紅葉の黄色は引き算、赤色は引き算と足し算
北海道はそろそろ紅葉のシーズンを迎えつつある。木の葉が色づく、なんて言うが、実際のところ、単純に新しい色が追加されるわけではない。
緑色の葉っぱの中にはカロテノイドという黄色い色素が入っている。しかし、普段は緑色の色素、クロロフィルが多量に含まれるために緑色に見える。寒くなって光合成に使っていた緑色の色素クロロフィルが無くなると黄色の色素が残るため、葉っぱは黄色くなる。黄色の紅葉の色は引き算である。
赤色の色素はアントシアニンという。緑の葉っぱが光合成に使っていたクロロフィルを分解してしまうと、葉っぱは黄色くなる。アントシアニンという新たな赤い色素が合成されることで葉っぱは赤くなる。赤い紅葉の色は引き算と足し算である。
では白い葉っぱは?園芸品種の植物で部分的に葉っぱが白くなるものがいるが、白い色素があるわけではない。無色透明な、水と同じように色のない細胞壁がいくつも連なることで光がみだれて反射するので白く見える。流れ落ちる滝の水しぶきは白いが、水そのものに色が付いているわけではないのと同じである。
そもそも、色が見えること自体、引き算である。どういうことかというと、例えば赤いものは、赤以外の光を反射しないので赤く見える。赤以外の引き算だ。白は全ての色を反射する。引き算無し。黒いものは全ての光を反射しないので黒く見える。全ての色を引き算している。
白い光のところがよくわからなかったかもしれない。光は、絵具のように混ぜることはできない。絵具が色を混ぜれば混ぜるほど暗くなるのに対して光は色を混ぜるほどに明るくなっていく。つまり、全ての色の光を足すと白である。
透明、という色があるかわからないが、透明なものは全ての光を通す。しかし、ガラスなどを見ても分かるように、光の入る角度によっては光を反射して白く見えることがある。
銀色は全ての光を、入ってきたとおりに反射する。白との違いは反射する角度だ。白はめちゃくちゃな方向に光を反射しているが銀色は光の入射角と反射角が平面にそろっている。鏡に綺麗にうつるのは平らで光を反射する方向が一定だからだ。鏡を割って粉々にしていけばやがては白く見えるだろう。光の乱反射という。
金色は銀色と近いけれど、光を反射する角度が鏡のように一定だけど黄色い光を反射する量が若干多いので黄金色である。金を粉々にするとただの黄色い粉になる。叩いて薄く伸ばすと再び金色になる。
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