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『本郷隼人の きょうのサブスク』 Vol.3 デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ, ビリー・ストレイホーン『The Nutcracker Suite』
音楽のサブスク(サブスクリプション、定額制配信)が本格化して10年ほど。賛否両論あるが、筆者は「夢のようなサービス」だとして、大いに利用している。
というわけでこの連載では、サブスクで聴けるアルバムやプレイリストなどを分野を問わず、駄文を交えながら紹介していこうと思う。
クリスマス・シリーズの第2弾は、まさにサブスクで発見し、腹の底から驚いたアルバムを紹介したい。
『The Nutcracker Suite』
デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ, ビリー・ストレイホーン
◆Apple Music
みんな大好き、チャイコフスキーの『くるみ割り人形』。
『白鳥の湖』『眠れる森の美女』と並ぶチャイコ「3大バレエ」音楽だが、作曲者本人が編んだ「組曲版」の曲たちが広く知られている。
これはその、ビッグバンド・ジャズ演奏。
筆者もまた「くるみ割り」が好き過ぎて死ぬというぐらいに好きで毎年この季節になるとバレエ全曲を最低5回は聴いているほどなのだが、同時にまた、クラシックの楽曲をクラシック以外に編曲・演奏されたものが大好物。
サービスが始まったばかりのApple Musicで〝くるみ割りの編曲モノ〟をいろいろと物色していたところ、これを見つけた。かれこれ9年ばかり前の、やはりクリスマス・シーズンだったと思う。
こうした「発見」があるところが、サブスクの大きな魅力の一つだ。
編曲・演奏はスウィング・ジャズの帝王デューク・エリントンとその楽団、ビリー・ストレイホーン。ストレイホーンの名は寡聞にして知らなかったが、公爵の右腕とされたジャズ・ピアニストで、かの『A列車で行こう』の作曲者(作詞も)とのこと。どおりでクソかっっちょいい演奏なわけだ。
くるみ割りの編曲モノというとエマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)の『Nut Rocker』が有名だが、デュークたちの演奏はさらにハジけている。
曲によっては原曲をとどめていなかったりもして、チャイコフスキーのロマンチックを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。そのまま土俵を割ってしまわないよう大いに注意されたいが(笑)オリジナルの子供の世界に対し、こちらは完全にオトナの世界。しかも渋面で「クラシックでござい」というものでもない。
スイングしなけりゃ意味ないね!!(エリントンつながり)
ぜひシャレオツなパーティーのお供として、ご活用いただきたい。
◆Amazon Music Unlimited
◆YouTube Music
付記:
同じメンバーでグリーグ『ペール・ギュント組曲』の録音もされておりこれまた素晴らしいのだが、筆者が探した限りではサブスクでは配信されておらず、国内盤も生産中止となっている模様。
CDの入手はさほど難しくないので(気の利いた図書館にはあるかもしれない)、機会があればぜひお聴きいただきたい。
※タイトル画像は「こちら」より拝借しました