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米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.16]2021年9月27日配信
2000万円達成ペースメーカー
出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。
読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ
S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)
正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。
さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!
1.マーケット振り返り(9月20日~9月24日)
<主要指数>
・NYダウ +0.6%
・S&P500指数 +0.5%
・ナスダック総合指数 +0.0%
=駆け足バージョン=
週初は中国の不動産グループに対するデフォルト懸念から売られましたが、その後は反発しました。米連邦公開市場委員会(FOMC)は金融引き締めに一歩近づき、長期金利は上昇したものの、株式市場に対する影響は限定的でした。
=ちょっとだけ詳しく=
月曜日は、中国恒大集団の社債利払いを巡る懸念からリスク回避姿勢が強まって大幅に下落しました。しかし、利払いが行われるとの見通しなどから徐々に落ち着き、水曜日にFOMCが始まる頃には反発に向かいました。FOMCでは債券買い入れ枠の縮小に関する具体策は示されず、前回よりもややタカ派的なトーンとなりました。株式市場は落ち着いた値動きとなりましたが、債券市場では欧州の中央銀行の引き締め姿勢も影響して、長期金利は7月初旬以来の水準に上昇しました。景気の減速感が感じられる経済指標が多かったほか、ナイキやディズニーなどから第3四半期の業績に対する慎重な発言が出て株価は下落しましたが、市場全体に対する影響は限定的でした。
2.今週のズバリ!
これだけは知っておいてほしい情報をお届けするコーナーです。
3週間ぶりの反発
先週は週初に市場が揺れ動いたが、米国市場は結局プラスで引けた。9月2日の史上最高値からの下落率は火曜日の終値でも約4%で、直近高値からの5%超の下落がない期間は224日となっており、過去7番目に長い記録だ。相場の足腰はまだ強い。
中国の問題は大きくならず
先週初めの下落原因が中国の不動産企業の債務問題だったため、リスクを誇張して伝えているように感じられる記事が日本のメディアで目立ったように感じた。実際、中国恒大集団(エバーグランデ)の債務問題の実態を正確に把握している市場関係者はどの程度いるのだろうか。おそらくほとんどいないだろう。
それがリスクたる所以で、まだ後を引く可能性はあるものの、2008年のような金融危機にはならない。欧米の金融機関が社債を大量に保有という記事もあったが、おそらく年金(ファンド)などの巨額の運用資産の一部であり、デフォルトになったとしても損失を吸収できるようにリスク管理されており、危機にはならない。中国恒大集団に関連したデリバティブ商品もないはずだ。とにかく、こうした記事に惑わされてろうばい売りをしないこと。
FOMCの結果を把握すること
それよりも先週の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果の方が大切だ。要点をおさらいすると、
・テーパリングの開始時期の決定は11月の見通し(市場は年内だとは織り込んでいた)
・FOMC参加者の見通しに基づくゼロ金利解除時期が2022年へ前倒し(これまでは2023年)
・2021年10~12月期のGDP成長率の予想を7%から5.9%に下方修正(感染拡大が理由)
・2021年10~12月期のインフレ率を3.4%から4.2%に上方修正。
「景気は想定ほど良くない中でインフレ率が思ったほど低下しないから、引き締め姿勢を強める」と解釈できるような内容だったが、株式市場は落ち着いた動きで、週前半の売りの買い戻しもあってFOMC後に上昇した。うまく市場に織り込ませたパウエル議長の「技あり」だと思う。
欧米の金融政策に注目すべき
しかし、債券市場はFOMC直後では反応が薄かったものの、長期金利は徐々に上昇して7月中旬以来の1.4%台まで上昇した。今年は3月に1.7%台をつけているが、株価水準が高くなっているため、上昇が続くと少し厄介になりそうだ。
その観点からは、先週のノルウェーの利上げは気になる。市場は織り込んでいたようだが、イングランド銀行(英中央銀行)もインフレに対する警戒感を示した。欧州の利上げが米国市場に影響したこともあるため、中国の不動産企業よりも欧米の金融政策のほうに注意すべきだ。
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