超わかる『エンジェル投資』を受けるまでの具体的な流れ
このnoteは、「株式による資金調達」の具体的なプロセスについて紹介するものです。
起業家や起業志望者のお役たてば嬉しいです。
先日、Railsエンジニアなら誰しも一度はお世話になったことがあるだろう技術ブログの著者に、「独立して株式会社を設立するので、融資や投資について相談に乗って欲しい」とご連絡をいただきました。
尊敬する一流エンジニアの相談に乗れるなんて、何かの間違いのような光栄です。
もちろん、即OKしました。
このとき相談に乗っていて感じたのは、「株式で出資を受けるまでの具体的な流れが理解できる、まとまった情報ってないなぁ...」ということでした。
「XX万円調達しました!!」のような記事はたくさんありますが、具体的にどういうプロセスで調達したのかを詳細に語った記事は、ほとんどありません。
「とりあえずこれ読んでおけば、大丈夫っすよ!!」と紹介できるような記事やリンク集などもあればいいのですが、それについても、自分は寡聞にして知りませんでした。
僕自身も、実際に調達を完了してから、振り返ってみて始めて、株式による資金調達の具体的な流れが掴めたような気がします。
お恥ずかしい話ですが、総数引受契約の存在とか、取締役会設置会社と非設置会社の株主総会で決めるべき内容の違いとか、出資を受ければ資本金が増えるとか、着金後の法務局への続きとか、僕は「やってみてから」やっと理解しました。
事前に資金調達の具体的な流れを知ることができていれば、もっとスムーズに色々とうまくやれただろうになぁ、、、という後悔もあります。
というわけでこのnoteでは、過去の自分に伝えておきたかった
投資家や事業会社から『株式による出資』を受ける上で知っておくべき知識と、
その『具体的な手続き』についてご紹介します。
これを読めば、株式で資金調達を完了するまでの具体的な流れも理解できるはずです。
話を進める前に断っておくと、専門家ほど、僕もこの株式による資金調達(エクイティ・ファイナンス)周りに詳しいわけではありません。
なので、もしこの記事の中に間違いや補足すべき点などを見つけたら、この記事の読者と、ほかならぬ僕自身のためにも、DMなどから修正リクエストをいただければうれしいです。
このnoteは、Qiitaの記事のような感覚で読み進めていただき、気軽に不備をご指摘いただければ幸いでございます。
ともにインターネットに奉仕しましょう。
それでは目次です。
前提知識『エンジェル投資と地雷原』
弊社のようななんかよくわからない怪しい会社をスタートアップと呼び、街の床屋さんやレストランのような堅実な会社をスモールビジネスと呼びます。
そして、世の中の起業の大半はスタートアップではなくスモールビジネスなので、Googleで検索したときにもスモールビジネスの情報がヒットしがちです。
その結果、スタートアップの常識ではなく、スモールビジネスの常識を参考にしてしまい、『地雷』を踏むという悲劇もよく起こります。
その悲劇と対策については以前、自分の失敗談も交えて記事にしました。
意外にも多くの方々に読まれています。
同じ起業でも、スモールビジネスとスタートアップでは、JavaとJavaScriptくらい異なります。
その最たる違いは、『資金調達の方法』でしょう。
スモールビジネスが主に銀行からの融資で調達する一方で、スタートアップは株式を使った調達が主です。
この記事では、株式を使った資金調達(エクイティ・ファイナンス )の具体的な流れについてご紹介します。
また注意点として、このnoteで紹介する資金調達の流れは、ベンチャーキャピタルからの資金調達ではなく、エンジェル投資家からの資金調達です。
主な理由は、僕がまだベンチャーキャピタル(以下VC)から資金調達したことがないからですが、他にも理由があります。
VCからの調達とは異なり、エンジェル投資家からの調達は、起業家側にも投資家側にもリテラシーがあるとは限らないため、両者が知らずに『ミス』を犯すケースが多いらしいからです。
たとえば、起業家が株式をエンジェルに渡し過ぎたとか、手続きの不備によって出資ではなく貸付になっていただとか、そんな話をよく小耳に挟みます。
前提知識『株式で出資を受けるとは、どういうことか?』
株式によって出資を受ける場合にも、エンジェル投資家から投資を受けるのか、事業会社から投資を受けるのか、ベンチャーキャピタルから投資を受けるのか、によって異なる点はもちろんあります。
ただまずは、これらの違いについて見ていく前に、『共通点』から見ていきましょう。
これら株式による資金調達の共通点は、『第三者割当増資』であるという点です。
第三者割当増資については、多くの人が誤解しているだろうことがあります。
それは、『第三者割当増資は、創業者の持っている株式を投資家に売るのではない』ということです。
それは「有償の株式譲渡」です。
第三者割当増資とは、会社が新たに株式を発行して、新たに発行した株式を投資家に買ってもらうことです。
この点については、僕も当初は勘違いしていましたし、件のエンジニアの方も勘違いしていました。
なので、結構知らない方は多いだろうと予測しています。
みなさん、正直になりましょう。
第三者割当増資については、以下の記事がわかりやすいです。
前提知識『エンジェルからの調達とVCからの調達の違いは、株主間契約の有無』
巷では、「エンジェル投資家から出資を受けるのと比べて、VCから出資を受けると経営の自由度を失う」と噂されています。
果たして本当でしょうか?
僕もつい最近までは、「まぁそういうもんなんだろうなぁ」くらいにしか思ってませんでした。
「エンジェル投資家は、そんなに経営に口出ししてこないし経過報告も求めないだろうけど、VCはめっちゃ口出しするし経過報告も求めるんだろうなぁ〜」という具合に。
でも、実際にVCの方々に話を聞いてみると、
『VC次第だよね。熱心にハンズオン(口出しや助言)するところもあれば、起業家から求められない限りは、基本放置するところもあるよ』
というお返事をいただきました。
逆に、エンジェル投資家でも人によっては投資先にハンズオンしたがる人も多いのだそうです。
では、経営の自由度を失ううんぬんは、根も葉もない噂話で、エンジェルから出資を受けるのもVCから出資を受けるのも、別段変わりはないのでしょうか?
真実は、その中間にありました。
そのことに僕が気づいたのは、奇しくも、VCに出資を断られてしまったときでした。
こちらが再現VTRです。
自分「・・・というわけで、エンジェルの方からも出資の声をいただいているのですが、なにぶん初めての資金調達で、契約まわりが全くわからないので、エンジェルと結ぶ契約や条件をプロにとりまとめてもらうためにも、VCさんにリード投資家としてご参加いただきたいのです。」
VC「う〜ん、うちとしてはまだこの状況では出資はできそうにないのですが、エンジェルが出すといっているのであれば、引受契約を交わせばいいだけなので、雛形もありますし、それほど難しくないのでは?」
自分「え?引受契約?特別な投資契約書とか必要ないのですか?」
VC「契約周りに不安なら、ベンチャー法務に強い方を紹介しますよ。」
ベンチャー法務に強い方「基本的に、投資契約書は必須ではありません。ですので、エンジェルの方から投資契約書を求められていないのであれば、
あえて投資契約書を締結する必要はなく、登記上必要な総数引受契約書のみを締結することでよいと思います。」
これを聞いたとき、めちゃくちゃびっくりしたことを覚えています。
資金調達に関する本や記事の多くでは、投資を受ける際に投資契約書を結ぶことは前提となっているように思えたので、まさかそれが必須ではないとは思いもつきませんでした。
下記の記事によると、VCから資金調達を行う場合は、次の2つの契約書を結ぶ必要があるそうです。
・「株式引受契約」:どれほどの株価でどれくらい出資を受けるかを決める契約書。
・『株主間契約』:投資実行後の投資家と経営者の継続的な関係を規定する契約書。
株主間契約では、「株主にはこのくらいの頻度で報告してね」や「こういうことをやるときには事前に教えてね」といったことを決めます。
しかし、エンジェル投資においては、この『株主間契約』については必ずしも結ぶ必要はないのだそうです。
そしておそらくこの「株主間契約の有無」が、エンジェルからの調達に比べた、VCからの調達によって発生する制約なのだろうと思いました。
下記の記事で紹介されているような制約事項も、株主間契約で規定されるものなのかもしれません(自信はないです。教えてください)。
まぁとはいえ、制約は必ずしも悪いものではないですし、大金を投じている以上、投資家を守るために起業家に制約をかけるのは、まったく正当なものです。
株主間契約についても、きちんと起業家と投資家が契約書を読み合わせすれば、ひどいことにはならないでしょう。
是非ではなく、調達相手によってどういったトレードオフがあり、事業フェーズによってどのリスクを負うのかを、起業家側がきちんと理解しておくことが重要なのだと思います。
そしてこのnoteでは、株主間契約を結ぶVCからの資金調達については解説しません。
このnoteで紹介するのは、株主間契約を結ばずに、株式引受契約のみを結ぶ資金調達の流れです。
つまり、エンジェル投資のもっとも標準的なスキームであろう『総数引受契約書を使った資金調達の流れ』をご説明していきます。
ステップ1『会社の時価総額と、投資家に割り当てる株式シェアについて、投資家と合意する』
総数引受契約による資金調達において、まず行うべきであり、何をおいても重要なのは、会社の時価総額と、投資家に割り当てる株式のパーセンテージについて、投資家と合意を取ることです。
ここが一番大事で、一番大変なところかもしれません。
第三者割当増資では、まず投資家との交渉によって、調達する金額と、現時点での自分の会社の時価総額(pre-Valuation)を決めます。
そして調達する金額が時価総額の何パーセントかによって、新たに発行する株式数や投資家に割り当てる株式のパーセンテージが決まるのです。
たとえば僕の場合、投資家から、弊社の時価総額(pre-Valuation)を5000万円と評価してもらい、100万円を調達しました。
100万円は5000万円の2%なので、弊社の発行済株式10000の2%にあたる200株を新規発行して、その200株を投資家に引き受けてもらいました。
結果として現在の弊社の時価総額(post-Valuation)は、5100万円となっています。
preとかpostとか難しい印象を受けますが、わかってしまえば大して難しいことではないので、以下の記事を読んで理解しておくとよろしいかと思います。
この段階で起業家が考えるべきもっとも重要なことは、いくらの時価総額で、何%株式を発行して、いくら調達するかということです。
いろいろなVCの方々の話を伺ったところ、エンジェル・シード期の投資家への株式放出は、10%前後に抑えておいたほうがいいとのことでした。
参考までに、「起業のエクイティファイナンス」の著者でVCも運営されている磯崎哲也氏による下の記事では、『数百万円の資金調達なら数%程度(preのvaluationで5000万円以上)が望ましい』とのことです。
一方で、株式の放出を抑えようとするあまり、高すぎるvaluationで資金調達をしてしまうと、次の資金調達が難しくなるなどのリスクも発生します。
つまり、安すぎず、高すぎず、妥当な時価総額で出資を受けましょう、ということですね。
僕の場合は、pre-valuation 5000万で、100万円出資いただいたので、2%の株式放出です。
一般的な感覚だと「100万で2%だけ!?」と思われてもいいはずなのに、僕の言い値でご出資いただいたコルクさんには、本当に感謝です。
【注意】あなたの会社に取締役会はありますか?
さて、投資家との合意が取れたら、出資を受けるための事務的な手続きに進みましょう。
ただ、次へ読み進める前に、自分の会社の取締役会の有無については注意してください。
『取締役会設置会社』か『取締役会非設置会社』かによって、調達の手続きは変わってくるためです。
とはいえ、弊社も含めて、エンジェル投資を受けようとするスタートアップのほとんどは「取締役会非設置会社」でしょう。
取締役会を設置するには、3人の取締役に加えて1人の監査役が必要です。
そこまで経営リソースがあるようなら、エンジェル投資を受けるフェーズではないように思えますし、それだけリソースがあるなら、これから紹介する調達手続きについても専門家のサポートを受けられることがほとんどでしょう。
わざわざこの記事を読んで、自力で登記申請まで行おうとするのは、専門家に相談できないくらい「貧乏」な、取締役会のないスタートアップぐらいだと思います。
(取締役会についての説明は、下の記事が参考になります)
ただ一応このnoteでは、今後の自分の備忘録のためにも、取締役会設置会社の手続きと、取締役会非設置会社の手続きの両方を紹介しています。
取締役会設置会社の手続きなら、ステップ2Aへ。
取締役会非設置会社の手続きなら、ステップ2Bへ読み進めてください。
ステップ2A『取締役会議事録&臨時株主総会議事録を作成する(取締役会設置会社の場合)』
1,で投資家との合意が取れたら、取締役会設置会社の場合、まずは取締役会を開いて、少なくとも次の3つを決めなくてはなりません。
・募集株式発行の件(新しく何株発行して、誰に何株引き受けてもらうのか?などの決定)
・募集株式の発行に関する株主総会付議事項決定の件(株主総会で決定する新株発行の条件などの決定)
・臨時株主総会招集の件(株式総会の開催日などの決定)
この3つの詳しい内容については、ベンチャー法務を専門とされているAZXさんが提供されている雛形が参考になります。
取締役会で臨時株主総会の召集を決定したら、既存の株主に召集通知を送ります。
招集通知は、株主総会の開催の1週間前までに行う必要があります。
そして取締役会での決定通りに株主総会を開き、取締役会で事前に定めた議題について、決定します。
この場合は、「新株発行の条件」についてですね。
以下が、取締役会設置会社の臨時株主総会の雛形となります。
繰り返すように、おそらくエンジェルラウンド のほとんどのスタートアップは取締役会非設置会社なので、ここまで煩雑な手続きは必要ないはずです。
弊社BooQsも、取締役会非設置会社なので、取締役会は開いていません。
むしろ、取締役会設置会社の手続きを参考にしてしまったせいで、法務局での登記申請でストップを食らってしまったくらいです。
取締役会のない会社は、ステップ2Bの手続きを参考にしてください。
ステップ2B『臨時株主総会議事録を作成する(取締役会非設置会社の場合)』
ステップ1で投資家と合意したら、取締役会非設置会社の場合、取締役会を開く必要はありません。
いきなり臨時株主総会を開いて大丈夫です。
株主総会の召集通知も、取締役会非設置会社なら口頭やメールでもOKですし、自分1人しか株主がいない場合なら、召集通知自体を省略することもできます。
ただし、取締役会非設置会社における、募集株式発行のための臨時株主総会議事録の作成には、僕も実際にハマってしまった罠があります。
それは、取締役会のある会社とない会社では、募集株式発行のために株主総会で決めるべき内容が大幅に異なることです。
具体的には、取締役会設置会社の株主総会なら、決めるべきことは「発行する株式の種類と数と株価」くらいですが、取締役会非設置会社では『誰に何株発行するか』といった内容も、株主総会議事録に残さなくてはならないということです。
このトラップのさらに悪いところは、取締役会非設置会社の募集株式発行のための臨時株主総会の雛形というのは、ネット上に転がっていなかったことです。
一応、法務局の下記ページの1-20-Aには、取締役会非設置会社の募集株式の発行の臨時株主総会の雛形もあります。
ただ、総数引受契約で資金調達を行った場合には、この雛形をそのまま使うこともできませんでした。
なのでこのnoteでは、法務局の係員の方と一緒に作成して、実際に法務局に受理された『臨時株主総会議事録の雛形』をダウンロードできるようにしました。
お金のないスタートアップの方々のお役に立てば幸いです。
(お金があるなら、専門家に頼みましょう。)
ステップ3『株主リストを作成する』
臨時株主総会を開いたら、株主総会の議案を可決させた株主のリストを作成しましょう。
下記リンクが、株主リストの雛形となります。
弊社の場合、株主は僕一人しかいなかったので、僕一人の情報だけ記述して終わりです。
ステップ4『募集株式の総数引受契約書を締結する』
ステップ1, で投資家と合意した内容に基づき、下の雛形をつかって、投資家と結ぶ契約書を作成します。
契約書なので当たり前ですが、
総数引受契約書は同じものを二通作成して、起業家と投資家の両者で割印と契印を押したのち、それぞれが一通ずつ手元に残しましょう。
次でも述べますが、起業家側の総数引受契約書は、法務局へ提出する登記申請書に添付する必要があります。
ステップ5『登記申請書の作成する』
総数引受契約書を交わし、投資家からの入金を確認したら、資金調達完了、というわけではありません。
投資を受けたことを、きちんと法務局で登記しなくてはなりません。
それもきちんと期限があります。
『総数引受契約書で定めた払込期限から2週間以内』に登記しなくてはなりません。
期限を過ぎたからといって登記申請が却下されるということはありませんが、過料を課せられる場合もあるので、なるべく期限内に登記しましょう。
また注意点として、出資金の払込期限がすぎてからでないと、登記はできません。
たとえすでに投資家から入金があっとしても、振込期限よりも前に登記をすると法務局から差し戻しを受けてしまうので注意してください。
登記は、遅すぎても、早すぎてもダメなのです。
さて、下記リンクが、登記申請書の雛形になります。
募集株式の発行の登録免許税は、課税標準金額×0.007となります。
課税標準金額とは、ここでは『今回の調達で増加する資本金の額』となります。
ただし課税標準金額×0.007が3万円に満たない場合には、登録免許税は3万円となります。
資本金の増加が420万円程度までなら登録免許税は3万円ということになりますね。
もし、取締役会非設置会社で、投資家が一人なら、登記申請書に添付すべき書類は次のようになります。
適宜、雛形を修正しましょう。
株主総会議事録 1通
株主リスト 1通
募集株式の総数引受契約書 1通
払込みがあったことを証する書面 1通
資本金の額の計上に関する証明書 1通
入金を確認したら、これらのうち「払込みがあったことを証する書面(払込証明書)」「資本金の額の計上に関する証明書」を作成していく必要があります。
では、「払込証明書」から作成していきましょう。
ステップ6『払込証明書を作成する』
払込期限までに投資家からの入金を確認したら、払込証明書を作成しましょう。
以下の雛形の脚注に従い、投資家からの入金を確認できる銀行口座の写しを添付することもお忘れなく。
[2]①振込先の銀行名、②店名、③口座番号、④口座名義人、及び⑤出資金の振込状況が確認できるページの写しを、ホチキスで一緒に綴じて、各ページに割印をして下さい。なお、⑤のページのうち、出資金の振込みに関する部分にはマーカーを引いて下さい。
ステップ7『資本金の額の計上に関する証明書を作成する』
第三者割当「増資」とも言われるように、株式での投資を受けると資本金が増えます。
なので登記申請書には、以下のような資本金の計上についての証明書も添付する必要があります。
雛形では、出資金額の半分が、資本金ではなく、資本準備金に計上されています。
資本金の払込みに係る額の2分の1を超えない額は、資本金ではなく、資本準備金に計上できるためです。
資本金と資本準備金の違いについては、以下の記事が参考になります。
資本金の額の違いによるメリット・デメリットは、下の記事が参考になります。
(ステップ4,で説明した、増加する資本金によって決まる登録免許税も考慮してもいいかもしれませんね。)
弊社サービスBooQsは基本toCですが、toB向けへの展開も視野に入れており、かつ100万円という額でもあるので、今回は全額資本金に計上しました。
ステップ8『法務局の相談窓口を予約する』
これで募集株式の発行を行うための登記申請資料が揃いました!!
やりましたね!!
それでは、法務局に申請する前に、登記を行う法務局に法人登記の相談の電話予約を入れましょう。
専門家のサポートを受けていないなら、申請前に、法務局の方に一度は提出資料を確認をしていただいたほうがいいと思います。
雛形が対応していない細かな点なども修正いただけますし、申請書の見落としやミスというのは、素人である自分では気づけないものです。
僕自身、いくつか係員の方に書類の不備をご指摘いただいたおかげで、無事に登記申請を完了することができました。
税務署や法務局といった公共機関の方々は、きちんとお願いすれば、親身に対応してくださります。
専門家に依頼するお金がないなら、自力と一緒に、公共サポートに頼りましょう。
法務局で登記相談を行う際に注意すべき点は、まず事前に電話予約を入れること!
また、代表印などの印鑑類を忘れないことは当たり前ですが、
登記事項証明書を用意しておくと、法務局の方に書類の不備を確認してもらいやすくなるのでオススメです!!
ステップ9『原本還付手続きを行う』
ベンチャーがやりがちな失敗の一つに、『議事録類をなくす』というものがあるそうです。
上の記事によると、なくす原因の一つとして、登記手続に使用した際に原本還付手続をとっていないせいであることがよく見受けられるそうです。
原本還付とは、登記手続きに使用した書類の原本ではなく、そのコピーを法務局に提出することによって、原本を手元に残すことです。
僕も最初はびっくりしたのですが、原本還付を行わないと、登記申請のために添付した株主総会議事録や総数引受契約などの起業家が手元に残しておかないといけない書類も、法務局に保管されてしまうのですね。。。
なので、少なくとも株主総会議事録と総数引受契約書については、必ず原本還付を行って手元に残しておくようにしましょう。
原本還付の手続きについては、下の記事が参考になりました。
僕の場合は、申請直前の登記相談のときに、相談にのってくださった係員の方に原本還付の手続きをお願いしました。
無知な僕にめちゃくちゃ親身に対応してくださった法務局の方には、本当に感謝です。
以上から、登記申請前に法務局に相談に行くときは、次の3つを用意しておくと良いでしょう。
・登記事項証明書
・印鑑
・ここまで用意した契約書類のコピー
最後に
お疲れさまです!!
めっちゃ疲れましたね!!
手続き大変!!
エンジェル投資というのも、名前の印象の割には気安いものではないのですね。。。
VCからの調達の場合、ここで紹介したものに加えて「投資契約(株主間契約など)」も加わってくるので、もっと煩雑になるのだとか。
一応、スタートアップ業界でも、こうした出資までの煩雑な手続きを課題として認識してもいるらしく、最近のエンジェル・シード期では、総数引受契約ではなく、「J-KISS」と呼ばれる簡略な投資スキームも活用されはじめているそうです。
合理的な流れだと思います。
シード期のスタートアップの創業者がやるべきことは、「コードを書くこと」と「顧客の話を聞くこと」の2つのはずなので、こうした法務に悩まされるのは、ちょっと本質的ではないと思います。
今回、自分が自力で登記申請を行った経験も踏まえて、登記申請の手続きの詳しいやり方をご紹介しましたが、「お金があるなら」、専門家のサポートを受けたほうが良いだろうことは、いうまでもありません。
僕の場合は、マジでお金がなかったので、すべて自力でやりました。
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