子供時代の夫が目に浮かぶ
恐竜のチョコ「キャラパキ」のCMを見て、夫がうめく。
何度目だろう。
「僕が子供だったら絶対、親にねだっただろうなあ。買って買って~って」
そして何度聞いても私も、へえってニヤニヤしてしまう。
「何で? ほかのチョコじゃなくてこれ?」と聞いたら、「だって割ったら恐竜の形になるんだよ。面白いじゃない」と、答えになっているのかなっていないのかわからないような返事。
子供の頃の夫を、自分の息子だったらと思うと、抱きしめてやりたいくらい胸が痛むエピソードは、山のようにある。
それでも夫は、良い先生方に出会い、ラジオでかかった音楽に助けられ、漫画で学び、本で家族観について考えさせられ、両親から離れて、息子と楽しく、そして誠意を持って温かく接する努力をしてきた。
そしてなんだかんだ、両親との思い出だってある。どんなふうに甘えていたかも記憶にあるのだろう。
夫は両親に不満もあっただろうけど、そうやってお菓子をねだった記憶があるんだ。可愛いな。
最近コンビニで、「鬼滅の刃」缶に入ったミルキーを売っている。表のフタにキャラクターが一人ひとり描かれているので、コレクション欲をそそられる。
でもそんなにミルキー食べないよ。甘いし。と思うのだけど、夫はちょこちょこ買ってくる。「今日は煉獄さんがあったよ!」とか言いながら。夫は煉獄さんファンなのだ。
私がカナヲちゃん好きなのを知っているので、見つけて買ってきてくれた。(伊黒さんのはこの商品では出ていない)
「ねーこの黄色いのさ、ピンクのよりおいしいヤツ。って子供の頃、思って食べてたんダ」とか言う。同じ味なのに。
なにそれ。
笑いながら私も缶を手に取り開ける。
フタを開けてピンクの包み紙ばかりだと、「ああ残念だったね。もう黄色いのは食べちゃったもんね。ピンクのしかないね」とか言う!
恐竜のチョコ「キャラパキ」だって、今や見つけたらさっさと自分で買える。
「ほら。ここの尻尾のところ、折らないように割りたいじゃない?」と覗き込む夫。
50いくつのオッサンの顔と、子供時代の顔が、一瞬オーバーラップした。
可愛い子供だったんだろうな。