会社コンパで「一体感」は醸成される?対話を通じて得られたもの
「コンパ」それは仲間と親睦を深めるための飲み会。その語源は英語のcompanyにあるとか。それでも「飲みにケーション」という言葉が死語になり、上司や同僚と頻繁に飲み会を開いている風景もあまり見なくなりました。
当社でもご多分に漏れず、仕事が終わると、みんなサクッと家に帰っていく(はず)人が多いのですが、カワタキでは年に数回「社長と」「部署の仲間と」「他部門、他拠点と」コンパする企画を設けています。
去年までは社内のコンパルームや会議室を使って、ケータリングや食事を買い出ししてコンパをおこなっていたのですが、今年から雰囲気を変えてみよう!と職場近くのレストランに移動しての「社長コンパ」がはじまりました。実際のところどうしてカワタキがコンパにこだわるのか、参加者のアンケートをもとに考えてみたいと思います。
コンパ、参加してみて実際どう?
社長コンパは拠点ふくめ2024年上半期で延べ60名以上の社員が参加してきました。一回ごとの参加者はだいたい5~8名で、普段は聞きにくかった仕事のこと、プライベートのこと、うれしかったこと、悔しかったこと、何でもでありでざっくばらんに話します。
例えば、社員「あの部署の編成、あれにはどういう意図があったんですか?」社員「あれでうまくいってるんですか?」社長「いやこんな問題がでてきたから、こういう指示出してるよ」という感じで、ふだんは社員同士の推測レベルで終わってしまう話も、案外あっさり、もったいぶらずに社長が話してくれます。
社長も聞き役に徹する
一方で社長からもメンバーに質問が飛びます。
「今年の総括しよか。(ちなみにこの会話は10月初め。経営者は数カ月先を歩んでいるのです!)〇〇さんは今年何ができてよかったん?」「出張申請の電子化が完了したことですよね~」「販売技術はいろいろ試行錯誤しているけどどんな影響でてきてる?」「残業減ったんですよ~」というように聞き役に回って、現場の実状を吸い上げていきます。
この情報収集がコンパの目的だったのか?とも思うのですが、もちろんこれも大事なことなのですが、情報伝達はあくまでコンパの副産物であることが参加者の感想を読んでいてわかってきました。
参加者からうれしい感想が。
参加者から寄せられたアンケート結果には、
と予想していた以上にポジティブな効果があったことがわかってきました。普段話す機会が少ない同僚であっても、社長や別の部署長であっても、リラックスした状態だからこそ、「静かな情熱」や「人となり」「その人が大事にしているもの」が声色や表情やしぐさなど五感を通して伝わるところがあるのかもしれません。
実際、私自身も他部署のメンバーと話してみて、その人が過去に取り組んできた仕事や密かなこだわりを取り留めなく聞いていると、人に対して、仕事に対してもう少し誠実に向き合おうという気持ちが芽生えました。
カールベッカー教授の話
そういえば、何年も昔、会社の研修会に登壇してくださった、京都大学のカールベッカー教授(当時)のお話がよみがえってきたので、そのときのメモを書き起こします。
そんなベッカー教授のメッセージが当時まだ若手だった私の心に響いたことを覚えています。
もちろんいくら「以心伝心」が通じる日本であっても仕事で「言わなくてもわかるでしょう」はご法度。多様な経験、考え方を持つ人があつまる職場では、面倒くさくても、文脈に頼らず、できる限り言葉にして話すことは仕事の大前提だと思います。
しかし、話をするだけであれば、会議室で議題を決めて効率的に話を進めればいい。それでもこの、情報伝達するには一見非効率なコンパにこだわり「外に集って、食べて、呑んで、じっくり話をする」のは、やっぱりコンパから「心のつながり」が生まれることを信じ、ゴールを共有するためのスタート地点にしているからなのだと思います。
ある課題に対して、モヤモヤを感じ始めると、そこに勝手な思い込みをひとりでモリモリ盛りつづけていることがありますが、コンパという無理やりにでも他者と対話しなくてはいけない時間は、この勝手な思い込みを少しずつ解放する効果があるのかもとも思いました。
もちろん育児や様々な事情で夜参加できないメンバーもいますので、そんなメンバーのために昼休憩の時間帯にコンパを設けたり、はたまた社員会イベントが企画されたり、と経営者、管理部、社員会でいかにして対話する時間ををつくっていくか、目下試行錯誤中です!