なぜオウンドメディア運営に失敗する企業が多いのか?
さくらインターネットのオウンドメディア「さくマガ」で編集長をしている川崎(@h_kawasaki0123)です。
あ、忘れないうちにタイトルの結論を先に書いておきます。
・目的を見失う
・上司との期待値がずれている
・成果が出なくて諦める
オウンドメディアの編集長になってから、オウンドメディアを運営している中の人とたくさん話をしてきました。ほとんどの人が「PV(ページビュー)が全然伸びない」「成果が上がらない」と言います。そんなときに、聞くことがあります。
「オウンドメディアを運営する目的はなんですか?」
なぜオウンドメディアを運営するのか?
当然、目的があってオウンドメディアを運営しているはずです。でも運営をしているうちに、その目的がずれて迷走してしまうことがあります。目的が変わるのはよくありますし、別に悪くはありません。あくまで目的は変わっていないのに、記事が目的に合っていないケースです。
たとえばこんな感じです。
・採用目的でオウンドメディアを立ち上げたのに、商品についての記事ばかり
まあ多少は、商品に興味を持って会社に入ってくれる方もいるでしょうけど、遠回りになってしまいます。そもそも、商品についての宣伝ばかりの記事を読みたいでしょうか?
・自社のことを知らない層に向けた認知度拡大のためにオウンドメディアを立ち上げたのに、社員インタビュー記事ばかり
トヨタやメルカリのような、もともと認知度の高い企業がオウンドメディアで社員インタビューをすれば、多くの方が興味を持つと思います。ただあなたは、まったく知らない企業の社員インタビューを読みたいでしょうか?
目的に合った内容をしっかり考えることに加え、その先にいる読者の存在を忘れないでほしいです。人の時間は有限です。可処分時間には限りがあります。YouTubeやTwitter、NetflixにTikTok。テレビや漫画、ゲームもある中で、興味のない記事を読む時間はありません。
興味のない商品についての記事は読みたくないし、知らない企業の社員インタビューを読もうとは思わないわけです。
とはいえオウンドメディアなので、もちろん自社のことを伝えたいのはよくわかります。ただ、読者は本当に興味のあることなのかを考えてほしいです。
自社の伝えたいこと ✕ 読者の興味があること
この組み合わせで記事企画を考えれば、自社にとっても読者にとってもよい記事ができあがるはず…!
ちょっと事例を挙げていきます。
商品をアピールしたい場合の事例
私が編集長をしているオウンドメディアの記事なので、めちゃくちゃ宣伝になりますが紹介させてください。
この記事の目的は『Image Flux』という画像変換・配信サービスのアピールです。サービスを使ってどのようなことができるか、ストーリー仕立てで紹介しています。
自社の伝えたいこと(サービスの紹介)✕読者の興味があること(サービスで何ができるかを具体的にストーリーで)
この記事を公開したところ、資料請求の数が爆上がりして数字にも反映されています。
会社の認知度拡大の事例
「ホームセンターを遊び倒すメディア」をコンセプトに運営している「となりのカインズさん」。オウンドメディアとしては異例のPV数で注目されています。名前の通り「株式会社カインズ」のオウンドメディアです。著名人のインタビュー記事やカインズ商品を使ってクソキッチンを退治したりしています。
自社の伝えたいこと(カインズやホームセンターの紹介)✕読者の興味があること(著名人や面白い企画)
規模の小さいオウンドメディアでは著名人のインタビューは難しいと思われがちですが、そんなことありません。普通に事務所のお問合せフォームから連絡すれば、企画が面白くて親和性があれば受けてくれるケースもあります。
企画の考え方
先日、ロケットニュース24編集長のGO羽鳥さんとお話しする機会がありました。
ロケットニュース24は月間PV数が5000万を超えている、ニュースサイトの先駆け的な存在です。そんなGO羽鳥さんに企画の考え方を聞いたところ、
・生活になるべく近いもの
・逆を考える
・自分たちが楽しむ
と答えてくれました。「自分たちが楽しむ」ってめっちゃいいアドバイスだと思うんです。やはり自分たちが楽しんでいるかは、読者にも伝わるのではないでしょうか。
上司と期待値のすり合わせ
オウンドメディアを立ち上げる際に、最低でも直属の上司とは期待値をすり合わせておきましょう。
上司はPV数を目標に設定しているのに、自分はリード獲得数を目標に設定。リード獲得数は目標達成したけど、PV数は未達だとします。そうすると上司の立場では、あまり良い評価ができないでしょう。むしろ「ちゃんと仕事しろや」とお叱りを受ける可能性もあります。間違いなく人事考課のときに揉めますよね?
そうなると、やる気がなくなり「オウンドメディア運営やめっかー」となります。
期待値については弊社代表が記事を書いているので、ぜひご覧ください。
継続は力なり
オウンドメディア運営に失敗している企業に共通する点で気づいたのは、いつの間にか記事の更新が止まってしまっていることです。
「成果が出ない⇒やる気がなくなる⇒更新しなくなる⇒オウンドメディア終了」
まさに負のループです。そもそもオウンドメディアは成果がすぐに出るものではありません。株式会社WACULの調査では、成果が出るまで1年近くかかっています。
最初の時点で長期的に続けていく前提で、オウンドメディアを立ち上げる必要があります。そのためにはしっかりと継続できる体制を作り、上司へ事前に説明をして期待値を合わせておきましょう。説明しておかないと、立ち上げてから半年後くらいに「成果は?」と聞かれて、怒られることになります!
定期的に更新しましょう
これも株式会社WACULの調査から。
記事本数も大事です。グラフを見ると、100記事がひとつの目安になると思います。さらに500、1000と本数が増えるほどに数字も良くなっているのがわかります。
月に20本記事を公開すれば、5か月で100本、約2年で500本です。立ち上げ時点で、月の公開本数をひとつの目標にするのもひとつの手段だと思います。
あと単純に記事本数が増えると、自分たちの経験値も上がります。どんな記事が読まれて、どんな記事が成果につながるのかが、少しずつ見えてくるはずです。
ほかのオウンドメディアやニュースサイトの記事を読むようになると思うので、インプット量も増えます。なので記事本数を増やすのは、成果面でも成長面でもプラスです。ぜひ、定期更新を継続してください。
まとめ
偉そうにいろいろと書きましたが、私自身勉強中です。セミナーや勉強会にもよく参加していますし、宣伝会議の編集・ライター養成講座にも通っています。いまは変化の時代なので、つねに勉強をしていないと取り残されてしまいます。
最後に宣伝です!今月オウンドメディアについて語るイベントに登壇するので、ご都合の合う方はぜひご参加ください。
運営しているオウンドメディアはこちら