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「さあ、行くぞ!」 お父さんがうれしそうな顔でイグニッションキーをひねる。最初きゅきゅきゅと音がしたあと、ぶおーんとエンジンがふき上がる。 その音を聞いてにこにこ顔のお父さんに対して、となりの助手席のお母さんは少し顔をくもらせている。 「こんな日にピクニックだなんて、不謹慎だって思われないかな」 それはぼくも同感。後ろの席から窓の外を見る。確かに雲一つなく晴れ上がった空はピクニック日和に見えるけれど、視線を落として地上の他の状況を考えたら、ふつうは遊びに行くような日じゃ