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米国株式投資の真実を伝える 川田重信の「メディアで鍛える米国株式講座」 [Vol.40]2022年3月28日配信

オンラインサロン「夢がかなう資産形成塾」

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皆様が資産形成で成功するために一緒に学び啓発し合うオンラインサロンです。大好評のメルマガ「メディアで鍛える米国株式講座」だけでは伝えきれない内容や、米国株式投資の魅力を体感できる会員向けのセミナーを提供します。

2000万円達成ペースメーカー

図2

出所:金融庁 資産運用シミュレーションを基にエグゼトラスト株式会社作成
※上記数字はあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではございません。また手数料、税金は考慮しておりません。

読み方:想定利回りと達成年限
3~4%なら30年以上:ラップファンドやバランス型の投信がこれ
5~7%でも25年はかかるよ:米国以外の株式投信だとこうかな
8~10%なら20年ほど:控えめにみたS&P500の上昇率だとこうだ

S&P500のパフォーマンス実績(配当再投資1970-2021)

図3

正しいリスクテイクで早期に2000万円達成しよう
川田のメッセージはすこぶる簡単。2000万円の達成には余裕資金にできるだけ効率的に働いてもらうことだ。そのためには当事者の皆さんがリスク・リワード(見返り)の意味を正しく理解することが大事だ。毎週メルマガを読む前にこのテーブルを眺め、正しい投資姿勢を確認しよう。

さあ、2000万円達成までのカウントダウンを今すぐ始めよう!

1.マーケット振り返り(3月21日~3月25日)

<主要指数>
・NYダウ +0.3%
・S&P500指数 +1.8%
・ナスダック総合指数 +2.0%

=駆け足バージョン=
金融引き締めに対する警戒感が強まって債券市場が下落(利回りは上昇)して、長期金利は一時2.5%を上回りました。しかし週前半に成長株の買い戻しの動きが見られたほか、エネルギー株や金融株が買われて上昇しました。

=ちょっとだけ詳しく=
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が0.25%を上回る利上げ実施の可能性に言及したため、パウエル議長のタカ派姿勢が強まったとの見方などから、金利が上昇した1週間となりました。

経済指標では新規失業保険申請件数が1969年9月以来の低水準となって賃金インフレの懸念が高まりました。

パウエル議長以外にも地区連銀総裁から利上げに対する積極姿勢が示され、長期金利は一時、2019年5月以降で初めて2.50%を上回りました。

しかし株式市場では金利上昇を好感して金融株が買われたほか、ウクライナ情勢による原油価格の上昇を受けてエネルギー株が買われました。

ハイテクなどの成長株も、週前半の買い戻しの動きを背景に週間ベースで続騰となりました。

図4

図5

2.今週のピックアップ記事

資産形成に役立つ情報を、私が得た情報の中から気になるものをセレクトしランキング、極々私的な見解でコメントするコーナーです。

【1】日経新聞 金融教育、重要になった背景は 3/19

・2022年度から高校の家庭科で金融教育が本格的に始まる。金融教育は戦後長年行われてきたがそこでの基本的発想は「金融教育=貯蓄増強」。金融教育はむしろ余計な資産運用を行わせないための洗脳活動の側面もあった。

・戦後長らく国を挙げて貯蓄増強が推奨されてきたのは、家計の資金を銀行に預ければ、銀行がリスク転換機能を十分に発揮していたからだ。

・しかし今日、銀行に預けた資金の多くは日銀当座預金や国債購入に向かい、リスク転換機能の不全が懸念されている。そうした状況では、銀行預金以外に運用を多様化させる「貯蓄から投資」の必要性が生じる。

・今日、金融教育の必要性が高まっている背景には、銀行機能の変質、預金の位置付けの転換があった。すなわち日本の金融の在り方、銀行を中心とした金融ビジネスモデル全般にわたる転換があることを認識する必要がある。

【川田コメント】
日本人はなぜ株式市場にリスクマネーを投入しないのか?このことに対する重要な理由を指摘している。民間の経済活動で投資家と企業を繋ぐ金融の仲介機能には2種類ある、いわゆる間接金融と直接金融だ。

図6

間接金融
会社が金融機関から融資などの形で資金調達する方法だ。金融機関が資金を集めて融資先・投資先を決めるため、投資リスクは基本的に金融機関が負う。

直接金融
国や会社が債券や株式などを発行し、投資家から直接資金調達を行う方法。投資家から見れば、投資リスクを直接負うが、より高い収益を期待できる。

日本ではなぜ間接金融が主役?
株式市場を運営するには充実した社会インフラ、経済規模、資本蓄積さらには個人の所得、そして投資家には一定水準の知的インフラが必要だ。

図7

世界の株式市場の時価総額
現実に株式市場があるのは、欧米先進国と日本、そして新興国の一部に限られている。その中で米国市場は時価総額で全世界の6割近くを占有しており、米国以外は中国と日本が各々数%ずつのシェアを分け合い、その他は欧州の大国もせいぜい3%程度だ。

株式市場の導入で投資家が企業の持ち主になり、それによってより効率的な経済運営が期待できる。ただし、その副作用として一部の富裕者をさらに富ませることになり、富の格差を拡大し、人々の射幸心をあおり、そして過度なレバレッジで実体経済も不安定化すると言われている。

■大陸欧州と日本は「おカネが全て」の考えにNOサンキュー
大陸欧州の主要国の株式市場はそれほど大きくない。ドイツ、フランスでは銀行を経由した間接金融が主流だからだ。なぜ間接金融が主流なのか?やはり、その国や地域の歴史や統治体制と密接に関係しているが、私は以下のように考えている。

直接金融では投資家と調達側(企業など)の自由度が間接金融より高い。つまり、おカネの力にモノを言わせて過度な権力を持って既存の秩序に挑戦する暴れん坊が出現しやすい。

大陸欧州ではおカネや明文化されたルール以外に、歴史、文化そして既存秩序を尊重する。そして日本もその傾向が強い。

■カネの力でエスタブリッシュメントを脅かすモノはけしからん!
欧州でも日本でも、成り上がり者がカネの力と勢いでその国のエスタブリッシュメントを脅かすことには警戒感が強い。だから、間接金融なら、一旦銀行で受け止めておくことで、金融政策、産業政策に為政者の裁量の余地を残すことができると考える。日本で間接金融が主流なのは、欧州と同じように、このことが大きく影響していると思っている。

日本には個人が株主になっても株主の権利が存分に行使できない仕組みが(法律や規制以外で)そこかしこにある。個人はそのことを知っている。「株主になっても思うようにリターンが出ないね」、「自分の会社を自由に処分したいがなにかと規制や障害があって条件が不利だ」などだ。

こういうことが重なって株主重視の経営が成り立ちにくい。すなわち株主リターンも軽視されがちだ。このことを個人投資家は長年の経験でよく知っている。これもまた日本に個人投資家が育たない一因でもあると思う。皆さんはどうお考えだろうか?

【2】The Economist Mar 12 “ Is hybrid work the worst of both worlds? | The Economist(在宅と出社併用は悪いとこどり?)”

図8

・会社側が期待したとおり社員は事務所に戻りつつある。コロナに伴う経済制限が緩和されるにつれて、社員は社内の人混みに慣れる必要がある。

・ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーなどウォール街の大手金融機関は従業員にオフィスに戻るように促している。

・その一方、リモートワーク関連のハイテク企業にとって、在宅勤務の実験の逆の動きが起きている。2月にズームは、欧州・中東・アフリカの売り上げが前年同期比-9%に鈍化したと述べた。ズームの時価総額は2000年のピークの1,750億ドルから350億ドルと5分の1に減少した。

ハイブリッドワークの利点と改善点
・アップル:週に1回のオフィスワークから始め、3月23日からは週に3日の出社勤務に増やす。過去2年間の経験では、生産性、協力関係、フォーカスの観点から、社員はどこにいても働けることを示した。

・ハイブリット型の仕事は妥協の産物なのだろうか?というのも、ハイブリッド型仕事は多くの点で会社側の期待を満たしていないからだ。

・パンデミック前の騒がしい事務所に代わる場所はない。多くの人々は適応するのに時間がかかっても、社会的な交わり、仲間づくり、経験の共有などを切望している。

・週3回だけ出社することは、常時出社に比べて社員二人の出会いが64%に減ることを意味するという研究結果がある。

・出社する人が増えれば、社員は同僚や経営者とのつながりが深くなる。1970年代に経営学者のThomas Allenは机の間の距離が離れるほど、社員間の意思疎通が幾何級数的に減ることを発見した。

・マイクロソフトの社員に対する調査結果によると、半数以上が在宅勤務で他の社員との関係性が以前より薄れたと答えた。ハイブリッドの勤務形態には欠点があるが、多くの企業は在宅と出社勤務の間に何らかの価値を見つけようとしている。

図9


【川田コメント】
私の会社はリモート勤務との相性がいい。弊社は企業の調査レポートのローカライゼーションや編集、さらに作成を請け負っている。業務の性格上、在宅のほうが周りに邪魔されずに集中できて生産性があがる。実際に我々はハイブリッド勤務を大いに実践している。

しかし、会社の生産性を高めるためには出社して隣の仲間や他のメンバーと積極的に意思疎通をすることが必要だ。そうしないと時間の経過と共に生産性が劣化することもまた実感している。

ズームの社員飲み会、ワシャいやや
ところで先日、外資系コンサルティングの女性役員から聞いた話。その会社では社員の多くがリモートで勤務、そして社員間の交流促進のためにズーム飲み会を真顔で(?)実践しているというのだ。

昭和のオヤジの私には馴染めない。こっちがいい気持ちで飲んでいる時に、どれだけ飲んでいるのか分からない相手に自分の醜態をさらすだけになると思うからだ。まして肚を割っての本音のぶつけ合いなんて出来ない。もっとも、仕事上本当に大切なことなら酒がなくてもできるでしょ!そんな声が聞こえてきそうで私もそう思っている。そういえば最近「飲み会」が私の中でも死語になりつつある。

【3】日経新聞 ドイツと同じことがなぜできないのか D・アトキンソン氏
小西美術工芸社社長
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図10

・日本の1人当たり国内総生産(GDP)は現在の28位からニュージーランドとイタリアに抜かれて、30位まで低下する。下位先進国になってしまった日本経済を復活させるには賃金を上げるしかない。ただしどう実現するかは定まっていない。

・上場企業は日本企業全体のわずか0.3%にすぎず、労働者の3割でしかなく、給与も高い。7割の労働者が働く中小企業の賃金が上がらないと、大半の日本人は恩恵を受けないし、平均賃金もさほど上がらない。

ドイツの中小企業の生産性は高い
・日本の大企業の生産性はドイツの大企業と大差ないが、ドイツの中小企業の生産性は大企業の68.3%に達する。日本は50.8%と、先進国中最下位という低水準だ。

・ドイツの中小企業の生産性は日本の1.5倍も高いが、注目すべきは、中小企業の労働分配率は大企業よりも高いため、中小企業の生産性が高くなると賃金への貢献度合いも大きくなる点だ。

ドイツ:生産性の高さは規模の経済
・ドイツ企業の生産性の高さは、主に規模の経済に起因する。ドイツの大企業の平均社員数は日本の71.5%にとどまるが、中小企業の平均社員数は日本の2.4倍。小規模事業者でも日本の1.5倍だ。生産性と賃金水準を重視した結果だ。

・中小企業を成長させる政策は、社会に大きなメリットをもたらす。賃金は上がり、利益が増え、規模の拡大によってイノベーション(技術革新)も活発化する。輸出ができる中小企業が増え、女性活躍が進みやすくなる。有給休暇の取得率が向上し、デジタル化の効果が出やすくなる。税収が増えて、財政も健全化する。いい事ずくめだ。

・これは中小企業の淘汰策ではない。全ての中小企業が成長する国策を実施することで、大半の日本人が働く企業全体の底上げを図れる。日本が採用すべき新しい資本主義とは、中小企業の保護ではなく、どの中小企業も中堅企業を目指して成長できる環境に切り替えることだ。

中小企業庁:「中小企業・小規模企業者の定義」

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