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コミュニティに救われて

法人口座:79,594円
個人口座:5,949円

これが、1週間前の僕の現実だった。
いわゆる『倒産寸前』だ。

記憶は鮮明だけれど、この頃のことはあまり思い出したくはない。

サービスがまったく鳴かず跳ばずだったら、僕も諦めて廃業できたかもしれない。

しかし、幸か不幸か、今回ばかりは事情が違った。

1年以上、僕は誰にも使われないサービスをつくり続けてきた。

でも、下の記事をきっかけにして、今年になってようやく、ようやく、サービスが使われるようになった。

3月から有料会員機能を始めてからは、収益も生み出せた。
有料会員は、毎週着実に増え続けてくれている。
もうすぐ利益だって出る。
毎日、欠かさずに使ってくれるユーザーがいる。
「つくってくれてありがとう」といってくれる人たちがいる。
「無くなったら困る」といってくれる人たちがいる。
僕のサービスを応援してくれる人たちがいる。

僕のサービス「BooQs」はやっと、道楽ではなく、ビジネスになろうとしていた。

そんなときに、、、そんなときに、、、!!

僕は自分の給料(8万円)はおろか、社会保険料すら払えないほど困窮していた。
年金事務所に口座を差し押さえられれば、いよいよ倒産だ。

苦労してやっとの思いで起こせた火種は、今にも消えかけていた。

「こんなところでは、諦めきれない」

とにかくサーバー代だけでも確保して、今も熱心に使ってくれているユーザーのためにサービスを存続しなくては。

VCからの資金調達には、失敗した。
銀行は、お金を貸してくれない。
カードローンは、事業性資金には使えない。

となると残るは、年利18%の消費者金融のみ。

「AirbnbもPixivも、最初は投資家から資金調達できなくて、借金をしてサービスを続けたんだ。本当に心の底から自分のサービスの可能性を信じているなら、お前にだって同じことができるはずだ。できるともさ。大したことじゃない。」

そうイキってみせるが、脳裏にチラつくのは「闇金ウシジマくん」だ。

「俺は「スタートアップくん」として、富士の樹海で人生からEXITするオチを迎えるんじゃないか...?」

貧すれば鈍する。
貧困によって精神的に参っているときは、極端なほど悲観的な妄想にたくましくなるものだ。

そう、当時の僕は、かなり参っていた。

すんでのところで、命を拾う

結論からいえば、僕は「スタートアップくん」になる未来は回避できた。

株式による資金調達に成功したからだ。

出資してくれたのは、株式会社コルク。

「宇宙兄弟」や「ドラゴン桜」などの大ヒット漫画の編集者である佐渡島庸平さん(@sadycork)が経営するクリエイターのエージェント会社だ。

そして、僕が所属するオンラインコミュニティ「コルクラボ」の運営元でもある。

コルクの代表の佐渡島さんと、執行役員の方々には、本当に感謝しかない。

とくに役員の長谷川さん(@piroshicork)には、この後に及んで上場を諦められない僕の資本政策に付き合っていただき、次の資金調達にも悪影響の出ない、とても良心的な条件で交渉を詰めてくれた。
役員会議と入金も予定より早めてくれたおかげで、最悪の事態も回避することができた。
名実相伴う『エンジェル投資』を取り仕切ってくれたことには、本当に感謝しかない。

佐渡島さんには、「経営者として対等な立場で応援する」「もし失敗したとしても絶対に責めない」という激励の言葉をいただいた。

「僕ら(投資家)に変な気を遣わず、自分の夢に投資させてやってるんだぐらいの気持ちで頑張れ!!」

まだ利益も出せていない若輩の経営者に、こんな言葉をかけてくれる投資家が、一体どれほどいるだろうか?

「ありがたい」という言葉が空虚に響くほどに、ありがたい。

僕はすんでのところで、最高の投資家によって、命を拾った。

佐渡島さん、コルクの皆さん、本当にありがとうございました、、、!!


コミュニティに救われてきた

思い返せば、僕はずいぶんとコミュニティに助けられてきた。

今回のコルクから受けたエンジェル投資だけではない。

コルクラボのメンバーからは、苦しいときにnoteから金銭的にサポートいただいたりと、本当にいつも、とても助けていただいてきた。
(サポートしてくれたラボのみんな!!本当にありがとう!!!)


ほかにもコルクラボというコミュニティでは、月1で経営者部というイベントがある。
会社の経営者であるラボのメンバーが集まって、自分の会社の近況を報告したり、経営の悩みに対してメンタリングしたり、同じビジネス書を読んで議論を深めたりするイベントだ。

出不精な僕も、このイベントだけは毎月欠かさず参加している。
閉じたコミュニティの利点か、みんな本当にざっくばらんに話すので、とても学びが多い。

僕自身、経営者部のメンタリングには、とても助けられてきた。
(具体例として、佐渡島さんに、「倒産すると、なんでいけないんだっけ?」のように不安に対して何度もWhyを突きつけられたのは結構効いた。
不安の根本を辿ってみると、案外、浅薄な理由や、根拠薄弱な社会通念や、単なる自分の知識不足ぐらいしか出てこなかったりする。)


僕が助けられてきたコミュニティということでいえば、『運営者ギルド』も忘れてはならない。
運営者ギルドは、Webサービスやアプリの運営者が知見を交換するオンラインコミュニティだ。

Webサービスの運営には、とても多くの知識が要求される。

1つのサービスをリリースするだけでも、複数言語によるコーディングだけでなく、UIデザインやインフラや連携サービスやライブラリなどについて幅広く知っておかなくてはならない。

ましてや実際にユーザーに使ってもらえるサービスにするためには、開発の知識のほかにも、コピーライティングやマーケティングや営業やPRの知識まで要求されることさえある。

正直、これらの知識と技術をすべて一人で網羅するのは、極めて大変だ。

実際のところ、ギルドの中には、これらをすべて個人でこなして、Twitterトレンドの常連だったり、気の遠くなる売上を稼いだり、サービスを企業にバイアウトしている化け物たちもいるにはいる。
しかし、少なくとも、人の身にして凡夫な自分には到底難しいことだった。

そんな自分にとって、このコミュニティにプールされている知見や、コミュニティメンバーの助言は、本当に助けられるものだった。

BooQsがバズり、一夜にして500倍を超えるアクセスに見舞われ、今まで体験したことのないエラーに狼狽していたとき、
無知で未熟な僕を助けてくれたのは、実務経験豊富な熟練のエンジニアであるギルドの方々だった。

他にもコードレビューや、設計やUI/UXデザインについてのアドバイス、有益な記事やツールやライブラリの紹介など、ギルドの人々がBooQsというサービスに与えてくれた良い影響は数えきれない。

ギルドには、「bugbush(バグバッシュ)」というイベントがある。
ギルドのメンバーが新たにリリースしたり、リニューアルしたサービスをみんなでひたすら触り、バグや脆弱性を報告したり、UI/UXの改善案を提案したり、サービスの感想を述べたりするイベントだ。

バズる以前に、BooQsは2回も、このbugbushをしていただいた。

BooQsはあきらかに、コミュニティに支えられて、コミュニティに育てられてきたサービスだ。


ゆるい互助組織としてのオンラインコミュニティ

僕も、僕のサービス「BooQs」も、コミュニティに助けられてきた。

だから、コルクラボと運営者ギルドに、僕が共通して気に入っている点は、それが「ゆるい互助組織」だというところにある。

両コミュニティともに、誰かを助けることが義務となっているわけではない。
しかし、なんとなく誰か困っていたら助けようという空気感がある。
それでいて、助けなかったからといってその人が責められるわけでもない。
「余裕があれば」が大前提の互助関係がある。

端的に言えば、全体的に「ゆるい」とも言い換えられる。

明示的な規約は、「内部情報をあまり外部に持ち出さないでね」くらいで、それすらこうして僕がnoteで書いてるように、個々人の良識に任せた性善説で運用されている。
(もちろん、僕にも良識はあるはずなので、ここに書いていないコミュニティの内部情報は山ほどある。)

性善説に基づいた互助は、直感に反して、意外にもよく機能する。
「助けられる」ということは、「助ける」ということでもある。
「助けられた人」は「人を助ける」ようになる返報性という傾向が、人間にはあるからだ。

だから僕も、コルクラボでのPolcaや運営者ギルドのbugbushには、なるべく参加するようにしているし、今こうしてnoteを書いているのも、コミュニティへの恩返しという目的もある。

ただし、こうした「ゆるくて」「性善説」で回る「互助」が成立するのは、『外部から閉ざされた小さなコミュニティ』だからでもある。

不特定多数に向かったとき、個人からも社会からも、僕らは性悪説での運用が求められる。
Webサービスを公開するときに、運営者がセキュリティや脆弱性に気を配るのは、コミュニティとコミュニティの成員(ユーザー)を守るために、不特定多数の善性を疑っているからだ。

もちろん、「閉ざされた小さなコミュニティ」であったとしても、性善説の脆弱性をついてくる人間が現れる可能性はある。
しかしそれは、不特定多数に開かれた規模の大きいコミュニティに比べれば、無視しても良い確率で起こるものであるし、被害も小さくリカバリーも容易なものだ。

佐渡島さんがこの間の経営者部で、「かつてムラが担っていた互助の機能を、コルクラボでも実現したい」というようなことを言っていた。

ムラというのは、言い得て妙だ。
ムラは、小さく閉鎖的だが、そうであるがゆえに機能する性善説で互助が行われている。

言葉通りコルクラボでは、お互いに助け合うような活動が頻繁に行われているし、コルクやメンバー同士で仕事を回している。
さらにもっと直接的に、投資企画というラボのメンバーの企画に会費から資金をつけるものさえある。

コロナという危機的な状況によって、経済的にも精神的にも追い詰められる人々が多くなるだろう中で、

こうした性善説にもとづく小さな閉じた互助組織『オンライン・ムラ』は、セーフティーネットとして、今後ますます重要性を増していくのではないだろうか。

オンライン・ムラを機能させるもの

性善説で運営される互助組織『オンライン・ムラ』には、その機能を維持するために行っている工夫がある。

先にも述べたとおり、『オンライン・ムラ』は、ある程度、外部から閉ざされていて、規模も小さくなくてはならない。

この条件を満たすために、件のコミュニティが採用しているのが、『入会ハードル』だ。

たとえば運営者ギルドでは、参加者はWebサービスやアプリの運営者であることが定められている。
決して低いハードルではないだろう。
しかしそれによって、ある程度の規模と閉鎖性を保っている面がある。


コルクラボでは、入会時期を制限したり、一度に入会できる人数を制限するという形でハードルを課している。
実はもっと前には、コルクラボは、ラボのメンバーによる紹介でしか入会することができなかった(僕はnoteの水野さんに紹介してもらい入会した)。

こうした入会制限の本来の目的は、新しく参加したメンバーが馴染みやすいようなオンボーディングをうまく機能させるためにある。
新入社員研修のように、オンボーディングは、期間集中的に少人数に対して行ったほうが効率的で効果が高いだろうことは、直感的にも理解できると思う。
コルクラボの運営メンバーは、新しい入会者がコミュニティに馴染めるような仕組みをとても熱心に考えており、その熱量にはいつも圧倒されるばかりだ。
(僕は参加できていないから余計に。みんなホントにすごい。)

コルクラボの入会制限は、新会員のオンボーディングを機能させる。
その一方で、小規模で閉鎖的なコミュニティを維持し、性善説にもとづいた互助組織を形成する助けにもなる。
とても秀逸な仕組みだと思う。


オンラインコミュニティ、入りたくなりましたか?

では最後に、各コミュニティへの入会方法を紹介して終わりにしよう。

運営者ギルドに入るもっとも簡単な方法は、プログラムを組み、実際にサービスをローンチしてみることだ。
そして、ギルドの主宰者である「だーすーさん(@Neko_inu_)」のTwitterアカウントに「こんなの作りました。参加させてください。」とDMするのである。
あなたなりのベストを尽くしさえすれば、サービスがどんなに拙くても問題はない。
僕も1年前にギルドに入ったときに手元にあったのは、今思えば恥ずかしい出来のサービスだった。
DMを送るときには緊張するかもしれないが、マシュマロの開発者だけあって、だーすーさんは優しい人なので心配はいらない。


コルクラボのメンバーの新規募集は、不定期で、定員がある。
しかし、もしもあなたがこの記事を4月中に読んでいるのならば、幸運だ。
なぜなら、4月末まで新メンバーを募集しており、なおかつ定員にもまだ空きがあるからだ。

下が、入会希望者の応募フォームになる。


オンラインコミュニティというと、「怪しい」「宗教」みたいな評価がある。
でも、大抵それは、コミュニティへの過大な期待によって、コミュニティを複雑に考えすぎた結果のような気がしている。

自分が様々なオンラインコミュニティに所属してきた末に至った、オンラインコミュニティの定義は、次のシンプルな1行だ。

SNSよりは閉じているが、DMよりは開かれたサービス。

オンラインコミュニティは、対人関係の構築しやすさや、情報の発信内容の範囲などが、ちょうど「開かれたSNS」と「閉じたDM」の中間に位置している。

言い換えれば、SNSとメッセンジャーの中間にあたるサービスが、オンラインコミュニティだ。

オンラインコミュニティの中には、確かにそういう怪しいサービスもあるのだろうけど、どんなジャンルであれ、サービスの量に比例して質の悪いものは生まれてくるものだ。

では、「良いオンラインコミュニティ」の特徴とはなんだろうか?
僕は、「足抜けしやすく」「出戻りしやすい」ことであると思う。

この2点については、ここで紹介したコミュニティは請け負ってもいい。

僕自身の体験も含めて、両コミュニティともに出戻りが多い。
出戻りが多いということは、コミュニティに価値を感じている人がいるということの証明でもある。

だからあまり警戒せずに、合わなかったり気が乗らないときはフェードアウトして、気が向いたり乗ってきたときはフェードインする程度の心持ちで、気軽にコミュニティに参加すればいいのではないだろうか。

オンラインコミュニティは、SNSと同じく、銀の弾丸なんかじゃない。

そこで何を得られるかは、結局のところ、当人の行動によって決まるものである。
コミュニティとコミュニティのメンバーは、はしごを用意してくれるけれど、そのはしごに足をかけるかどうかは、あなた次第である。

僕は幸運にも、コミュニティというはしごに救われた人間だ。

だからこそ、このnoteでは、はしごの価値と魅力を紹介した。

みんな、本当にありがとう!!
これからも、僕とBooQsをよろしくお願いします🙇‍♂️


あなたの貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!