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サービスづくりの基本姿勢、「対話」で思考や認識の枠を取り払おう

最近、「対話が大事」っていう字面やコメントを、サービスデザイナーやデザイン思考系の方々から以前より一層よく聞くようになった。先日、ちょっとした身内の雑談で「対話」をテーマに、色々話が上がったのだが、その中でとてもとても素朴な疑問が出てきた。

「打ち合わせと対話の違いがわからないけど、どう違うの?」

かなりぐさっとくる質問・・・なるほど。

言われてみればきちんと整理してみたことはなかった。

対話というのはインタビューやワークショップを充実したものにするためにはもちろんのこと、「サービスづくり」や「新しいことに挑戦をする現場」には欠かせない事だ。

そこで、この質問を機会に自分なりに「打ち合わせ」と「対話」の違いを改めて整理してみた。

対話を飛ばした打ち合わせのイメージ

まず、当たり前のことではあるが「打ち合わせ」は何かを決めるために行う。仕事は大抵何かの問題解決(ないし課題の解決)であるが、「対話」を飛ばして進めてしまうと、ユーザーに対しての理解、あるいは関係者同士が互いの理解を深めずに進めると狭い「思考の枠」の中でしか問題(課題)の解決をすることができない。

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そうすると、基本的には違いが自分の意見を主張する「議論」になる。そうすると、大抵個人間の主張から間をとった「ありきたりな落とし所」になることが多く、チームメンバーの納得感や目線が揃わない危険もある。

サービスデザインにおける対話は「狭い思考の枠」を解消するための手段で、よりダイナミックな解決策を生み出すために、それぞれが持つ価値観や思考を今ある場所から解き放つことが目的だ。

対話のイメージ

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自分の主張を通すことが目的ではなく、互いの発言に「応答」することに集中する。その中では誰か一人が発言し続けたり、黙り続けたりはしない。ロジックではなく、個々人の持つ記憶や感情、バックグラウンドと向き合う。

それを繰り返すことで、自分が対象に感じていた意味や解釈に変化が生まれる。そして自分以外の人の思考と混ざり合い変容しながら、新しい認識を生むことができる。

コツとしては「応答」が重要なため、焦らずゆったりとしたテンポで進めること。

対話の後の打ち合わせのイメージ

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そうした対話の後には、主張をぶつけ合う打ち合わせではなく、みんなで認識を共有しながらゴールに向かうことができるようになる。

「何故、この人はそんなことを言うのか」を以前より理解できるはずだし、自分ごととして捉えられるようになる。自然と否定や強引な主張を通すようなシチュエーションは減る。

その結果、心理的安全性が高まり発言もしやすくなり、穏やかで充実した議論ができる。そして「問題やユーザーに対する新しい理解」を内応している、対話以前にはたどり着けなかった結論にたどり着くことができる。しかも、メンバー一人一人が納得感を得られ、目線も限りなく揃えることができる。

相互理解の先にある思考の拡張が対話の目的

もし対話の目的を「相互理解」に留めてしまうと「普段の会話や議論との違い」がはっきりしなかったり、抽象度が高いままで終わって仕事の現場で使いこなせなくなってしまうかもしれない。「相互理解」はあくまで過程であり、大切なのはそれで「思考を拡げること」なのだ。



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