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カバンに、暮らし方や考え方が表れていた

 子供を一人暮らしさせながら大学に通わせ。手元に購入した商品を見ては物価高にやるせなさを感じ。今年に入ってから義母が亡くなり。否応なくお金や持つ物について考える機会が増えている。

 母と先日話していた。その辺の感覚が戦後育ちや祖母の見栄があって、祖母にお嬢様で育てられてしまった母と、祖母の影響下にあった私。
 別にぜいたくできるような家柄でもなかったし、ごく平均的な家庭だった。それでも家庭のかもしだすムードがあって。母方の祖父母の影響は、同居してからますます強かった。
 祖父は油絵の趣味があり、当時の時代で男性でありながらファッションなど衣類や持ち物の色合いにこだわりが強かった。ブランド物に興味がなかったのは幸い。そこにこだわりがあったら家計が一気に厳しくなっただろう。

 ファッションに関して考えるのは楽しい。でもこだわり過ぎると自分を縛ってしまう。年齢やセンスがどうあれ、場所や環境にある程度沿うものであれば好きなようにして良い。と思っていたけど、勝手に自分を決めつけている部分があったと、かばんを選びながら気づいた。

 服の色合いから黒のくつか茶色系のくつかを考えて履くのが好きだった。そこまではコートを含めて全体的な雰囲気に関わるから、今も季節によっては考える(冬はひたすら防寒と、雪の上でのスリップ防止なので構っていられないのだけどね)。
 ただかばんまでも、くつの色に合わせた黒か茶色系じゃないと、と決め込んでいた。
 何故だかずっと。
 もう思いこみだからそれ以外に思いが及ばなかった。

 黒のカバンをそろそろ買い替えようかなというタイミングで、ネットで探す。でも探しても探しても、好みの物が決まらない。どうしても事務的に見えてしまう。実際は様々にパターンがあって、そんなことないはずなのだけど、今の自分の感覚がそうなってしまっているみたい。

 そこでようやく気づいた。
 黒じゃなくて良いんじゃない?
 茶色系じゃなくて良いんじゃない?

 季節に合わせて変えなくちゃと思うと、数だって増えてしまう。
 でも黒いくつでも茶色系のくつでも合うかばんであれば、季節問わずどちらの色の時でも持てる。
 この冬、持ち手の部分が既にボロボロになってきた物を使い尽くしたら、一年を通して使えるかばんに変えていこう。どんなくつにも合うのなら、たくさん持たなくて良い。

 考え始めていた頃に、義母が亡くなった。
 葬儀の後、家の中で寝泊まりすると、義母の暮らしを感じた。祖母が亡くなった時の母の言葉を思う。「亡くなっちゃうと、本当にただのモノになる。不要なモノたちの多さったら」。のこされた者にとって使うことのない物の数々。片づけたり処分したりの物の多さ。

 自分の家に帰宅してから、ずっと片づけなくちゃなーと思っていた数々を見直し始めた。体調の良い時を見計らって少しずつ片づけている。

 かばんの選び方も変えていこう。
 服だって以前よりは気楽な傾向の物にシフトチェンジしつつあるのだし、今までの自分にこだわらないようにしよう。
 家の中も少しスッキリさせて、かばんを含めたファッションも、春からもっと軽やかな私で暮らしていきたいな。

 

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かわせみ かせみ
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