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実はそれほど下がっていない?米国株式市場 【投資のヒント】

■激動の2020年第1四半期
歴史に残る激動の第1四半期が終わった。振り返ると、年明け早々に米国がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆で殺害したことで中東情勢が緊迫化したが、2019年11~12月に8.5%も上昇していた相場は微かに反応するだけで大きな下落もなく、依然として米国市場の強さを確信する向きが多かったように思う。当時、相場の過熱感は否定できず、何らかの材料で多少調整が入るかもしれない、と誰もが予想はしていたが、ここまでの歴史的な下落になるとは考えられなかった。当初は発信地の中国や、日本・韓国など極東の一事象にすぎず、対岸の火事として高をくくっていた欧米諸国が、今や新型コロナウイルスの感染中心地となっている。このような状況だって、容易には想像できなかっただろう。

表は世界72か国の株式市場の年初来(第1四半期)のパフォーマンスを現地通貨ベースで並べたものだ。ほぼ全ての国がマイナスのリターンで、平均でも▲23.91%と大きな下落幅となっている。なぜか、唯一プラスなのがウクライナだ(と言ってもわずか+0.30%だが・・・)。

アルゼンチンやギリシャは今回も▲40%以上の大きな痛手を負っている。今秋開催予定だった万博を1年延期しようとしているアラブ首長国連邦のドバイも大きく沈んでいる。

先進7か国(G7)メンバーを見ると、イタリア以上にフランスが大きくマイナスとなっている。日本は▲23.63%と欧州よりは穏やかな下げだが、これだけ乱高下を続けている米国が、実は▲20%とG7では最も影響を受けていないことには驚きだ。真の資本主義に基づく米国市場の強さだと信じたい。

そして、当の中国は▲10.35%と主要国の中では影響が非常に小さい。大きく戻しての▲10%かと思いきや、底を付けた3月19日でも直近高値(1月14日)からの下げは▲15%にとどまっており、新型コロナウイルスの影響は相対的に小さかった。

過去の株価急落の多くは金融システムに綻(ほころ)びが生まれることで引き起こされており、手の打ちようがあったが、今回ばかりは未知のウイルスが相手で先が見通せないのが苦しい。敵の実力がわからないと、勝負は難しいとつくづく実感する。

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(出典)https://www.bespokepremium.com

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