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この日の記憶

暗がりの中、天井から下がっている蛍光灯の揺れる動きが、尋常でなくなった時。
飛び起きて机の下で「世界が終わる!」「もう死にたいとか絶対言わない!」とコマの付いた椅子に必死でしがみついていた時。
揺れがおさまって一歩目で、倒れたタンスに足をひっかけた時。
左右の壁にぶつかりながら、両親を呼んで二人の部屋に飛び込んだ時。

その後の静けさ。

数時間ぶりにテレビがついた時の絶望的な気持ち。

忘れられない。

そして
ガスがつくまでの不安。
水が出るまでの惨めな気持ち。
連絡が取れない友達たちが心配で。
火事で家を失くした友達、親を亡くした友達たちの話が入ってきて胸が張り裂けそうになる。

線路沿いのつぶれた家々。
義姉がボランティアに行くからと連れて行った長田区の焼け野原。
できるだけ無感情に出勤していたあの頃。
表情も、笑う感情も失った。

忘れない。

荷物の仕分けに手伝いに行った日。
恩師や友達とその日について語ったこと。
親戚たちに助けられたこと。
心のケアについて考え始めた世の中。

皆もどうか思い出して。
きっとそれらが何かしら生かされた世の中に変化していっているはず。
そうあってほしい。
そのために覚えていて。

遠く離れたこの土地で、祖父母や両親、友を想う日。


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かわせみ かせみ
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。