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岩崎優投手からご連絡をいただきました。『アイキャントライ』について。

開幕数週間前

阪神タイガース・岩崎優投手からご連絡をいただきました。岩崎投手の内心を大切にしたいし、今まさに2024年シーズンを戦っている最中なので、話せる範囲でお話します。ご本人の許可もいただいています。

どんな内容が?

第一声は「­­『アイキャントライ』日本一おめでとう」でした。そして、続く文章には「アイキャントライと戦ってきた物語は、辿り着いて笑えた優勝という形をもっていったん一区切りということになります」と。

どう思ったか?

まず連絡をくださった岩崎投手の誠実さに感激しました。そして、これは歌詞をここまで咀嚼して登場曲にしてくださっていたという何よりの証左ですよね。その点にも感激しました。

寂しさや悲しさはあるか?

寂しい気持ちがないと言えば嘘になるけれど、「なんて美しい物語なんだろう」という感情を握りしめています。
私も物心がついた時からプロ野球が大好きですが、しっかり完結できる物語ってなかなかないと思うのです。日本一になれる球団は一年に一球団。中でも胴上げ投手になれる投手は一年にたった一人。こんなにたくさんの素晴らしい選手さんがいらっしゃる中で、そこに辿り着いた岩崎投手。歌詞をまるで体現してくださるかのように、日本一に辿り着いて笑って終わったシーズン。「そら完結よ」という感じです。寂しさよりも納得感の方が強いです。一枚の絵画となって、綺麗に額縁に収まったというか。
切ない物語と美しい物語は共存するんだと学びました。

どう思われるか?が少し怖かった

このご連絡から数日後(3/28)に登場曲が正式発表され、ファンの皆さんの知るところにもなりました。それ以降、たくさんのリアクションを目にしました。自分の曲なので自画自賛するつもりはないですが、あくまでも頂き物としてご紹介します。

誤解しないでほしいこと

河野万里奈はしょんぼりしているんじゃないかとか、気落ちしているんじゃないかとか、可哀想がらないでほしいです。
これは岩崎投手の勇気ある決断だし、河野万里奈の歌が届いたことの証左です。むしろ誇らしくてエキサイトすべきシーンだと思うのです。
岩崎投手は腕を振り続けるし、私も新曲を作りライブし続けます。

岩崎投手への想い

良い結果が続いているものをやめるって、とても勇気がいると思います。例えばよくプロ野球選手が願掛けで、ヒットを打てた時に使っていたバッティンググローブを使い続けたりしますよね。そんな中で、勝利の方程式入りして、守護神となり、優勝して、日本一になって、胴上げ投手になって。この流れを一旦終わらせてまた始める勇気って相当のものじゃないでしょうか。これもまた「挑む」ですよね。私は、誰もができるわけではないこの挑戦をできる岩崎投手を心の底から尊重したいです。

岩崎投手の、ある一言

これを読んでくれている方にも共有したいと強く思うほど嬉しかった言葉があります。
「アイキャントライなメンタリティはこれからも変わらないと思うし、形は変わるけどまだまだ力にさせてもらうことかと」という一文です。もう、これ以上の説明はいらないですよね。

『アイキャントライ』の真実

『アイキャントライ』は岩崎優投手に書き下ろした曲ではないんです。
この曲の生い立ちを知らない方も多いと思うので、改めて振り返っておきます。
私は河野マリナとして2011年にメジャーデビューしました。そのあと戦力外通告を受ける形でほぼ活動休止となり(2013-2016年頃)、河野万里奈としてインディーズに復帰し(2016-2017年頃)、そこから再メジャーデビューを目指していた時に作った曲がこれです。何とかできることを探そう。曲を作ろう。じゃあ何について書く?大好きなことをテーマに書こう。ということで、常日頃から通っている鳴尾浜球場で歌詞を書き始めました。冒頭の《食いしばる歯にリフレクト》は中谷将大選手を見て思い浮かんだフレーズ。そして、いよいよ再メジャーデビューが決まった時のCD制作会議で「こういう曲を作ったのでどうにかCDに入れたいです」と会議室で流したのが『アイキャントライ』のデモ音源でした。表題曲ですらない、カップリング曲です。いわば、育成契約のような立場の曲だったんですね。
それを、時を同じくしてファームで戦っていた岩崎投手が見つけて一軍復帰後の2019年7月23日から登場曲に使ってくださったという流れです。

初めて甲子園に流れた日

私はというと野球オタクなので日課として自宅からスマートフォンで試合を観ていました。そしたら急に自分の曲が流れてきたので、スマホが故障したんだなと焦っていたんですね。「DAZN見てるのに曲がバックグラウンド再生されてるやん・・・」と思っていたら、LINEやSNSで色んな方が「岩崎投手の登場曲が『アイキャントライ』に変わってる!」と教えてくれて、状況を把握したとう経緯です。

懸命に生き抜いた人生の交錯

要するに、必死で河野万里奈が生み出した曲を、必死でプロの世界を生き抜いていた岩崎投手が見つけてくださった。そういう解釈です。

これからも岩崎投手を応援しますか?

逆に応援しない理由がありますか?もともとファンクラブの会員証も67番(岩崎投手の旧背番号)にするくらい家族一同大好きですから。登場曲が『アイキャントライ』になる以前から、あの手足が長く重心が低く股関節が柔らかく球持ちの良い唯一無二のピッチングフォームに惚れて応援してきたので、これからももちろん応援します。応援しない理由が見当たらないですね。来週も甲子園に行きます。

また誰かの登場曲を目指したい?

色んな生き方があって、戦略的な取引の上で使用される登場曲もあるし、それはそれでとてもかっこいいと思います。ただ、こと歌手・河野万里奈に関しては理性で曲を書きません。本能でドキッとしたプレーに興奮し、力をもらって、それを歌に込めて、大切な誰かに届けて、それがまた大切な誰かの力になる。この循環を繰り返していく。その延長線上で大切な誰かの人生の主題歌になれたならいい。今までもこれからもこの考え方です。今回はその大切な誰かの中に奇跡的に岩崎投手がいてくださったという認識です。

『アイキャントライ』は誰の曲?

今これを見てくれているあなたが仕事に行く前とか、草野球の試合とか、布団から出るときに流すとか、そういう形で、ただ目の前のあなたにとって特別な曲でありたい。そう思って歌っているし、これからも歌い続けます。

ずっと、あなたの応援歌

「もう『アイキャントライ』聴けなくなっちゃうのか」というコメントも見かけましたが、聴けます!聴けます!!なぜなら、ライブで歌っているから。私はずっとこの曲を歌い続けるし新曲も作り続けるので、『アイキャントライ』は鳴り止みません。ぜひこれからも聴いてください。

『アイキャントライ』は鳴り止まない。

登場曲ではなくなる=表向きには離れることになっても、岩崎投手が進み続けるほど『アイキャントライ』と岩崎投手の物語の輝きは増すばかりだと確信しています。

ありがとうございました。
これからも、ずっと。

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