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京浜工場地帯の歴史を眺めながら心地よい風に吹かれて船上で楽しむジャズクルーズ

日本最大の工業地域である京浜工業地帯の中核として発展してきた川崎市。その歴史は古く、明治時代に実業家の浅野総一郎が欧米視察を経て東京から横浜までの臨海部の埋立築港事業を構想し、渋澤栄一、安田善次郎らを巻き込んで鶴見埋立組合を設立、大正2年より埋立を行い、これらの湾岸に輸出入を行う大企業が次々と進出したことで京浜工業地帯の中核が出来ていきました。
昭和30年代以降に形成されてきた京浜臨海部のコンビナートは石油、鉄鋼、セメント、化学、電力、ガスといった多様な産業がフルセットで立地しており、近年は産業構造の転換や生産拠点の集約などによる工場移転などが進むものの、令和のいまでも日本有数のスケールを誇る圧巻の景観を眺めることができます。昭和40年代は公害に苦しんだエリアでもありますが、川崎市は国に先行して公害防止条例の制定を行うなど課題に先進的に取り組み、深刻な公害問題を克服した公害防止技術や環境技術を蓄積し、環境と産業の調和を目指す環境先進都市の姿に変貌しています。

というわけで、いまやクリーンになった川崎港は「工場夜景」を観光資源として産業観光に乗り出します。2011年に全国初となる「第1回全国工場夜景サミット」を開催し、現在は四日市や北九州など13の都市が加盟しています。かわさきジャズでは、2018年より川崎市観光協会とタッグを組んで「ジャズクルーズ」をスタート、工場夜景をバックにジャズも楽しんでもらう船上ツアーを作りました。

約2時間のツアーでは、船で埋立地の間に走る運河を走りながら、両側に並びたつ工場の風景や、フレアスタック(余剰ガスを無害化するために焼却する際に出る炎。思っているより激しいです)を眺めながら、ジャズのライブをお楽しみいただきます。ツアーは16時出航のサンセットクルーズと、18時30分出航のナイトクルーズがあります。
「工場夜景」という言葉が有名になってしまったため、ナイトクルーズのほうが人気がありますが、かわジャズスタッフのおすすめはサンセット! まだ明るい出航時には工場の造形がはっきりと見え、日没にかけて夕闇に包まれ、帰りには夜景も見られるという、一回で二度おいしいツアーだからです!

2023年9月30日に行った「かわさきジャズ ファクトリークルーズ」(演奏:文梨衛)の様子をご覧いただきます。(撮影:Taku Watanabe)

サンセットクルーズ出航直後。この日はまぶしいくらいの太陽が照り付けていました。
時間とともに日が暮れていきます。工場バックに聞くジャズライブ、ムード満点です。
港に近づくころにはすっかり暗くなりました

とはいえ、やはりきらめく夜景の美しさを味わいたい!というみなさんも多いと思います。
同じ風景でも、午後と夜ではこんなに見え方が違います。

どちらも魅力がありますよね✨
サンセットの時間帯はタンカーなどの航行もあり、活動している工業地帯を感じることができます(その分少しだけ揺れますが💦)
夜景は無機質な光が織りなす近未来感が魅力です。きらめく光が穏やかな水面に反射するのもきれいです。ただ、絶景の一枚を収めるには、それなりのカメラと技術が必要かも📸

遮るもののない運河の上に響き渡るサックスがまた最高なのです

このツアーには1ドリンク(アルコール含む)がついてきます。2杯目からは有料になりますが、川崎工場夜景をイメージして作った東海道BEERのオリジナルコーヒースタウト「黒に浮かぶ」も飲むことができます(¥700)。また、軽食の持ち込みは可能。ぜひドリンク片手に、心地よい風に吹かれながら工場夜景と音楽をお楽しみください。
次回ツアーは10月28日。詳しくはホームページにて。