どんな映画も、観る人次第
映画にどのような感想を持つかは、その映画の出来以上に、観た側がどのように受け取るか、その人自身によるなあと、ここのところ改めて感じている。
私はヒューマンドラマやが描かれたものや、深くない恋愛映画が好きになりやすい。そのような好みになったのは、20歳前後からだろうか。
幼少期、怖いのが苦手だったけれど、ヒーローものは好きだった。ニュージャージーでも放映されていたゴレンジャーが好きで(「ゴレンジャー」って……歳が……)、アメコミのヒーローものも大好きだった。映画もスターウォーズやスーパーマンが大好きになった。きっともうその頃から私には、そういった好みの傾向があったのだろう。
20歳前後から、ヒューマンドラマに惹かれ、ドキドキハラハラものが苦手になっていったのだが、夫が観たがった「ガーディアンズオブギャラクシー」から「アベンジャーズ/ インフィニティウォー」を観て、MCU(マーベル映画作品)にハマってしまった。
でも相変わらず、ヒューマンドラマの映画は好きだし、観る時もある。
ヒューマンドラマは身近なものが多いから、心の琴線に触れるものが多くあって、充実した気分になる。感想も書きやすい。
でもヒーローものはエンターテインメントの要素が強く、感想を書きにくい。だからなのか、中身がないとか大して得たものはないとかそんな感想を持つ人も少なくない。
無茶な設定も多いから、ツッコミどころも満載だったりする。
最近観た「アベンジャーズ / エンドゲーム」だって、あそこ、ああ言ってたのに後からこう言っておかしくない? あれはどうしてああなるの? あそこってあの後どうなっちゃうんだろう。あの人、こうなったらおかしなことにならない? あれはどうやってああなったの? だらけだ。
それでも、私はそういった映画も大好き。
「エンドゲーム」に関しては、もう「??」な部分をすべてを受け入れた上で、誰が何と言おうと、もう大好きだ。観る度に、感動の嵐が私の中でびゅーびゅー吹き荒れて胸がいっぱいになるので、それで良しなのだ。
そういったエンタメ系と呼ばれるジャンルの映画で、近年だと例えば「ピクセル」「レディプレイヤーワン」などを観たけれど、奥行きだとか琴線に触れるだとかそんなものはなかったかもしれない。それでも心が揺れる瞬間はあったし、言葉でしっかり表そうとすると、意外とその感想は深くなる。
でも、そもそも深くなくたって良いじゃないか。「楽しかった!」だけでも良いのではとも思う。「あの場面のあそこが好きだから、もうそれだけで好き!」でも良い。
映画って、観る人それぞれの楽しみ方がある。
人それぞれ、好きな映画のジャンルって違うものだろうし、自分の好みじゃなかったとして、わざわざ「面白くなかった」と、批評でもないのなら伝える必要ってあるのだろうか。
映画は楽しければ良い、で良いのか? 良いのだ!
映画に何を求めているかなんて、人それぞれ違うし、映画によっても違う。今日はこんな気分だから、で良いではないか。
映画好きな友人は何人かいるけど、かぶらないジャンルが多い。
たくさん観る友人の一人は、私の観る映画も観るし、それ以上に芸術性の強いものやドラマチックなもの、ラブロマンスが好きだったり、ホラーが好きだったりする。観る映画が同じ時でも持つ感想も全然違う。
夫と私の好みはだいぶ似ているけど、当然完全には一致していない。夫は、アクションの中で怖いものでも平気だから、血がいっぱい見えても、殺し殺される残酷なシーンがあっても、ホラーでなければ平気だ。ホラーも平気だろうけどあまり好みではなさそうだ。MCUに関しては、夫の影響を私が受けて、私の「好き」が超えてしまったようだけど。あと、「最も」好きな映画はそれぞれ違う。「けっこう好み」がすごく似ているので、そこは助かっている。
観た後に、お互いの感想を言い合うのも面白い。
映画好きなら観ている方も多いであろう「ニューシネマパラダイス」。あの中の観客たちの表情が物語っている。泣いたり笑ったりドキドキしたり。
映画を面白く観れるかどうかって、その人の感性なのではないだろうか。
怖くてどうしても苦手でもない限り、自分で枠を作っちゃったり、喰わず嫌いだったりはもったいない。世界を広げたいから私は色々観たいし、観たからには面白がりたい。残念ながらどうしても好きになれないものもあるかもしれない。それでも、それを楽しんでいる人たちがいるのならと想像し、否定したくない。イマイチ良さがわからなかった時、自分にはわかる度量が足りなかったのだ、コマッタもんだ! と言って笑い飛ばすようにしている。決してつまらなかったなんて言って回りたくない。
きっと映画だけでなく、私が楽しみ切れていない本や漫画、ドラマ、音楽、あらゆるものが面白いと感じられる方がきっと人生が楽しい。そしてそう言える人たちの方が、人生を楽しんでいるように見える。