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六 彼女が私で、私は彼女 「リンスゥ、表の札、ひっくり返しといて」 「はい」 ヤーフェイの指示を受けて、リンスゥは大きく開いた店の正面、その両脇にたたまれた扉に向かう。そこには「営業中」の看板がかかっていた。 その板に手を伸ばし裏返す。すると表示は「準備中」になる。営業時間外だというお知らせだ。 この食堂は正面の壁を全部開けられるようになっていて、晴れた日には店の前にも席を用意している。今日は風もなく一日いい天気で、まさにそういう日和だった。とても貴重な一日だ。