SARS-CoV-2研究所流出の動かぬ証拠?
Twitterで、日本でアルファ株やデルタ株が出現したというツイートが話題になりました。中には、研究所(衛生研究所)からの流出を疑う声もありました。
しかしながら、その後、『データの登録ミス』であったことが分かりました。早とちりでしたね。
(直接確認しなくても、エラーでは?という意見も多かったように思います。)
ただ、データの登録ミスで納得する人もいれば、しない人もいるでしょう。(以下のツイートように考えるのが『普通』だと思いますが。それ以外の人は、認知が歪んでいるように思います。)
(もっともな意見だと思いますが、このツイートにレスポンスしないということは、削除する気はないのでしょうね。)
今回の件について、結論としては、「研究所のデータの取り扱いに問題があった」ということしか言えないと思います。「データの取り扱いに問題があるということは、ウイルスの取り扱いにも問題がある可能性がある」というのは論点がずれていますし、蛇足的な妄想でしょう。
ただし、今回は、『データの登録ミス』であることが分かりましたが、最初のツイートの内容が、ウイルスの研究所流出説の核心を突いていることは間違いありません。
この記事では、そのことについて解説していきます。
以下は、Nextstrainのホームページで公開されている画像です。
縦軸が『変異の数』、横軸は『時間軸』を表しています。専門的には、これを『分子時計』と呼び、時間の経過とともに、SARS-CoV-2のゲノムRNAに変異が蓄積している様子が分かります。
では、例えば、『武漢株』がとある研究所から流出すると、この画像にどのような変化が起きるでしょうか?
武漢株の変異の数を「0」とします。それが、例えば、2022年の元旦にとある研究所から漏れて拡がったとすると、それもまた時間の経過とともに変異が蓄積していき、原点を通らない『2本目の線』が現れます。
これが、ウイルスの研究所流出の動かぬ証拠です。
それが実際に起きたとされるのが、1977年のインフルエンザウイルスUSSR株(ソ連かぜ)のパンデミックです。
インフルエンザウイルスのゲノムRNAの配列情報から分子時計を作ってみると、原点を通らない『2本目の線』が現れました。
約25年間、ウイルスの変異が完全に停止していたということです。
この理由について、「ウイルスがシベリアの永久凍土に保管され、それが解けたときに鳥が持ち出し、ヒトに感染させた」と説明するウイルス学者もいますが、研究所流出説の方が高いコンセンサスを得ているように思います。
もちろん、ウイルスが極めて短い期間で流出すれば、『2本目の線』は判別が難しくなってしまうかもしれません。
ただし、2023年の最新の研究でも、武漢(Wuhan)株が使用されています。実験を行う上で、「以前の株と比較して、現在の株はどうか?(病原性に変化はあるか?)」ということを調べるためには、当然すべきことでしょう。
武漢株をはじめ、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、オミクロン株、全ての変異株に流出説が付随しているため、SARS-CoV-2研究所流出説支持者たちは、SARS-CoV-2が頻繁に流出していると主張しています。
しかしながら、分子時計に明確な『2本目の線』は見られません。このことは、仮にSARS-CoV-2が頻繁に流出しているとしても、新しい変異株ばかりが漏れているということを意味していると考えられます。
なぜでしょう?感染実験では、同時に武漢株やデルタ株を使っているのに?
私は、とても奇妙なことのように思いますが、SARS-CoV-2研究所流出説支持者は、この理由を説明できるのでしょうか?
以上。原点を通らない『2本目の線』が、(外野の)研究所流出説支持者たちが提示できる唯一の確実な証拠であることを共通認識として欲しいと思います。
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追記)データの登録ミスは解消されました。改めてGISAIDを確認しましたが、アルファ株は2021年10月を最後に、デルタ株は2022年5月を最後に、日本で検出されていません。
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