夜8時以降の酒類提供禁止

酒が飲みたくなった。夜10時を回ったころ、深夜まで開いている近所の大手スーパーに買いに行った。酒コーナーには酒がびっしりと並んでいた。お菓子と酒を買い、外に出た。夜風が冷たい。灯りのついていない個人営業の居酒屋の側を何軒か通りすぎた。秋の枯れた草なんかが、街灯に照らされて死人の手のようにほの白く光っている。家の近くには二軒のコンビニには煌々と灯りがついて、道路を挟んで睨みをきかせている。玄関の扉をあけると、間髪いれずにグラスにビールを注いだ。乱暴だったので泡が洗剤のように溢れ出た。口のまわりが濡れても構わず晩酌は続く。外の車の音がしなくなって、気がついたら日付が変わっていた。泡が並々入っていたグラスの底に、ショウジョウバエがおこぼれを探して歩き回っている。服を脱いで、ポケットから無造作に取り出したレシートはぐしゃぐしゃだった。布団に潜って携帯をいじる。私は酒を飲んだらしばらく眠れないのだ。

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