十二月の自選秀歌

新年あけましておめでとうございます。皆様のいいねを励みに、先月もめでたく一日一首ほど投稿することができました。質・中身から言っても快調だったので、早くも今月はどうなることやら、という気分にもなっていますが。とまれ自選秀歌にまとめましたので、ご笑覧ください。

小生は昔から比喩という表現に苦手意識があったのですが、さすがに一日一首も詠みつづけていると、多少はこなれてくるところもあるようです。そうしたなかでおもしろいことに気がつきました。「Aの(ような)B」と「Bの(ような)A」が、詩歌にあっては同時に成りたつことがあるということに。こういうのは専門用語では何と言うのでしょうか。意図してできたわけではありませんが、「鳥の影」(1)と「水彩絵の具」(6)はそのようになっています。「飛び去ってゆく鳥の影」という光景は、以前から歌に詠みこもうとこころみていただけに、この歌にまとまったときは、それこそ歌が手元から飛び去っていったような感覚になりました。ありがたいことです。

なお「脱ぎしコート」(5)は、塚本邦雄の「きさらぎは世界硝子ののごとし恋人が藍のかはころも脱ぐ」(閑雅空間)を本歌としています。その他は、これという特定の元ネタはありません。もっとも言語による文化的営為において、純然たる個人のオリジナルなどというものはそもそもあり得ないわけですが。それはさておき。以前は句切れで一字スペースを空けないと気がすまないことが多かったのですが、それも読む人が読めばわかることかということで、できるだけ少なくするように心がけることにしました。

前回の記事はこちら。

それにしてもnoteの「#自選秀歌」のタグを、僕しか使っていないとのはどういうことなのでしょうか。