
米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.33]2022年2月7日配信
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。 大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、 米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。
1.マーケット振り返り(1月24日~2月4日)
<主要指数>
・NYダウ +2.4%
・S&P500指数 +2.3%
・ナスダック総合指数 +2.4%
=駆け足バージョン=
米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて3月の利上げがほぼ確実になりました。1月中は金融政策の不透明感を背景に不安定な値動きとなりましたが、金利が落ち着くと企業業績が注目され、好決算銘柄を中心に買われました。
=ちょっとだけ詳しく=
FOMC前は警戒感から不安定な値動きとなり、S&P500指数は取引時間中に直近の高値から10%超の下落となりました(終値では10%未満)。FOMCの発表を受けて3月の利上げがほぼ確実となりましたが、市場は織り込み済みで、長期金利は落ち着いた動きとなりました。
企業の業績発表がピークを迎え、約8割の企業は市場予想を上回りましたが、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)など、市場の予想を下回った一部の銘柄は急落しました。
2月4日に発表された1月の雇用統計では予想を上回る雇用者数の伸びが発表されたほか、11月や12月分も上方修正されたため、長期金利は再び上昇しましたが、株式市場では決算発表が注目されたため、影響は限定的でした。
2.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。
【1】日経新聞 米主導秩序 二度と戻らず テック巨人 民主主義の脅威
3年越しとなるウイルスとの戦い、強まる一方の巨大テック企業の影響力、米中超大国の激しいせめぎ合い……。世界の力学が想像を超えたスピードと広がりで変化する。2030年の世界は誰がどんな形で動かしているのか。国際情勢の将来に目を凝らす米ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長に「今後の10年」を読み解いてもらった。
イアン・ブレマー(Ian Bremmer)
スタンフォード大学で政治学博士号を取得、1998年に世界の政治リスク分析の草分けとなる米調査会社、ユーラシア・グループを設立し、社長に就任。日米欧をはじめ世界各国の政治リーダーや経済人と交流がある。52歳。
以下は日経 菅野幹雄コメンテータの質問
①米国と中国が台湾、米国とロシアがウクライナを巡り、それぞれ緊張を高めていますが?
②2030年、世界のルールを決めるのは誰か。米国主導は続きますか?
③世界に調和できないルールが乱立するおそれはありませんか?
→これからは、課題ごとに違ったタイプの参加者がルールを決める時代に入る。最も問題含みなのがテクノロジーの分野だ。ルールは企業が決めることになる。デジタルの参加者がバーチャルの世界で自治権を行使する一方、いかなる政府部門も何ら大きな影響力を及ぼせない。
もしこの傾向が2030年まで続くなら、世界各国の政府はほんの一握りの企業と権力を分け合う。企業はデータに関するあらゆる点で主権を真に握る。
④(これから我々は単一で一貫したグローバル秩序ができるのではなく、課題ごとに違ったタイプの参加者がルールを決める時代に入るのであれば)人類にとってそれは良いことですか?
⑤政治はそうしたテック企業への規制強化に躍起になっていますが……?
⑥普通の人々はどう思うでしょうか。巨大企業が専制国家のようになり、格差を拡大する存在になるとすれば……?
⑦世界の民主主義は脅威にさらされていると考えますか?
⑧2030年には米中の経済規模が並ぶと言われています。一方で米国も中国も成長の鈍化という試練に直面します。勝者はどちらに?
⑨エネルギーの未来をどう展望しますか。目下は化石燃料の争奪戦が起きています。世界は循環型社会に着実に歩を進めていくでしょうか?
⑩気候変動を否定するトランプ氏が2024年の選挙で再び米国の大統領に選ばれたとしても、そう言えますか?
⑪2030年の人工知能(AI)の役割は。兵器に搭載したり、人事の評価を決めたりする可能性もありますね?
【川田コメント】
今後の世界の課題に対し彼の考えを簡潔に答えている。マーケットに対峙するときに常に意識しておきたいポイントだ。
「米主導秩序二度と戻らず」
面白いのは表題の「米主導秩序二度と戻らず」だ。そしてそれをブレマーは「非常に強い確信をもってそう言える」と。なぜか?「米国自身の分断があまりに著しくそれを望むことすらできない」さらに「中国が全く(米国主導の秩序に)同調しないし、そもそも(中国の)存在が巨大になりすぎる」からだと。
世界の民主主義は脅威に晒されている?
なぜ米国で民主主義の劣化が起きているのか?3つの要素
①米国が強力な起業家精神と民間部門、個人主義に支えられている国だから。→働いても報われないと不公平が広がり人々は怒りを覚える。
②人種間の不公平に向き合っていない。2045年に白人の人口が少数派になると予想される。
③強力なメディア企業とソーシャルメディアを持ち、個人の影響力が最も強く作用する国だからだ。
米国=世界ではないにせよ、現状では米国の影響力が圧倒的に大きいことを前提にした考え方だ。ただし、我々日本人は彼のような米国人の発信する情報は英米のフィルターが掛かっていることを意識すべきだと思う。
米国株式が世界の株式市場に占める比率はざっくり6割だ。一方で米国が世界に占める人口、GDPそして軍事力は6割にとても及ばない。また定量化は出来ないとはいえ、米国のソフトパワーもいくらなんでも6割はないだろう。それでも世界の地政学に及ぼす米国の影響力は、日本のメディアが伝える以上だと思っておいたほうがいい。その意味でブレマー氏の指摘は今度の世界情勢を考える上で参考になる。
【2】日経新聞 FINANCIAL TIMES 日本は水際対策見直しを アジア・ビジネス・エディター レオ・ルイス 2/4
・岸田文雄首相は1月17日の施政方針演説で「日本酒、焼酎、泡盛など文化資源のユネスコへの登録を目指すなど、日本の魅力を世界に発信していきます」と述べた。
・この約束は、実現は難しいだろう。なぜなら日本の新型コロナウイルスと政治の状況を考えると、日本は今、すさまじいスピードでその魅力を失いつつあり、マイナスの領域へと突入しつつあるようにみえるからだ。
・(再入国できない)外国人の多くが日本への入国を諦めてしまった可能性がある。しかも1年延期されて21年夏に開かれた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、何万人にも上る選手やチームのメンバー、大会関係者が周知の通り例外的に入国を許されたわけで、多くの人はこのことを不愉快に感じている。
【川田コメント】
現状で外国人の入国を厳しく制限しているが、これは「日本政府が、もし移民を受け入れなければどうなるかという実験をひそかに進めている」という説があるという。
そして「学者らは、海外研究者らの受け入れ拒否は研究に長期的にマイナスになるだけでなく、海外から優秀な人材を日本に惹きつけること自体が今後、不可能になると警告している。また、金融関係者も厳しい入国規制によって、以前なら無視できなかった日本市場への関心を失うことにつながると懸念している」。
ただしこの外国人受け入れ拒否の結果、「日本が悲惨な事態に陥ることなく何とかやり過ごすことができれば、日本はむしろガラパゴス的鎖国状態の方が活力にあふれ、順調に進化できるのではないかなどと深く信じている人たちを喜ばせることに」。
筆者は鎖国すれば日本のソフトパワーが損なわれると警告するが、そう思わない人も多いに違いない。
しかし、マイクロソフトやアップルを使わずに我々の普段の生活が成り立たないことを自覚するなら、物理的に外国人の入国を制限しても実はそれほど意味はないのではないかと思ってしまう。
我々の生活や思考パターン、そして実態経済を遂行する手段や機能は、既に多くは米国発のガジェットや仕組みに汚染されてしまっているからだ。
鎖国することでなにを守ろうとしているのか?外国人との交流を自ら避ければ、相互に誤解する可能性もまた高まる。今回のコロナ騒動を見ていると日本人の鎖国癖や外国人敬遠の本音が良く分かる。
本音は鎖国大歓迎by澁澤健さんのメール
ところで、先ほどあの澁澤健さん(渋沢栄一は祖父の祖父)からメルマガが届いた。以下、断片的に紹介する。
・「現在、「純粋な気持ち」を日本で発揮したいと希望を持つ数多くの若者たちが、抜け出せる見通しが立たないトンネルの暗闇の中で悶々とした思いを抱いています。コロナ禍の水際対策で入国が阻止されている外国人研究者・留学生たちです。数多く寄せられているコメントにも衝撃を受けました。
・ちょっと変に聞こえるかもしれないけど、他の人も日本行きを諦めたのを見ると良い気分になる自分がいる。同じ判断を去年7月に下したけどその後は遥かにハッピーだよ。
・自分は1年以上、入国を待っている37万人の一人。あなたが言うように、我々は寄生虫ではない。達成したい目的があるから日本を選んだのだ。
・幸運を祈る。自分も2年間の悪夢を経て次の展開を望むよ。日本に悪い影響があることを願っているよ。人を入国貨物のように扱うなんて。
・助けて。2020年3月から待っている。自分の人生は台無しだよ。多大な債務を抱えている。学費や入学費を払うために借金している。どうすれば良いの。
どれほど信ぴょう性のある世論調査かわかりませんが、8割の日本人が留学生の入国規制(隔離期間やワクチン接種ではなく遮断)に賛同していると言われています。これが現在の日本社会の実態だとすれば、日本人は自分たちの目先のことしか考えない、鎖国化に陥っていると危惧します。」
外国人にとっては、今回のコロナ危機への対応で、日本人の外国人に対する意識が図らずも露わになったというのだ。「自分は別に外国人が嫌いと言うわけではない」といい張っても、そうは受け取られないのが異文化コミュニケーションの難しいところだ。
『東京国際金融センター』構想などありえない
ついでに言うと、記事中で「在日米国商工会議所の元会頭は先週、新規入国禁止措置の継続は企業活動の足かせとなり、世界的な金融センターを目指す東京の努力(『東京国際金融センター』構想)が水泡に帰すことになると発言した」というくだりがある。
私が所属する米国商工会議所の外国人メンバーの中には、この構想の実現にずいぶん期待していた人もいたようだが、そもそも無理があると思っている。
『国際金融都市東京』が仮に香港、シンガポールなみの柔軟性を備えた金融都市を意味するなら、コロナ危機があろうがなかろうが、その可能性はありえないと思う。
国際金融都市になるには英語での法律、英語での制度のインフラが不可欠だし、そこで働くひとのインセンティブを充足するような税制や社会インフラが不可欠だ。
外国人や限られた日本人だけが香港やシンガポールのような‟おいしい”ルールの特典を享受するなんて、今の日本に受け入れる素地はない。
機運が高まる日本の国際金融センター構想SOMPO 未来研トピックス 2021 Vol.3
【3】日経新聞 高校生、投資を学ぶ プロが出張授業 金融教育、今春に必修化 まず教師に知識 2/5
・「米国のウォルト・ディズニーの株をおよそ30年前に買っていたら、今は何倍になっているでしょう。(1)2倍、(2)21倍、(3)119倍」――。21年12月、吉祥女子中学・高等学校(東京都武蔵野市)の教室で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社員が生徒たちに問いかけた。
・資産形成に軸足:4月から高校の教科書に盛り込まれる金融教育。新しい学習指導要領では生涯の収支計画を考えるため、資産形成の視点から株式や債券、投資信託など金融商品の特徴にも触れる。
・都内のある家庭科教員は「少額投資非課税制度(NISA)すら自分で使った経験はなく、正直なところ教えづらい」と漏らす。
【川田コメント】
教える側の教員もNISAを使ったことがない。これでは資産形成の必要性は生徒にどれだけ伝わるのか?でもこれが実態だ。教員が私のサロンに入ってくれれば、それを生徒にも伝えたがるかもしれない。
ところでディズニーは過去30年なら119倍かもしれないが、1957年の公開以降ならもっともっと増えている。ただしこの30年のパフォーマンスはS&P500指数とそれほど変わらない。そのことは授業でカバーできないだろうから以下はご参考だ。
ディズニー(DIS)長期 対数
ディズニー(DIS) DIS/SPY ディズニーとS&P500の相対株価
この10年間に限ればS&P500のパフォーマンスがディズニーより良好だ。
【4】日経新聞 米株の信用取引、7月解禁 大型1300銘柄限定、顧客の基準も厳しく 2/6
・米国株式の信用取引が7月から解禁される。日本証券業協会が解禁に向けて検討を重ね、このほど取引に必要なルールを整備した。信用取引が可能な米国株は約1300の大型銘柄とする。
・若年層を中心に米国株への投資意欲が高まっており、信用取引を解禁することにした。SBI証券と楽天証券、マネックス証券は7月からサービスを提供する。auカブコム証券は2022年冬に開始予定だ。大手証券からは「慎重に検討したい」との声が聞かれる。
【川田コメント】
私が大手証券で外国株式の担当だった時からの課題だ。あれから30年が経った。対面証券は「慎重に検討したい」なので今回の措置はネット証券が主体になって制度の改正に至ったのだろうか?
手数料、銘柄のカバレッジ、そして今回のルールの改正等、私が対面証券にいた時のフラストレーションを解消しているのはネット証券だ。
米国株式には値幅制限がないので信用取引の仕組みは運用が難しいだろう。実際、先週はメタ・プラットフォームズ(FB)が1日で26%も下落した。M&Aも多いから株価が1日で2倍になることもある。そういう時の空売り側にはどう対処するのか?
ただし、この信用取引制度の導入で日本人の米国株式投資のボリュームはここからさらに増えることだろう。
ちなみにこのニュースは先月にすでに流れてますね。知らないのは私だけでした?失礼。
3.川田の気になる銘柄
川田の保有銘柄を始め、米国株の情報に触れている中で、気になった銘柄を紹介するコーナーです。
ここから先は
¥ 330
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?