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川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.11]2021年8月16日配信
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
1.マーケット振り返り(8月9日~8月13日)
<主要指数>
・NYダウ +0.9%
・S&P500指数 +0.7%
・ナスダック総合指数 -0.1%
=駆け足バージョン=
7月の消費者物価指数発表後にインフレ懸念が後退したことや個別企業の好業績の発表を受けて景気敏感株を中心にじり高。NYダウとS&P500指数は史上最高値で引けたが、ナスダック総合指数は半導体関連が売られて小幅安。
=ちょっとだけ詳しく=
金融政策に対する警戒感から長期金利が上昇した月曜日は反落したものの、インフラ法案が可決された火曜日には景気敏感株が反発。水曜日の7月の消費者物価指数や木曜日の生産者物価指数の発表を受けてもインフレ懸念が高まらず長期金利が低下したことや、新規失業保険申請件数の改善が注目されて景気敏感株を中心に上昇。金曜日発表の8月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値が7月から大幅に低下したものの上値を抑えた程度で、S&P500指数は4日連続で史上最高値を更新した。一方、ナスダック総合指数は、半導体のマイクロン・テクノロジーが決算発表でPC需要の弱さに言及したことを受けて半導体関連株が売られたことなどが影響して小幅安となった。
S&P500指数過去1年チャート
2.今週のズバリ!
これだけは知っておいてほしい情報をお届けするコーナーです。
新型コロナウイルスのデルタ変異株による再度の蔓延、前月からの低下が過去50年で3番目となったミシガン大学消費者信頼感指数などの懸念材料をもろともせず、先週の市場はじり高となった。「閑散に売り無し」と言うが、今週のバロンズによるとNYダウとS&P500指数が史上最高値を更新した金曜日は、年初来で最も出来高が少なかったらしい。
ハイテク株は売られたが景気敏感株が買われ、相場のローテーションがうまく行っている感じだ。予想以上に好調だった企業業績が背景にある。ただし、先週小幅安だったナスダック総合指数の背後には半導体株の売りがある。きっかけはメモリ半導体のマイクロン・テクノロジーがPC需要の弱さを説明会で挙げたことだ。半導体不足と言われるが、こうした供給不足の裏側には「二重発注」という落とし穴がある場合がある。供給が回復すれば当然キャンセルされる仮需がどの程度あるかは不明だし、マイクロン独自のことかもしれない。ただし、他の企業や他の半導体の種類から同様の報告があった場合はバリュエーションが高いセクターだけに要注意だ。
■今週の動き
今週は火曜日に小売売上高、水曜日に7月のFOMCの議事録、木曜日に景気先行指数が発表される。株式市場に直接というよりも長期金利経由で影響があるかもしれないが、いずれにせよ高値圏でのもみ合いだろう。20日の金曜日に先物とオプションの決済日があり、夏休み期間が終わりに近づく。早めの夏休みを終えた関係者は、翌週のジャクソンホールでの経済シンポジウム(26日~28日)に向けて備え始めるだろう。
先週、バロンズの記事から長期的な予想としてS&P500指数が6000に達する計算を紹介したが、今週のバロンズのインタビュー記事では2022年末に5000という記事が載っていた。
■ヤルデニ社長の強気の背景
インタビュー相手はヤルデニ・リサーチのエドワード・ヤルデニ社長。同氏は以前CJローレンスとかEFハットンなどの買収された証券会社やドイツ銀行などにも勤めていて、その頃東京にも来ていた。私も何回か講演会に出た記憶がある。強気で知られる同氏はS&P500指数の2023年の利益を230ドル、現在の22倍のPERが続くと予想し、230の22倍なら5000と考えている。
ここで知ってもらいたいのは、同氏がこれだけ強気になる背景だ。それはずばり生産性の向上で、生産性が向上してそれが労働者の賃上げの根拠になれば、消費も伸びて全てがハッピーというストーリーだ。生産性を向上させるのはハイテク技術の応用で、それは「オールドテクノロジー」と言われた業界にまで波及するので、それらを使いこなせる企業の株価に妙味があるという。
また、中小企業の大切さを訴えていたのにも注目した。米国人の起業家精神が米国経済の全ての背後にあるので、起業家精神を萎えさせるような政策には反対だ。
生産性の向上と起業家精神は日本(市場)に足りないものであり、米国株式市場の長期上昇の原動力だ。
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