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試着して服を買うのが久しぶり

 夏休みをまとめて取れなかった夫が、先日平日に休みを取ってくれて、「がまくんとかえるくん」のアーノルド・ローベル展に行けた。

※胸を打たれました。すごく良かったので、読んでいない方は是非!

 場所は福島県いわき市で、せっかくだからと、もう少しいわきで過ごすことになった。

 いわきと言えば、スパリゾートハワイアンズとか温泉街とか。アクアマリンふくしま(水族館)もあって、4年前にはテオヤンセン展を見に行った。

 その後、モールができて、今回初めて時間をかけて行ってみた。

 じっくりと大型ショッピングモールを歩くなんて、3年ぶりくらいだ。


 一つのワンピースに心奪われた。
 デニムのような青色で、袖が全体的に膨らんだ長袖。胴回りはタイトめだけど、上には白くて丈の短い厚めのベストが脱ぎ着できるようにかぶせてある。

 ベストがまた少し流行っているようだけど、このワンピースの色に、こんな形のベストはまだあまり見ないなあ。

 着れたら(サイズ的に入ったら)それで良いくらい気に入った。

 試着室に入り、さっさと着替えようとする。

 ところがそれまで着ていた夏物のワンピース、着たのがまだ三度目。
 チャックもボタンもないニット素材だから伸びるものの、急がなくちゃと思うと、とっさにどうやって脱ぐかわからなくなった。

 あれっ。これどうやって脱ぐんだっけ。
 上から下におろすようにして? いやいやチャックがない。着る時どうしたっけ。上からかぶるように着たのか。
 じゃあ襟の辺りから上に引っ張れば良い? 
 それともノースリーブだけど袖ぐりから腕を抜く?

 裾からガバーと大胆に持ち上げてみる。

 「……。」

 なんか間違っている気がする。

 そして五十肩だから腕が上がりきらない。
 中途半端に上げてみたものの、ウエストのゴムがかなり強く絞ってあってそこが抜けない。
 今度は袖ぐりを少し広げて手を抜こうとする。ああゴムが広がりすぎないと良いな。そっとそして素早く片腕を抜いて、もう一度裾からガバーと持ち上げてみる。ウエストの絞ってある部分をもうぐいぐい広げちゃう。

 こんなに難しいんだっけ! もがきながら脱いでから、ようやく試着したいワンピースを着ようとする。

 ワンピースの上半身のボタンを開けても、少し狭くて下から履くように着るには腰が通らない。
 横にチャックもやっぱりない。
 やっぱりこれも上からかぶるようにか。
 
 と、かぶって片腕を先に通して遠山の金さんの状態になり、次にもう片方と思ったら、そのやり方ではもう片腕が入らない。
 せまい! 破れそう!!
 袖を通しきらないうちに脱いで、両方の腕をほとんど同時に通す。

 ところが袖口の伸び縮みのない素材でボタンもなく、手首から先が抜けにくい。指を伸ばしたまま精いっぱい集めて手をすぼめ、何とか通った!

 鏡を見る。

 前後ろが逆だった。

 また脱がねば。

 慌てるけど、今度もまた手間取る。

 とにかく困った時は、裾をガバーと持ち上げてみるけど、やっぱりまた五十肩が痛い。

 こんな脱ぎ方じゃない気がする。

 いや正しいも間違いもあるものか。誰も見てない。

 一部、裏表逆になったのを戻し、再び袖を通す。

 あうぅ。手首から先がまた痛い。手をすぼめ……さっきもやったよこれ。

 そしてベストもようやく着た。

 鏡を見る。

 あれ?
 なんか肩がごっつい! 太めの毛糸でできていて編み方のせいもあるのだろう。五十肩で筋肉が落ちたのに、肩が張っている。太ったのもあって、上半身のごつさが目立つ。白いベストと膨らんだ袖が、ビバンダム感をかもしだしている。
 「なんか肩がごっつい! 私、大きく見えませんか?」
 外に出て言ったら、店員さんも夫も返事に困っている。二人ともゴニョゴニョ言って否定してくれないぞ。せっかく二人が言葉を濁してくれているのだから「ビバンダム」の言葉をグッと飲み込む。

 ここで「私が大きく見えるからイヤだ」とやめることもできたけど、このデザインがすでに気に入っていたのだ。どう見えようと、入れば良いと思っていたものだから、「この上にジャケット着たらよくわからないよね!」と笑い飛ばした。

 ジャケットを脱ぐ状況になったらどうするんだろう。脱いだらスゴいんです。とばかりに大きな私が表れるぞ。
 とかめっちゃ思いつつ購入。

 ああ。買っちゃった!

 ここ何年も通販でひっそり買っていたことが多かったので、こういう買い物の仕方は久しぶりでウキウキする。
 大きく見えたってかまうものか。

 少し遅いお昼は客も少ない中、海の見える場所で食事ができたのがとても気持ち良かった。こういう風景をのんびり見ながらの外食も久しぶり。楽しかったなあ。


読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。