息子の制服を洗いながら思い出す
肌が弱い息子のために、制服のシャツを洗う時に強い洗剤を使えない。
シャツがCMみたいに真っ白にならないので、弱い洗剤で洗う前に必ず手洗いをする。
まあ。それは大変!
そうなのよ奥さん。私、手洗いしてるの。
偉いわねえ~……。
……くらい言われても良い気がする!
私はこれを「心をこめて」「色々な思いに浸りながら」「息子のためを思って優しく」なんかやっていない。
猛烈に面倒くさい!!
靴下も学校のマークがついた白が指定なので、手洗いしている。
もうその家事が待っていると思うと、他のあらゆる家事まで面倒になるので、面倒とかやらなきゃとか色々感じないうちに、朝の忙しさのどさくさに紛れて洗ってしまう。
息子が高校を卒業したら一人暮らしを始めるのは寂しいけれど、この手洗いの日々から解放されるのはありがたい。早朝のお弁当作りもそう。
男子高校生は、首筋からいったい何を出しているのだろう。と思うくらい、毎度襟が黒くなる。私だって割と汗っかきで、爽やか清楚系でもなかったはずだけど、こんなに毎回、襟が黒くならなかったと思う。などと自分の高校生の頃の制服を思い返す。
私は顔と指先以外は、肌が丈夫な方だったので、制服洗うのは割と簡単だったはずだ。
中学からセーラー服を6年間着た。リボンがなく、セーラーの襟も狭めの大好きな制服。
スカートの丈は厳しくて、ひざ下は絶対だったけど、私たちの世代は長い方が流行っていた。高校三年生の頃から少しずつ短いのが流行り出して、ひざ下でもギリギリだと、先生に注意されている子などがいた。
先生に注意されないように何かするなら、スカートのウエスト部分を絞ったり、靴下の三つ折りをギリギリまで下ろして足首を細く見せたりなど。時代もあったり、学校それぞれの流行りもあったり。
ウエスト部分は、上からボタンでつっていて、ワンピースのようにしてあったので、上からつっているボタンでつなげずに、ゴムでギュッと絞っている子もいた。私はボタンを一つずらしてささやかに細めにしていたくらい。
太ももは競輪選手にでもなれば良かったくらいに太かったけれど、ウエストだけはしまっていたのだ。ミツバチみたいな体型……と当時はイヤだった。
卒業してから冬の制服は、下級生がほしがったので譲った。しかし夏の制服は、家に置きっぱなしにしていた。
それを、ビザの関係でニュージャージーと宝塚の往復していた頃に、タンスの中に見つけた。
24歳の頃。
わあ懐かしい!! あの頃より、5キロくらい痩せたからブカブカなんじゃないだろうか。
そう思って、6~7年ぶりくらいにセーラー服を着てみた。おそらく想像ついている方たちはいるだろう。
きつい!
キツキツだ!!!
ぱつぱつだ!!!!!
なんで?
骨格が変わったの?? ってくらい、窮屈。これでボタンを一つしぼっていた? 信じられない。だってもうこんなにぱつぱつ。もしかして制服が縮んだのかしら!
いやいやわかっている。何も言われてないけど「みなまで言うな」。
自分で言う。
「肉付きが変わった」。
知ってるってば。
でもまさかこんなにあからさまに変わったとは。だって体重が5キロくらい減ったのに!
あまりにも「実感」したので、その姿がイタイとかじゃなく、二度と着ないと固く自分に誓った。
そんな25年くらい前のことを、度々思い出しながら、息子の制服のシャツを洗う毎朝なのだ。
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