コロナショックでバフェットのポートフォリオは・・・ 【投資のヒント】
■ポートフォリオ全体で36%の下落
相場は多少戻り始めているとはいえ、1カ月間の新型コロナウイルスショックで投資家の多くが痛手を被っているはずだ。私自身ももちろんそうだが、投資の神様「オマハの賢人」はどうだろう。
ウォーレン・バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイは過去55年間で年率20.3%という途方もないパフォーマンスを株主に提供してきた。ちなみにその間のS&P500は10.0%だ。株式市場において「伝説の存在」であることは否定し得ない。しかし、再三申し上げているように、最近はその神通力にも陰りが見えていたと私は考えている。
バークシャー・ハサウェイは投資ファンド的な性格を持つ企業で、そのポートフォリオには米国を代表する企業が並んでいるが、今回のコロナショックで特に大きな影響を受けた企業も多い。表はバークシャーの保有上位20銘柄である。3月24日時点で、2月19日の高値から56%も下落しているデルタ航空(DAL)などの航空会社や、44%下落したUSバンコープ(USB)などの銀行が並んでいる。また、上位20銘柄には含まれないが、エネルギー大手オクシデンタル・ペトロリアム(OXY)が高値から75%下落するなど惨憺たる状況で、ポートフォリオ全体では約36%の価値を棄損している。これはS&P500と比べても6ポイントほど悪いパフォーマンスだ。
■大きなキャッシュポジションが奏功
直近の日経ヴェリタス(3月22日号)に特集されていたが、市場が危機的な状況にある今こそ投資の好機と考えるのがバフェット流なのだ。最近のバークシャーは大型の投資を行っていなかったこともあり、手元保有の現金は1300億ドル(約14兆円)まで積み上がっていた。バフェットは市場が50%以上下落しても耐えられるポジションを維持していたようだが、一説によると「バフェットのキャッシュポジションが高まれば高まるほど、金融危機の可能性も高まっていることを示唆している」ということだそうだ。今回のコロナショックではそのキャッシュポジションが奏功し、壊滅的な影響は免れたと言える。下落後の余力を残していたという意味では、やはり普通の人ではない。
バフェットが一線を退き後継者に道を譲るまで秒読みに入っている。今回の急落相場は、彼の投資人生で最後の絶好の買い場となるのだろうか。当面のバフェットの動向に注目したい。
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