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八 プリンの日 がちゃーん! かん高い破壊音が、昼下がり休憩時間中の店内にひびいた。 居合わせた人たちがおどろいて肩をすくめ、音源を振り向く。 視線の先には、一人の女性。 すらりとした立ち姿。 整った、それでいてどこか少女の面影を残す顔立ち。 ただし今、その表情は強ばっている。 固まって立ちすくんでいるのは、リンスゥだった。 両手はお腹の前にささげる形。右手にはあわ立つスポンジをにぎっている。その姿勢で、下を向いて動かない。 かすかに眉をひそめ、口元