米ハイテク業界ビッグ5で今購入するなら・・・ 【投資のヒント】
■ビッグ5は生き残るが、状況はかなり違う
先週のバロンズで、キャッシュリッチなハイテク業界のビッグ5、すなわちアルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、フェイスブック(FB)が総じてお買い得という紹介がされていた。5社合計の手元現金が5870億ドルに達する一方、長期債務は2000億ドルにとどまっており、バランスシートは極めて健全だ。但し、各社とも生き残るという安心感はあるに違いないが、実は今後の景気動向次第で収益格差が出てきそうだ。
景気がV字反発する場合は、今回のコロナショックにおける下落率の大きい銘柄ほど反発が期待できるかもしれない。一方、不況が長引くというシナリオでは、まだ買いづらいものもある。例えば、フェイスブックやグーグルは収益の中核が広告なので、不況で広告自体が激減する場合、少なからず収益を毀損するはずだ。両社の比較では巣篭もりが追い風になるクラウドビジネスがある分、まだグーグルの方が良く映る。個人消費が打撃を受ければアップルも当然、影響は免れない。内外でアップル批判は増えており、1年で2倍割高な水準まで評価されていたことも含め、最近の同社を取り巻く環境はまだ危険をはらんでいるように思える。
また、クラウドの高成長が牽引してきたマイクロソフトは安全牌と考えるのもいかがなものか?リモートアクセス需要は増えるだろうが、不況でアジュール導入自体を見送るという逆風がある。クラウドの高成長がピークアウトするタイミングで不況が重なると考えると高成長の残像が残っている株価水準は必ずしも割安と感じられない。更新サイクルになるXboxの上積み期待はあるがこれとて不況ならば無傷ではない。
■アマゾンがベストという結論
暴落する相場にあってもアマゾンの株価は比較的持ちこたえており、年初来ではやや上昇している。外出できない消費者が生活必需品の購入に電子商取引を利用するようになっており、アマゾンの小売事業の需要が急増している。同社は不要不急の商品の配送を後回しにするなど、受注の調整をせざるを得ないほどの活況となっている。実店舗が閉鎖される中、アマゾンは食品、清掃用品などの生活必需品の重要な供給源となっている、ということだ。
巣篭もり需要は同社の中核事業のネット小売、クラウド双方の追い風になる。コロナ特需が次世代シフトを早める可能性が高く、その場合のパイプラインも豊富だ。これだけポジショニングがいいにもかかわらずこの1年の株価推移はビッグ5の他社と比較して控えめな印象がある。結局、5銘柄で最も安心感があるのはアマゾンという結論だ。
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