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十三 彼女の決意が 日が沈み、夜はふけゆき、月が高く昇った。 この近辺は歓楽街のような不夜城というわけではない。一軒、また一軒と営業が終わり、通りは暗くなっていく。 街中が店じまいして人通りが少なくなるのを待って、リンスゥはシロウの部屋の窓からそっとぬけ出した。 となりの建物との間隔はせまい。逆にそれを利用し、壁に背中をつけ、向こうの壁に両足を突っ張って、体を支える。腕を使い、少しずつずらしていくようにして移動する。 これはロッククライミングで、体が入る大きな裂