アンフォールドザワールド・アンリミテッド 11
11 私たちの町は夏休み直前だけれど、ここは肌寒かった。海から吹き上げてくる風がそう感じさせるのかも知れない。半袖の制服だと少し辛い。さっきまで古い公団住宅の畳だったはずの足元は、ごつごつとしたむき出しの岩場だ。そういえば、布団に寝かされていたはずのミッチの遺体はどこへ行ったのだろう。
「あれがミッチの家……」
靴下履きのまま、私たちは岩の上を歩く。切り立った崖の先端に、ガラス張りの丸い住宅があった。
「トニー・スタークの別荘ですね、まるで」
「ほのかそれ観たことあるー。ア