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米国株式投資の真実を伝える [Vol.54]2022年7月11日配信
【人生を豊かにする日経の読み方】
社会人になって40年以上読み続けている日経新聞の中から気になる記事をピックアップしコメントする企画だ。毎週土曜日午前9時〜9時45分にズームへの参加形式で実施している。
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以下は先週土曜日にカバーした記事の表題をいくつか
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1.マーケット振り返り(7月4日~7月8日)
<主要指数>
・NYダウ +0.8%
・S&P500指数 +1.9%
・ナスダック総合指数 +4.6%
=駆け足バージョン=
景気後退懸念は広がったものの、長期金利の低下が成長株を中心に週前半の下支えとなりました。景気後退懸念が和らぐと長期金利が再び上昇して上値を抑えましたが、決算発表シーズンを前に方向感に乏しい動きが続きました。
=ちょっとだけ詳しく=
月曜日は独立記念日で休場でした。
火曜日は6月のユーロ圏の総合PMI改定値が16カ月ぶりの低水準になったことなどから景気後退懸念が広がり、景気敏感株は売られましたが、長期金利が約1カ月ぶりの低水準になったことから成長株は買われました。
6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が水曜日に発表されましたが、市場がほぼ織り込んでいた内容で、市場に対する影響は限定的でした。
金曜日に発表された6月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を上回って堅調な労働市場の状況が示されました。株式市場では景気後退に対する過度の懸念が和らぐ一方、長期金利が再び3%台に乗せたことが上値を抑えましたが主要指数は週間で上昇しました。
S&P500指数過去5年チャート
2.今週のピックアップ記事
資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしてランキングし、極々私的な見解でコメントするコーナーです。お散歩コーナーで本を紹介している熊倉貫宜さんのピックアップ記事とコメントも掲載しています。
【1】日経新聞 中国の「未来の改ざん」警戒を 香港を変えた50年前の罠
7/1
・最近、香港の新たな教科書が話題となった。「香港が英国植民地だったことは一度もない」と記されると香港メディアが報じたためだ。常識を超えた主張に英統治時代の最後の香港総督、クリス・パッテン氏も記者会見で「全体主義者は常に歴史の改ざんを図る」と批判した。
・だが、これは中国による突然の改ざんではない。50年前に中国がひそかに仕掛けていた法律戦・世論戦の1つだ。第2次世界大戦後、国連は脱植民地化の機運を背景に独立を支援する「非自治地域リスト」を作成した。80を超える地域が実際に独立し、当初は香港とマカオも含まれた。つまり香港にとっても国際社会に後押しされた独立への道は十分に「あり得る未来」だったはず――。だが、その道は多くの人が知らないうちに断たれていた。
・1972年、中国が「香港・マカオは植民地だったことはない」としてリストから削除させたためだ。香港返還直前の1997年3月、人民日報は「なぜ香港は植民地ではないのか」と題し、国連が〝認めた〟経緯を紹介する記事を掲載した。これにより香港の扱いは国際社会や香港自身が関われない「英国と中国の駆け引き」という土俵に持ち込まれ、香港の今日につながった。いわば香港の未来を改ざんした一手だった。
・最近では「台湾海峡は国際水域ではない」との主張を始めた。南沙諸島や西沙諸島では勝手に海南省三沙市という行政区を設定し、尖閣諸島だけでなく「琉球の帰属は歴史的に未解決」などの言論まで展開している。こうした暴論に多くの人が危機感を抱きつつも「常識では通用しない」とも考えている。それでも中国共産党はもっと先を見据えている。
・中国の小さな動きを看過しないこと、香港を巡る失敗を国際社会が繰り返さないこと――。それは専制国家の強大化や暴走を防ぐとともに、香港をはじめ強権下に生きる人々を少しでも守ることにもつながるはずだ。(中国総局長 桃井裕理)
【川田コメント】
先日7月1日は香港の中国返還25周年にあたる。私は1993年から2年間香港に駐在していた。西洋と東洋の歴史と文化がぶつかり合い、中国人と西洋人が反目と協力を繰り返しながら実利をとことん追い求めていた。その中で英語も中国語もままならない日本の証券会社は居場所がないと自覚したものだ。
その香港で今度使用される新たな教科書には「香港が英国の植民地だったことは一度もない」と記されるらしい。遡ること1972年に中国は「香港・マカオは植民地だったことはない」として第二次世界大戦後の国連の「非自治地域リスト」から削除させていた。英国は「植民地支配を実施していただけで中国の香港への主権が途切れたことはない」というのだ。つまり香港の独立など最初からありえないと主張していたということだ。
中国のこの言い分を我々日本人はどう評価するのか?記事ではこの主張は“50年前の中国の巧妙な仕掛け”で“歴史の改ざん”との見立てだ。しかし西洋列強の苛烈な植民地支配には到底納得できないとする中国人の反応に、同じアジア人として理解を示すことも可能ではないか。この件でもやはり“歴史は勝者によって作られる”との思いに至った。
【2】日経新聞 三井住友トラスト、米アポロと資産運用提携 ファンドに2000億円、日本の投資家に選択肢 7/7
・三井住友トラスト・ホールディングスは7日、米大手投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントと資産運用などの業務で提携すると発表した。
・傘下の三井住友信託銀行がアポロのファンドに15億ドル(約2,000億円)出資するほか、将来は日本の個人や年金基金がアポロのプライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドなどに投資できる仕組みをつくる。
・三井住友信託銀は大口投資家としてアポロのファンドの特徴や運用ノウハウなどを蓄積した後、PEや不動産などオルタナティブ(代替)投資をする国内向け商品の開発を検討する。
・金融市場が不安定な中、株や債券からの資金の分散先として、オルタナティブ投資への関心は一段と高まっている。もっとも、PEなどのファンドは通常10年とされる運用期間を終えるまで解約できず、最低投資額も10億円など高額のため、資金力の乏しい国内の個人や年金基金ではアクセスできていなかった。三井住友信託銀とアポロは個人でも購入しやすい商品を検討する。
APOLLO GLOBAL MANAGEMENT, INC. (NYSE:APO)
【熊倉コメント】
この報道では「業務提携」とされておりますが、投資の概観図を視ると、単なる「出資」の域を出ません。
さらに、「大口投資家としてアポロのファンドの特徴や運用ノウハウなどを蓄積」するとされていますが、ファンドの要たる運用ノウハウを、大口出資先と言えども、アポロ側が簡単に開示するとは考えられず、三井住友トラスト側から英語が使える若手を2,3人出向させて終わり!の可能性が大きいのではないでしょうか。
また、アポロ・グローバル・マネジメントのHPには創業者達の履歴が掲載されておりますが、その多くがジャンク債への投資で破綻したドレクセル・バーナム・ランバートの残党であることは、意図的になのか、見当たりません。
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