夏の香(#ショート#シーン#小説#短編#あらすじ)
夏休みも中盤突入、なんとなく浮かれた気分が少し落ち着き、もうすぐ休みも終わる…。お盆時期、、母の実家の沖縄に久しぶりに帰省する事になった。前回行った時はまだ小学生であった。沖縄の自宅のすぐ近くに青く綺麗な海が広がり、よく夕方に散歩に行った記憶がある。海岸で花火をしたりとても楽しい思い出しかない。その時よく遊んだ男の子の記憶がある。家を行き来て一緒に絵を描いたり、虫取りや海岸に冒険に行ったり基地を作ったり。記憶では日焼けして真っ黒で目はクリっとしてとても笑顔が可愛い小柄な男の子だった。沖縄の近所の子なのか、自分のように帰省で帰ってきた子なのかわからない。どこの誰なのか。長い長い間忘れていたが帰ってきて急に思い出された。
もしかして、会えたりして?
ここに居れるのは一週間。
少女漫画のよくある話。
かっこよく成長した彼と海辺で偶然会えた、
という運命などがあるのだろうか。
期待している自分がいる。
現実問題としてそんな事起きるはずもないが。
細切れの記憶の中を、何度も思い出しては彼の事を考える。
美化してる場合もあるので客観的に自分の記憶を向き合う。
そんな中
近くの公園で夏祭りが開催されるという。
浴衣を着て、甥っ子や姪っ子と家族と行ってみる事にした。
そこで偶然会った面影がある男性。
真っ黒に日焼けした目元に見覚えがある。
本人?まさかね?
なんと想像より遥かに上をいく、変貌を遂げた彼の姿があった。