卵はなぜ爆発するのか~高齢者と電化製品~
世の中が便利になるにつれ、その便利さと引き換えに思わぬ危険が舞い込む。
詳しく知りたい方は、東京都生活文化局消費生活部による「電子レンジの安全な使用に関する 調査報告書」が参考になる。
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/test/documents/densirange_cms_houkokusho.pdf
さて、私自身、電子レンジの誤った使い方によるヒヤリハットを何度か経験している。その中でもパック入りのレトルトカレーは最も身が凍った。カレーを温めようとして口を少しだけ切ったパックを入れてスタートしたところ、パックの切り口から凄まじい火花がほとばしって、焦げ臭い嫌な匂いと共に、ジジジ!ブブブ!という音が響き始めたのですぐに止めた。プラズマ兵器さながら、パックの口は焼き切れていた。この手のパックはビニールだけではない。内側にはアルミホイルが入っているので火花が散るのである。
もうひとつは卵だ。最悪の場合、電子レンジが爆発してドアが吹き飛ぶこともある危険な行為。さすがに卵を入れちゃいけないのは知っていた。そこで、切れ込みを入れて蒸気が逃げるようにすればさすがに爆発しないだろうと思い、割って黄身が見える状態にしたゆで卵を加熱した。ところが、これも見事に爆発した。ドアは吹き飛びはしなかったが、どうやら弾力のあるものは全て爆発するらしい。ソーセージも魚卵も、全て爆発する。ぎょらん下さい。このように電子レンジは危険です!
卵もソーセージも、たんぱく質という素晴らしく伸び縮みする素材でできている。しかも加熱することにより水蒸気が発生して気泡ができる。そしてその気泡はあちこちにでき、膨張して逃げ場を求める。それゆえに、殻をむこうが、半分に切ろうが、卵は必ず水蒸気爆発する。
図:食品にはそれぞれ丈夫さがあり、膨らむスピードに対して、逃げていく水蒸気が追い付かなくなると爆発しやすい。密閉したり急激な加熱は危険。
対策としてはそもそも、弾力や粘りけのある食品を加熱しないことである。しかし、1つ方法があって、水の力を借りることだ。
完全に浸かるくらいの水の中に入れた状態なら、ソーセージや加熱済みのゆで卵などは被害を出さずにきれいに加熱できる。
水圧はあまり関係ない。膨張はするし、やっぱり弾けるのだが水のお陰で食品の破片や汁が飛び散らずに済むだけ、という。1からゆで卵を作ろうとすればやはり大惨事を引き起こすだろう。「ゆっくり加熱すれば」とかおっしゃる方もおられるかも知れないが、いついかなる時も気をつけながら電子レンジの調理ができる自信は私には無い。人はぼうっとしている時、疲れているときなどは思わぬ行動をとってしまいがちだ。それに加え高齢者の場合、電子レンジのメーカーが少し変わっただけで使い方がわからなくなってしまう人も多いと聞く。新しいことを覚えたりするのは、例え電子レンジのようなシンプルな家電においても苦手なのだろう。
電子レンジの使い方はしっかり守ろう、他人に使わせる際は注意を守れるかを確認してからにする方が良い、という話でした。
最後までありがとうございます。
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