体強化エンチャント)になります。
????????????????????????
2マナで仕事のほとんど終わったカードが、7マナとゴミ箱のキャンディーで準フィニッシャークラスの働きができる?
ありがとうウィザーズ、ありがとうマロー、そしてごめん《セラの模範》。
8マナある段階でトップしたときは、2ゲイン、基本平地サーチ、1/1が2体、全体強化アーティファクトになります。(小さい根本原理か?)
※重婚レースで負けている時には特に有用で、即座に出てくるトークンとアンセムが、一方的な場を回避してくれます。
イクサランからの新戦力は、他にも《失せろ》《魂の洞窟》などがありますが、やはりこのカードの存在が白単を引き続き選ぶ上で大きかったと思います。
《魂の洞窟》でサイド枠使っていいの?
イクサラン 失われた洞窟のトップレア、《魂の洞窟》は、主に青系のデッキに天使宣言するために、《道路脇の聖遺》と入れ替えてサイドインします。
いや、ちょって待ってよ。平地16枚も入ってるんだし、《魂の洞窟》の2枚くらいメインに取れるんじゃないかと思われた方もいるでしょう。
実際、少しばかりの無理をすれば、十分メインに取れます。
今環境でも、サイドイン目的で土地に枠を使うのがかなりの贅沢なのは変わりありません。
さらに、追加の《爆破解体場》までサイドに……
(一応、エスパーやミシュラの多い相手にはサイドインしますけど。)
そんな、サイドインするマッチの少ない土地カードを、何故サイドに4枚も取っているのかというと、ある種《天才のひらめき》とも言えるあのルールを最大限活用するためです。
サイド後、サイドボード7枚です……(照)
ランプ、もしくはコントロールデッキは、ミラー対策に、《完成化した精神、ジェイス》《侵略樹、次元壊し》を取っていることが多々あります。
特に、ジェイスに対しては打ち消しが無い以上、15枚切削を止めるのはかなり難しく、勝率を担保できなくなっていました。
経験上、1枚分のジェイスを無駄にできる75枚以上、可能ならば80枚くらいのカードがあれば、相手のジェイスの枚数にもよりますが、こちらの《侵略樹、次元壊し》で勝てる見込みが出てきます。
しかし、メインボードに80枚ものカードを積み込んでしまうと、いくら《窯焼きの煉瓦》で更なる安定性を確保しているとはいえ、アグロデッキ耐性には不安しかありません。
そんな中、リスト提出直前に参加していたプレミアム予選で、LOに当たって負けた記憶を思い出します。
そのときは、たまたま土地の枚数が多めのリストを使っていたのもあり、サイド後はギリギリ許容できる枚数として、63枚デッキを回していました。
そう、サイドボード後のデッキ枚数は、理論上15枚まで増やすことができるのです。
ランプ、およびコントロール相手にはデッキ枚数を増やしてさえいれば、相手の通常のフィニッシャーには対処しやすく、比較的優位に立ち回れることはわかっていました。(本戦で1回《ティラナックス・レックス》型に轢かれましたが。)
そうと決まれば、あとは対ランプ用のデッキを作り、そこからアグロデッキへの不用札を抜いていってメインを最適化するだけです。
一応リスト提出時には、メインデッキ83枚までを想定していましたが、《皇国の地、永岩城》があまりランプに強くないのと、実際にジェイス等を出されることもなかったので、80枚(土地30)の形を基本とすることに。
実際に、本戦中2回ランプとマッチングし、1勝1分の成績を収めることができました。
どちらも、メインでのライブラリーアウトプランがハマり、優位な状態で2戦目に80枚デッキで臨めました。
ただ、ランプ側の勝ちの目が、少ない残り時間で2本取ることしか無い以上、プランがアグロに寄ってくるというのは、1本目を取った時点でもう少し意識した方が良かったです。(サイド後80枚にするというアイディアに自惚れていた。)
とりあえず、このあたりで。
これからしばらくはモダンシーズンとなり、スタンをやる機会は少ないかと思います。そんな中、このメイン72枚、サイド後80枚のデッキについて、早めに記事を書かねば埋もれてしまうと思い、急ぎ筆を執りました。
評判等良ければ、以前のように更新したデッキリストや、サイドボードプランを加筆できればと思います。
こんな異形のデッキですが、使っていただければ幸いです〜。
虎咲タイガ
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