[ライブレポート]【しんゆりジャズスクエア vol.66】~西川がジミー・スミスを奏でる~ハモンドオルガンの魅力
西川直人(org)、村田 千紘 (tp)、加納 奈実 (sax)、田辺充邦 (g)、利光玲奈 (ds & Vo)、が出演する、かわさきジャズ 2024のラインナップ公演【しんゆりジャズスクエア vol.66 ハモンドオルガンのファンキーなサウンドをしんゆりで】が今年も11月8日、川崎市アートセンター 小劇場にて開催された。
今年は、かわさきジャズの10周年、川崎市も市制100周年と記念の節目となる。そんなメモリアルな公演は、やはりとても素晴らしいライブだった。ライブ後も公演の模様が頭に映し出される素晴らしい一夜を改めて振り返ってみたいと思う。
開演前から会場はジャズ愛に溢れたオーディエンスで今回の公演を心待ちにしている様子が伝わってきた。私もそのひとりである。19時になり、温かい拍手とともに一曲目に聴こえてきたのはパトリック・ギルモアによるアメリカの民謡または行進曲「When Johnny Comes Marching Home」。曲のタイトル通り、今から凱旋する・行進していくような利光のドラムのリズムが印象的である。一度聴いたら頭の中がループするオーディエンスもいたのではないかと思うほど、軽快な曲調であった。バックに映し出される青空のようなカラーの照明とともに西川のハモンドオルガンと田辺のギターが心地良いサウンドを奏でる。
大きな拍手の中、田辺が「こんばんは!しんゆりジャズスクエア vol.66 オルガンナイトへようこそ!」と、西川と利光の紹介とともに田辺自身も挨拶をする。そして、西川が「今日は、ジミー・スミスの雰囲気が良く出る曲を集めてお送りします。」と一曲目の解説とともにジミー・スミスの独特な奏法について教えてくれた。
続いて二曲目は、ジャズの歌ものの曲「Makin’ Whoopee」を西川の「ワン、ツ~」とカウントから始まっていく。オレンジの照明とマッチするかのように明るいサウンドが会場を包み込んでくれる。それぞれのソロパートも最高で聴き入ってしまう伸びやかなサウンドの中、三人が笑顔で演奏している姿がこちらまで楽しい気持ちにさせてくれる。
演奏後、西川がハモンドオルガンとレスリースピーカーについて解説し、ここでゲストの村田と加納を紹介する。そして、ジミー・スミス「Off the Top」へ続いていく。エメラルドグリーンのような照明に照らされ、村田のトランペットと加納のアルトサックスが力強く、しなやかなサウンドがハモンドオルガンやギター、ドラムに溶け込む。思わずオーディエンスもリズムを取っていたり、楽しんで聴いていたりする様子が周りを見渡すと伝わってくるのだ。
再びオーディエンスの温かい拍手の後、西川は「5人編成なので豊かな曲になりましたね!」と、次の曲紹介へ移っていく。スタンダードナンバーの「Flamingo」は、加納のアルトサックスのムーディーなサウンドが青紫のバックの照明とともに合っていて、日頃の疲れを忘れさせてくれるような癒しのひとときであった。
ファーストステージ最後の曲は、西川がよく頼まれるというラロ・シフリン作曲「The Cat」。西川の「ワン、ツ~」のカウントから始まり、田辺が「しんゆりジャズスクエア始まって以来の最もファンキーな曲!」と言っていた通り、私も見てきた中でファンキー尚且つ、思わず体でリズムを取りたくなるような明るいサウンドであった。演奏中、5人が笑顔だったのも印象的であった。演奏後、西川が改めてメンバー紹介し、オーディエンスの盛大な拍手に包まれ、ファーストステージの幕が閉じた。
セカンドステージは、ジミー・スミス好きには欠かせない軽やかな曲調のスタンダードナンバー「A Subtle One」。西川がハモンドオルガンを弾きながら、右足のペダルとともに左足でリズムを刻んでいるのも見入ってしまう素晴らしい技術であった。
続いて、加納、村田、利光が挨拶し、アルバムなどのCDを紹介していく。もちろん、MCは巧みな話術の田辺が会場全体を盛り上げていくのであった。そして、ジミー・スミスの「Mellow Mood」へ続いていく。
その後、MCを挟みつつ、スタンダードのバラードナンバー「What’s New」を聴かせてくれる。利光のドラムブラシと田辺のギターの高音が印象的で、ゆったりとしたリズムは、まるで沈む夕日を眺めながら海辺を歩いているような感覚になった。
演奏後、バラードの曲の演奏の際、西川のソロパートの天才的な奏法について、田辺からの質問に西川自身が答えるという一幕も。最後の曲はファーストステージの曲よりもファンキーな楽曲、ジミー・スミスのアルバムタイトルにもなっている「Root Dowm」を披露する。盛大な拍手に包まれ、アンコールはジミー・スミスらしくブルースで、ジミー・スミスとウェス・モンゴメリーの曲「James & Wes」で締めくくる。「どうもありがとうございました!」と、田辺がメンバー紹介し、次回の「しんゆりジャズスクエア」公演を紹介しつつ温かいオーディエンスの拍手とともに幕が閉じた。
今回、ジミー・スミスとハモンドオルガンの楽曲にフィーチャーということで、ファンキーな部分ももちろん、バラードナンバーなどジャズの多彩な曲も聴けて、終始楽しく素敵なひとときであった。そして、記念すべき10周年のかわさきジャズに、今年も関われて感謝の気持ちでいっぱいである。これからも、ジャズがたくさんの方達にとって、希望の架け橋になることを願って。
Text:Chisato(かわさきジャズ公認レポーター)
●公演情報
しんゆりジャズスクエア vol.66
ハモンドオルガンのファンキーなサウンドをしんゆりで
日時:2024 年 11 月 8 日(金)19:00 開演
会場:川崎市アートセンター 小劇場
出演:西川直人(org)、田辺充邦(g)、村田千紘(tp)、加納奈実(sax)、利光玲奈(drs)
●SETLIST
<1 部>
1. When Johnny Comes Marching Home
2. Makin' Whoopee
3. Off the Top
4. Flamingo
5. The Cat
<2 部>
1. A Subtle One
2. Mellow Mood
3. What's New
4. Root Down
<アンコール>
James & Wes