ksd6700がイランのアンダーグラウンドな音楽レーベルSampaticからEPをリリース
東京を拠点に海外のレーベルから精力的にリリースを重ねる音楽プロデューサーksd6700。彼の最新作Rockin' Muzik EPが、2022年10月28日、テヘランのアンダーグラウンドな音楽シーンを牽引するSampatic Recordsからリリースされた。
育ちの良さを感じさせるガチッとしたリズム隊がグルーヴを率いるシカゴハウスから、大ネタを上品に叩きまくるアシッドハウスまで、全楽曲のどれもれもこれもがフロアをさらなる高みへと導くキラーチューンに仕上がっている。
イランの首都テヘランで巻き起こるアンダーグラウンドな音楽シーン
2022年9月、ヒジャブの着用をめぐって風紀警察に拘束された22歳の女性が死亡したことを発端とした激しい抗議デモが現在も続くイラン。日本ではなかなか知られて居ないであろうテヘランのアンダーグラウンドな音楽シーンについて、Sampatic RecordsのレーベルオーナーKamyar Ringに、話を聞いた。(聞き手:O)
──ksd6700とは、どのように知り合ったんでしょうか?
Kamyar Ring(以下、Ring):彼のレーベルOmanticRecordsを見つけて、リリースしてもらえないか、デモ音源を送ってみたんだ。
ksd6700: 2018年のことだったかな?突然、テヘランからデモ音源が送られてきてびっくりしたよ。ドープな音の中に繊細な旋律がある。これが、テヘランエレクトロかと感激したのを覚えているよ。とても良い曲だったのでシングル"A.T.D / echocid" [OmanticRecords, 2018]をring名義でリリースしたよね。その後、僕のレーベルよりもdatafruitsの方がグローバルにリーチできると思って、datafruits.fmのfiredrillに紹介したんだ。この前もアルバムがリリースされてたね。”BACKSTABBERS” [datafruits, 2022]。僕もRemixerで参加してる。
──テヘランのアンダーグラウンド音楽シーンについて教えてください。
Ring: あえて簡潔に表現するならば、本物のアンダーグラウンドなスピリッツを感じることができると言うことだ。なぜなら、表立って音楽活動をすれば、犯罪とみなされる厳しい環境の中に我々ミュージシャンは置かれているからだ。
──イランで起きているデモは、日本でもニュースで毎日報じられています。Ringさんも参加されている電子音楽のプラットフォームDeep House Tehranのインスタアカウントに掲載されている動画もいくつか拝見しました。これは、イランの人々のためだけでなく、人類のための戦いだと思います。
Ring:そうだね。その通りだ。
──ksd670の新作"Rockin' Muzik EP"についてひとことお願いします。
Ring:ksd6700の持つ音楽性が如実に表現された、アシッドハウスだね。ダンスフロアキラーなEPに仕上がっているよ。
ksd6700:ありがとう。
──ところで、レーベル名の"Sampatic"とはどう言う意味でしょうか?
ksd6700:そうそう、それを聞きたかったんだ。
Ring:"Sampatic"はSympathetic nervous system(SNS, 交感神経)にインスパイアされて作った造語だ。交感神経は、ストレスや危険な状況に置かれた時や、活発に動いている時に活性化する「闘争・逃走」反応を助ける神経のネットワークなんだ。
──ksd6700さんにお聞きします。Sampatic Recordsでおすすめのアーティストを教えてください。
ksd6700:Nesa Azadikhahが好きだな。世代的に近い様に思うよ。とてもかっこいいトラックを作る人だよ。さっき紹介したRingの”BACKSTABBERS”にもリミックスが収録されているよ。
──Ringさんは、現在はトルコ・イスタンブールを主な拠点として活動されているようですね。
Ring:そうなんだよ。最近引っ越したんだ。
ksd6700:スタジオメチャクチャ広いよね。遊びに行きたいな!
Ring:是非、来てよ!
──ksd6700さんは、年末に向けてリリースが続くとのことですが、今後の予定は?
ksd6700:すぐに次のEPが出ます!コンピにも参加してるし、リミックスしたのも出る。あと、久しぶりにオフラインなリアルイベントへのDJ出演が決まっているよ。新曲をじゃんじゃん回そうと思ってるんだ。楽しみだね。
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