息子の「可愛い」のツボが、かわいい
息子を初めて連れて行った映画は「カールじいさんの空飛ぶ家」。7歳くらいだっただろうか。
家でもアニメを全然観てくれないし、テレビ大好き夫や私と違ってテレビも長い時間観ない。今だって、映画やお笑いは一緒に観てくれるけど、ただ何となくつけていると「観てるの?」と聞いてくる。観ていないと消されちゃうから、「観てる観てる」と、うたた寝から起きたおじさんみたいに、急に集中しているフリをする。
息子の幼少期、少しは自分で時間を過ごす時間があっても良いじゃないかと思ったけど、私と遊びたがった。友達ともあまり遊んでくれなくて、夫や私が良いようで、ヘトヘトになったものだ。
そんなで映画などじっと座っているなんて耐えられないだろうと思っての、ようやくの映画鑑賞。
すっかり入り込んで映画を観る息子に安心した。
でも入り込み過ぎるのは予想外だった。
「シュガーラッシュ1」で、隣りのカップルに気まずい思いをするほど嗚咽をもらして私の膝の上で号泣。「トイストーリー3」でもうまくいかないすれ違いのシーンで、キーキー怒る。
でも段々落ち着いていった。5年前の「インサイドヘッド」では、私がグッと来たのと違う場面で静かに涙を流していた。
そんな風な時期を経て、今では号泣する私に対し引くほど、冷静に観られるくらいになった。
「トイストーリー」に関しては、「3」を観てもらうために、「1」「2」を家で復習。
その早い段階で、息子はキャラクター「リトル・グリーンメン」を気に入ってしまった。三つ目の緑色のおもちゃ。
何故あれなのか。
可愛いけど、そこまで気に入るのが私にはよくわからない。人なつこい感じかな。
息子が、人なつこい「笑顔」に弱いのは知っているけど。
おもちゃ屋で初めて執着をみせたのが、笑顔のピグレットのぬいぐるみ。欲しがる物以外をどんどん与えることはしないと思っていたけど、あまりに物欲がないから大丈夫かと思っていた矢先。
それ??
って思った。正確に言えばハンドパペット。店で見つけた時から手放さなくなってしまい、買ってからもどこに行くにも持ち歩く時期があった。
ディズニーランドに行った時には、幼い息子に「これで好きな物買ってごらん」とお小遣いを渡すと、カンガとルーのぬいぐるみを買っていた。
やっぱり笑顔。
その後、中学生の頃、二度目のディズニーランド。3月下旬だったのに寒くて、防寒グッズを買おうと入園早々帽子を探した。息子は少々反抗期だったけど、リトル・グリーンメンの帽子を選んだ。頭にかぶられると私はちょっと怖いんだけど。
でも、まだそれが好きなんだ。
頭の部分だから、それだけで置くとますます怖くない? 口には出さねど、半笑いで見守る。
私の心配をよそに、息子はしばらく自分の枕もとに置いて寝ていた。
この前久しぶりに、「トイストーリー」を観た。テレビで放映していたのをちらりと。
「〇〇(息子)は、これ好きだったんだよ、今も好き?」
と聞こうとした。
けど、やめた。
高校三年生になろうとする頃。そんな風に言われるのは気恥ずかしくていやかなと気を回したわけではない。
聞こうとして息子の顔を見た時に、実に良い笑顔で彼らを見ていたからだ。
聞くまでもなさそう。
うふふと声が漏れそうなほど、「可愛いな」って声が聞こえそうなほど、リトル・グリーンメンが何か声を発する度に、息子は愛おしそうに、ニカーと笑っている。
そうか。今でも可愛いと思うんだな。
可愛いけどさ。そこまでなのか。
息子は、私とまたちょっと違った感性を持っているなあと、それもそれで嬉しくなった。
※今回、リトル・グリーンメンの帽子を写そうと出してきたら息子、いつの間にか、それをかぶってテレビを観ながら笑っていた。
可愛いヤツめ。