ある大型スーパー駐車場の出来事
日曜日の大型スーパーにいつものように買い出しに行った。いつも日曜日は混む為、土曜日に行くのだが用事があり今回は日曜日に行く事となった。やはりスーパーの駐車場は思った通り混んでいて、駐車スペースがなく、空きをグルグルと探しまわっていた。何クールが回った時、ちょうど運よく目の前で出ていく車があり、やっとの思いで停めようとしたところ、同じタイミングで、向かいからも一台の車がそこを狙ってやって来た。一瞬お互いの目が合い、なんとも言えない緊張感が走った。向かいの運転手はスキンヘッドでサングラスをしており、強面の風貌。大きい白いクラウンに乗っていた。
そして相手はこちらを凝視しながら、車の運転席の窓がウィーンと開いた。
私も緊張はマックスになり、ゴクリと唾を飲み込んだ。
私は、頭の中で何を言われるか冷や冷やし、
言われるであろうセリフを覚悟し、グルグルと思いめぐらせた。
「オイ!そこオレが停めるからな」
「あっち行けよ」
などなど
もしやこんなこと言われるんかな
怖いやん
とにかくその筋にような怖さであった。
相手が停めるんであろうと100%思い、ビクビクしながらバックしようとしたら、
相手は車のウィンドウをウィーンと下げ、右手を出して、手のひらを上にして突き出した。
”どうぞ” というそぶりであった。
そして、私の車の横を颯爽に通り過ぎていった。
「……」
少し拍子抜けして何秒が放心状態
わざわざ窓を開けて、”どうぞ”なんて、、粋な老紳士であった。
人は見かけによらないというが、まあ用心に越したことはない。
そして後ろの子供が言った。
「めっちゃ いい人じゃん」
車を運転してる時によくその人の本性が出るというが、混んでる駐車場でなかなか停めれないなど、自分の思った通りにならない事に対して、イライラしたりと感情のコントロールが難しい人も中にはいるだろう。
老紳士の所作が落ち着いていて、とてもカッコよかったのでこんな余裕のある年の取り方がしたいと思った出来事であった。