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ポスターどっきりまるで亡国 ~ 続・EXPO2025のポスター(呆)

 昨日知った「EXPO2025」のキャンペーンポスターへの怒りが、一昼夜を経ても治まらない。

 代理店ガーッとか癒着ガーッとかはまた別の話として、とにかく国家的なプロジェクトにおいてこんなモンが恥ずかしげもなく採用されおほやけの目に触れることになってしまうことに、暗澹たる気持ちになる。
 この国のグラフィックデザイン……というか美意識も、いよいよ地に落ちたなと。

 もともと日本の美術というのは、工芸なども含め、きわめて「近代デザイン」っぽい。

※以下、引用元はキャプションからリンク参照

「琳派」の祖、書:本阿弥光悦、画:俵屋宗達の『鶴図下絵和歌巻』一巻(部分)
琳派を代表する尾形光琳の『紅白梅図屏風』(国宝)
〝へうげもの〟古田織部好みの「黒織部」茶碗
葛飾北斎『富嶽三十六景 山下白雨』
歌川広重『名所江戸百景 深川洲崎十万坪』

 こういったものが明治維新後の19世紀後半に西洋に知られるようになり、「ジャポニスム」として美術家たちに多大な影響を与えたことは論をまたない。

ロートレック『ディバン・ジャポネ』(ポスター)
ミュシャ『JOB』(ポスター)

 そしてこの国でも明治末頃から広告美術やグラフィックデザインという概念が導入されると、これまた民族的な生真面目さも手伝って、数々の傑作ポスターが生み出されてきた。

1911/明治44年

橋口五葉『三越呉服店懸賞ポスター』第1等受賞作


1922/大正11年

井上木它『赤玉ポートワイン』ポスター


1927/昭和2年

杉浦非水『東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通』


  国家的なプロジェクトのポスターといえば……

1967年/昭和42年

亀倉雄策『EXPO'70 ポスター』
河野鷹思『XI OLYMPIC WINTER GAMES SAPPORO'72』
上部のシンボルロゴは永井和正(1966年)





そして
2024/令和6年




2025年日本国際博覧会開幕半年前キービジュアルを9月20日より公開!


 何が起きているのだ、この国に……

 ひょっとするとわが国の広告ビジュアル史上最高傑作の一つ『史上最低の遊園地』のセンを狙っているのではと0.3秒ぐらい思わないでもなかったが、そうではあるまい。
 とにかく、洒落パロディではなく本気マジでやっているところが空恐ろしい。

 そのほか言いたいことは山ほどあるが、こんなモンがまかり通ってしまう背景には、この国の現在に、かなり根深いものがあると思っている。

 今後ともそうしたことどもをしっかり注視し考察していきたいと考えているが、まかり間違ってこの万博とやらに出かけてしまったご家族において、
「お父さんはカタなし。」
 とならないことを願ってやまない。

1990/平成2年

大貫卓也『史上最低の遊園地』

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